日本/東日本大震災/コミュニティ・イニシアチブ(公開日:2012.04.18)
多くの人々へ感謝の気持ちを込めてソーランを披露
〜大平ソーラン実行委員会(2012.4.18)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、ウォルマート・ストアーズ・インクの支援のもと、スポーツ・文化活動を通じて、被災地の子どもたちの教育的、知的および社会的な成長に資する環境と機会づくりに貢献しています。昨年に引き続き、2012年、岩手県内での支援第二弾として、新たにスポーツ・文化、地域の郷土芸能活動65団体への支援を開始しました。岩手県内では、計100団体を支援することになります。
このたび、岩手県釜石市立大平中学校の生徒で構成される「大平ソーラン実行委員会」が、被災地で地域に元気を発信している「大平ソーラン」の活動を知った神奈川県茅ヶ崎市の有志から、ぜひ踊りを披露してほしいと招待を受けました。そこで本支援により、釜石市から茅ケ崎市への遠征費をサポートし、大平中学校2年生の15名が、茅ケ崎市の特別養護老人ホーム「湘南ベルサイド」を訪れ、ソーランを披露しました。
その模様をお届けします。
■支援を受けるだけではなく、私たちも何か役立ちたい
大平ソーラン実行委員会は、東日本大震災後、大平中学校の生徒が避難所や仮設住宅でボランティア活動をしていた際、大平中学校伝統の“大平ソーランをやってほしい”という声を聞き、中学3年生の生徒が中心となって自発的に結成した団体です。
「地域の元気を取り戻したい。支援をもらいっぱなしではなく、自分たちができることから始めたい。」
「『私たちは絶対に負けない』という意思をもっとたくさんの方々に知ってほしい。そうすれば釜石が活性化していって復興につながると思う。」
という想いから、大平ソーラン実行委員会は結成されました。
感謝の気持ちを込めて踊るため、練習にも熱が入ります。
大平ソーラン実行委員会の特徴は、生徒が自発的に結成し活動しているだけではなく、選抜メンバーの審査会や審査基準の設定も生徒が行っていることです。服装などを含む生活態度、パフォーマンスのレベル、熱意が審査基準ですが、中でも最重要項目は生活態度。踊りが上手でも服装が乱れているようであれば退会、など自分たちでルールをつくり風紀を守っています。
今回の湘南ベルサイトへの遠征では、1ヵ月間の集中強化練習を経て、審査会を4回も実施し、メンバーが選出されました。
■元気づけるつもりが、逆に元気づけられました!!
特別養護老人ホーム「湘南ベルサイド」でのソーラン披露開始30分前より、参加者が集まり始めました。あるおばあさんは、「とても楽しみにしています。」と、おっしゃっていました。
威勢の良い掛け声を伴い、全身全霊を込めてソーランを披露。
ソーランが始まると、会場からは手拍子とともに、「ドッコイショ、ドッコイショ」という掛け声が自然と起こりました。想像以上に激しい動きでしたが、勢いのある踊りに接すると、心の底から元気が湧いてくる思いでした。
「ありがとう、心を込めて踊ってくれてありがとう。大変なことがあったのに、こっちが逆に元気づけられました。」
「体に気を付けてこれからも頑張ってほしいです。」
山形県出身のおじいさんは、「懐かしい。故郷の東北のことを思い出しました。」とおっしゃっていました。中には、ソーランに感動して涙を流す方も。大平ソーラン実行委員会の熱い思いが、ソーランを通じて確実に多くの方々に伝わっていました。
ソーラン披露の後、特養ホームの方々と交流を深めました。
湘南ベルサイトでのソーラン披露を終えメンバーのひとり作山さんは、「被災地から来ているということで、交通やいろいろなことで支援を頂いた、その感謝の気持ちを込めて踊ろうと思いました。今日は100点以上の踊りができたと思います。これからも感謝の気持ちを忘れず、頑張りたい。」と話してくれました。
佐々木さんは、「元気になってもらいたいと思って踊りに行ったのですが、逆に元気をもらいました。笑顔の方々や涙ぐむ方々を見て元気をもらったり、『やって良かった!』という気持ちになりました。」と話してくれました。
今回引率された菅原先生は、「震災の影響で大変な時期だけど、この子たちを見ていると『この子たちなら大丈夫、釜石を元気にしてくれるんじゃないか』と思わせてくれるんです。」とお話してくださいました。
今回、先生や保護者の方たちの絶え間ない子どもたちへの力強いサポートと、そして子どもたちが地域に育まれているのと同時に、子どもたちも地域を育んでいるのだと教えてもらいました。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとウォルマートは、同様の支援を宮城県内でも開始しています。活動資金の支援により、震災で滞っていたスポーツ・文化活動、地域の伝統芸の活動が円滑に行われるようになることで、子どもたちはいきいきと活動ができ、日常を取り戻すことができる、さらに、そのことよって地域が活性化されることを期待して支援を続けていきます。
(報告:遠野事務所 関口、広報 三輪)