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ガザ
(公開日:2026.10.01)

【パレスチナ・ガザ地区】スタッフの証言:戦争開始からまもなく3年の新学期。悪夢となった子どもたちの夢

 
シュルーク(32歳)はガザ地区で活動するセーブ・ザ・チルドレンの職員です。戦争が始まった最初の週に夫を失い、娘のカルメル*(4歳)とともに戦争中に何度も避難を余儀なくされてきました。彼女のレポートをご紹介します。


ガザ地区で活動を続けるシュルーク(写真左)



2026年9月17日 – 新学期は、本来ならよりよい未来への希望に満ちた時期であり、人生が前進していることを感じられる節目のはずです。
しかし、ガザ地区で暮らす私や多くの母親たちにとって、新学期初日の朝は胸が押しつぶされそうなほど重いものでした。
私は仕事があり収入もあります。そのため、娘をガザ地区の私立幼稚園へ通わせることができ、自分は恵まれていると分かっています。

今年、4歳になる娘は幼稚園に入園しました。私はこの日が、娘にとって美しく希望に満ちたスタートになってほしいと願っていました。
「私立幼稚園」と聞くと、とても恵まれた環境を想像するかもしれません。
実際、月額200米ドルの学費は、現在のガザでは非常に高額です。
それでも私がこの幼稚園を選んだのは、自宅から最も近い教育施設だったからです。公共交通機関はほとんど機能しておらず、がれきの中を長い距離を歩いて通学させることなど、私にはできませんでした。

しかし、この高額な学費の幼稚園でさえ戦争の影響を免れてはいません。
爆撃によって破壊された壁の一部は、防水シートで覆われています。この建物は、もともとの校舎が完全に破壊された後、幼稚園がなんとか確保した代替施設です。

娘の初登園の日、私はこれまで感じたことのない気持ちに襲われました。
どれだけ心の準備をしていても、その日は特別で、圧倒されるような思いでした。
すると娘が私を見上げて、突然こう尋ねたのです。
「お父さんは、私が通学カバンを背負っているところを天国から見てくれるかな?」

私は涙をこらえながら答えました。
「きっとお父さんはとても喜んでいるよ。これはあなたにとって大きな一歩だからね。お父さんに見てもらおうね」
娘の目には悲しみが浮かんでいました。
そして娘も、私の目に浮かぶ悲しみを見抜いていたのではないかと思います。
娘の周りには、お父さんやお母さんと一緒に登園してきた子どもたちがいました。
でも、娘の父親はそこにはいませんでした。

涙をこらえていたのは私だけではありません。多くの保護者が泣いていました。子どもたちに涙を見せまいとして、顔を背けている人もいました。
もちろん私は、自分たちが比較的恵まれた立場にいることを理解しています。
少なくとも娘は何らかの形で教育を受ける機会を得ることができています。

ガザで戦争が始まってから、まもなく3年になります。
その間に、ほぼすべての教育施設が被害を受けました。幼稚園の多くは破壊されるか損壊し、あるいは子どもたちが通えない場所に建てられています。
占領下のパレスチナ地域で暮らすすべての学齢期の子どもたちは、たとえ娘のように幼稚園に通えていたとしても安全で質の高い教育を受けられていません。
授業時間は短縮され、学習に必要な設備や教材は不足し、教員の人数も十分ではありません。

幼稚園で、私と同じように夫を亡くした友人に会いました。
彼女は3人の子どもを連れて来ていました。
私の顔を見るなり、彼女はその場で泣き崩れました。
子どもたちも泣いていました。
彼女は私を強く抱きしめて言いました。
「なれない。私には父親の代わりにはなれない」
私は何と言って慰めればいいのか分かりませんでした。
ただ彼女を抱きしめ、一緒に泣くことしかできませんでした。
私たちは、このような特別な日に父親のいないまま子どもを幼稚園へ連れていくことがどれほどつらいことか、痛いほど分かっているのです。

その後、息子を連れた別の友人を見かけました。
彼は駆け寄って私の娘を抱きしめると、そのまま泣き始めました。
私は彼を慰めようとしました。
すると彼はこう言いました。
「私の娘のラガド*も、カルメルと同じくらいの年齢だったはずなんだ」
彼の娘は戦争によって命を落としていました。

私はなんとか気持ちを落ち着かせようとしながら娘と一緒に教室へ入りました。
すると先生は優しくこう言いました。
「大丈夫ですよ。ここからは私たちに任せてください」
私は教室を後にしました。
そして学校を出ると、通りを泣きながら歩きました。
娘のために泣きました。
この戦争で命を落とした2万1,000人を超える子どもたちのために泣きました。
その子どもたちはもう二度と、新学期初日を迎えることはできません。
片方あるいは両方の親を失った5万9,000人を超える子どもたちのためにも泣きました。
また、学校へ戻ることができない何千人もの子どもたちのためにも泣きました。
いまのガザでは、教育は多くの家庭にとって手の届かないものになっています。
私は、教育がもはやすべての子どもに保障された権利ではなくなってしまった現実にも泣きました。

それでも、娘が幼稚園で新しい友だちができて、とても楽しそうにしている姿を見て、少しだけこころが救われました。そこには、娘が歓迎されていると感じられる場所がありました。
カラフルに彩られた空間で、ほかの子どもたちとつながり、ほんのひとときでも子どもらしく過ごせる場所がありました。
しかし、それでもなお、これを安全で質の高い教育と呼ぶことはできません。
たとえ幼稚園へ通えていたとしても、ここで暮らす多くの子どもたちと同じように、娘は安心・安全で適切な教育に必要な基本的条件が十分に保証されていない環境の中で学んでいるのです。


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