ガザ(公開日:2025.08.26)
ガザ地区における「飢饉」の発生に関する声明
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを含むパレスチナの和平を求めるアクション実行委員会では2025年8月22日のガザにおける飢饉発生の発表を受け、以下の声明を発表しました。
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ガザ地区における「飢饉」の発生に関する声明
2025年8月22日
本日日本時間の18時、国連の「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」は、パレスチナ・ガザ地区の中心地で北部に位置するガザ市の「飢饉(ききん)」1 発生を公式に発表しました。9月30日までに、避難者が最も多い中南部に位置するハーン・ユニス、デール・アル・バラハを含むガザ全域で、人口の3分の1にあたる641,000人が飢饉のレベルに達し、2026年6月までに132,000人の子どもが急性栄養不良に陥ると報告されています。2
飢饉とは飢餓(きが)の最も深刻な状態で、IPCの定義によれば、地域において少なくとも20%の世帯が食料の極端な不足に直面し、少なくとも30%の子どもが急性栄養不良状態にあり、毎日10,000人あたり2人が飢餓や栄養不良と病気の相互作用により死亡する場合を指します 。3
少なくとも62,000人が空爆等の攻撃により犠牲になっているガザ地区は、2023年10月7日以降、イスラエルにより厳しい物資の搬入制限が行われてきました。特に今年の3月以降は物資の搬入がほとんど行われず、5歳未満の子ども70,000人と、妊娠中または授乳中の女性17,000人が急性栄養不良に直面しています。
UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)によると、3月以降、命に関わるほどの急性栄養不良の子どもの人数は急増し(図1)、また、UNRWAが3月以降100,000人の子どもに対して行った栄養スクリーニングでも、3人に1人が栄養不良に陥っています4 。また、UNOCHA(国連人道問題調整事務所)によれば、これまでに栄養不良による死亡が少なくとも269人確認されており、うち112人が子どもです5 。病気との合併症で亡くなる子どもを含めれば、その数はさらに増えると予想されます。
私たちの活動地に暮らす、9歳と10歳の子どもの母親であるナイルーズさんは、「この厳しい状況で私が願うのは、ただ『食べること』です。そして『子どもたちに食べさせること』です」と話してくれました。また、リームさん(14歳)は「4日間、食べ物も水もありませんでした。市場に行っても、高すぎて何も買えません。母が買い物に行くたびに、私はイチジクやブドウを心の中で思い描きますが、母は何も見つけることができません」と教えてくれました。
あばらが浮き出た、枯れ木のように細い手足の子どもを抱くお母さんの気持ち、耐え難い空腹にさらされ続ける子どもや人々の気持ちを考えると、強い憤りと悔しさを覚えます。関係団体のスタッフによると、急性栄養失調に陥った子どもたちには、すでに泣き叫ぶ気力も残っていません。
今回の飢饉は、完全封鎖されたガザ地区への物資を極端に制限することで引き起こされた、いわば人為的に作り出された飢餓の結果です。そして、飢餓を戦争の道具として利用する行為は、国際法上厳しく禁止されています。私たちガザで働くNGO、パレスチナと連帯するNGOや市民は、この間、物資搬入、ガザ地区の恒久的な停戦、国際法の遵守を繰り返し求めてきました。
そして、世界中のNGOや国連機関が、ガザ地区の状況を改善するために入念に準備し、人々を救うための物資を、ガザの入り口まで届けています。しかし、こうした物資をガザ域内に入れる許可が下りません。
ガザ地区の子どもの命を救う時間は、もう尽きてしまいました。人道の理念は、もろくも崩れ去りました。私たちは、こうした状況を許してしまった私たち自身を内省するとともに、人道支援アクセスの許可を粘り強く求め続けます。そして、ガザ地区の子ども、人々をこうした状況に追いやったイスラエル政府に対し、国際法を遵守するようあらためて強く求め、日本政府をはじめとした各国政府には、直ちにこの人為的飢饉を食い止めるための効果的な手立てを講じるよう要請します。
パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会
(実行委員会構成団体、順不同)
●特定非営利活動法人APLA
●特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
●株式会社オルター・トレード・ジャパン
●公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
●特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
●公益財団法人 日本YWCA
●特定非営利活動法人パルシック
●特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
●特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会
●ピースボート
●公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
●特定非営利活動法人メドゥサン・デュ・モンド ジャポン (世界の医療団)
少なくとも62,000人が空爆等の攻撃により犠牲になっているガザ地区は、2023年10月7日以降、イスラエルにより厳しい物資の搬入制限が行われてきました。特に今年の3月以降は物資の搬入がほとんど行われず、5歳未満の子ども70,000人と、妊娠中または授乳中の女性17,000人が急性栄養不良に直面しています。
UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)によると、3月以降、命に関わるほどの急性栄養不良の子どもの人数は急増し(図1)、また、UNRWAが3月以降100,000人の子どもに対して行った栄養スクリーニングでも、3人に1人が栄養不良に陥っています4 。また、UNOCHA(国連人道問題調整事務所)によれば、これまでに栄養不良による死亡が少なくとも269人確認されており、うち112人が子どもです5 。病気との合併症で亡くなる子どもを含めれば、その数はさらに増えると予想されます。
私たちの活動地に暮らす、9歳と10歳の子どもの母親であるナイルーズさんは、「この厳しい状況で私が願うのは、ただ『食べること』です。そして『子どもたちに食べさせること』です」と話してくれました。また、リームさん(14歳)は「4日間、食べ物も水もありませんでした。市場に行っても、高すぎて何も買えません。母が買い物に行くたびに、私はイチジクやブドウを心の中で思い描きますが、母は何も見つけることができません」と教えてくれました。
あばらが浮き出た、枯れ木のように細い手足の子どもを抱くお母さんの気持ち、耐え難い空腹にさらされ続ける子どもや人々の気持ちを考えると、強い憤りと悔しさを覚えます。関係団体のスタッフによると、急性栄養失調に陥った子どもたちには、すでに泣き叫ぶ気力も残っていません。
今回の飢饉は、完全封鎖されたガザ地区への物資を極端に制限することで引き起こされた、いわば人為的に作り出された飢餓の結果です。そして、飢餓を戦争の道具として利用する行為は、国際法上厳しく禁止されています。私たちガザで働くNGO、パレスチナと連帯するNGOや市民は、この間、物資搬入、ガザ地区の恒久的な停戦、国際法の遵守を繰り返し求めてきました。
そして、世界中のNGOや国連機関が、ガザ地区の状況を改善するために入念に準備し、人々を救うための物資を、ガザの入り口まで届けています。しかし、こうした物資をガザ域内に入れる許可が下りません。
ガザ地区の子どもの命を救う時間は、もう尽きてしまいました。人道の理念は、もろくも崩れ去りました。私たちは、こうした状況を許してしまった私たち自身を内省するとともに、人道支援アクセスの許可を粘り強く求め続けます。そして、ガザ地区の子ども、人々をこうした状況に追いやったイスラエル政府に対し、国際法を遵守するようあらためて強く求め、日本政府をはじめとした各国政府には、直ちにこの人為的飢饉を食い止めるための効果的な手立てを講じるよう要請します。
パレスチナの和平を求めるアクション実行委員会
(実行委員会構成団体、順不同)
●特定非営利活動法人APLA
●特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
●株式会社オルター・トレード・ジャパン
●公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
●特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
●公益財団法人 日本YWCA
●特定非営利活動法人パルシック
●特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン
●特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会
●ピースボート
●公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
●特定非営利活動法人メドゥサン・デュ・モンド ジャポン (世界の医療団)
本声明に関するお問合せに関しては、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、ガザ事業担当金子まで
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