アフガニスタン(公開日:2013.11.11)
子どもがお休みする理由〜バーミヤン州での事業から(2013.11.11)
弊会では2010年8月からジャパン・プラットフォームの助成により、バーミヤン州にて子どもが自分で健康を守るために学ぶ保健教育を7歳〜15歳に、小学校へ上がるための準備として4歳〜6歳を対象に就学前教育を行っています。
保健教育では、衛生や栄養に関する基本的な知識、例えば手を洗うことの大切さや、ビタミンの多く含まれる食物等について学んでいます。就学前教育では、お子さんのいる家の一室をお借りして、そこに子どもたちに集まってもらい、歌ったり、ボール遊びやロープ遊びをしたりしています。
どちらの活動も2,000人程度を対象に行い、出席率は平均で94〜95%ととても高いのですが、そうはいっても対象者のうち5%程度の子どもたちは欠席しています。地元の人たちや学校の先生に参加を促してもらっていますが、どうしても休みがちな子どもたちはいます。そこで、この子どもたちにどうやったら参加してもらえるようになるかを考えるために、保護者の方に聞き取り調査を行いました。聞き取り調査を行ってみるといろいろな姿が見えてきました。
1.子ども保健教育
コブラさん(下記の写真向かって左側の黒いショールをしている方)はバーミヤン中央郡のバスマレイ村在住。10歳になる娘のフレシュタさんが子ども保健教育を休むことがあります。コブラさんのご自宅でお話を伺いました。
「私は5人の子ども(息子2人、娘3人)の母親です。娘のフレシュタは現在バスマレイ小学校の4年生です。子ども保健教育に参加して1年くらいになります。だいたい真面目に活動に参加しているようです。私は学校に通っていないので、字を読むことが出来ません。でも、娘のフレシュタが身ぎれいにしているのを見たり、下の子どもたちにやさしくしているのを見ると、活動に参加して変化があるのかな、と感じます。フレシュタが活動を休むのは家の手伝いをしてもらったりするときが多いです。あと、活動を行っている場所が女の子が歩いて通うには少し遠いようです。でも、できるだけ参加するように言っています。一生懸命勉強して賢い子どもになってほしいと思っています。このような保健という毎日の生活に役立つ大切なことを学ぶ機会を設けてくださり、とても感謝しています。」
コブラさん(向かって左側の黒いショールをしている方)と弊会のスタッフ
フレシュタさん(小学校4年生)
2.就学前教育
ザケヤさん(下記の写真向かって右側の黒いショールの方)はバーミヤン中央郡のモラ・グラム村にお住まい。二人のお子さんが就学前教育に通っていらっしゃいます。
「私は4人の子ども(娘2人、息子2人)の母親です。ザナブ(6歳の娘)とエルファン(5歳の息子)が就学前教育に参加しています。就学前教育が大好きで、私からもできるだけ参加するように言っています。とても学ぶことが好きみたいで、数を数えたり、色の違いを話したり、お絵かきをしたり、他の子どもたちと遊んだりすることでいろんなことを学び、社交的になってきて、学校に入学する準備もできつつあります。
子どもたちは就学前教育に参加することが好きですが、時々休むこともあります。一番の理由は就学前教育を実施する場所が家から離れていることです(子どもの足で10分くらい)。同じ遊びを繰り返していることも理由の一つかもしれません。そしてもう一つは、大きな理由ではありませんが、家から離れた場所に子どもたち二人だけで行かせるわけにはいかないので、私かお兄さんやお姉さんが送ったり迎えに行ったりしなければならず、時々送り迎えの都合がつかなくなるからです。しかしいずれにしても、このような協力をしてくださって、とてもありがたく思っています。」
聞き取りに応じるザケヤさん(向かって右側の黒いショールの方)
こうしてお話を聞いてみますと、いろいろなことが見えてきます。お家の手伝いをする必要があったり、外部の者から見ると家から就学前教育の場所までが「遠くない」と思っていても、参加する子どもたちには「遠い」と感じられたり、家庭によって事情も様々です。
これらの見えてきた課題を、子どもの意思を尊重しながら、地域のみなさんで話し合って、自分たちなりの最善の策にたどり着くこと、これこそが大切だと考えています。他の人から押しつけられた解決策だと、いやいや従ったりしてしまいますし、長続きしない可能性があります。だからこそ、プロジェクトのスタッフも一緒になって話し合い、一つずつ課題を解決していきたいと考えています。
(アフガニスタン担当 紺野)