イエメン(公開日:2017.01.26)
深刻な人道危機に直面するイエメン
長年にわたる貧困や、脆弱な国家統治能力、国内の対立、継続する情勢不安などにより、すでに深刻な人道危機にあったイエメンにおいて、2015年3月に武力衝突が激化し、イエメン全土が大規模な人道危機に陥りました。
2016年11月末現在、イエメン全土で人道支援を必要とする人は、人口の69%に当たる1,880万人におよび、うち子どもは1,030万人にのぼります。
医療施設の半分以上は閉鎖しているか、あるいは部分的にしか機能しておらず、850万人の子どもたちを含む1,410万人が基礎的医療を受けられない状態です。220万人の子どもたちが栄養支援を必要としていますが、そのうち急性栄養不良に陥っている5歳未満の子どもは150万人にのぼり、37万人の子どもが重度の症状となっています。
ユニセフからの報告によると、武力衝突が始まってから、子ども1,188人が殺され、1,796人が負傷しています。そして、子どもを徴兵し、強制的に戦闘や検問所、前線などで積極的な役割を担わせるといった事例は、1,210件以上確認され、誘拐や不当な拘束は209件確認されています。さまざまな事例が確認されている一方で、残念なことに、これらは氷山の一角とみられています。
また、この危機は、子どもたちの教育にも深刻な影響を与えています。イエメンの学齢期の子どもの約27パーセントに当たるおよそ200万人の子どもたちが学ぶ機会を奪われています。2015年3月の武力衝突拡大以前にも、160万人の子どもたちが学校に通えていませんでしたが、武力衝突により、少なくとも35万人の子どもたちが新たに就学の機会を奪われました。イエメン教育省からの報告によると、イエメン全土で教育施設2,108ヶ所が紛争により破壊されたか、国内避難民の避難先として使用されているか、あるいは武装勢力により占有されているなど、武力衝突の直接の影響を受けています。
セーブ・ザ・チルドレンは、1963年よりイエメンで活動を開始しており、これまでに150万人の子どもたちを含む400万人以上へ支援を届けています。そして、イエメンで人道危機が本格化した2015年3月以降も、教育支援、子どもの保護、食料・生計支援、保健・栄養支援、水や衛生環境の支援などを実施し、70万人以上の子どもを含む124万人以上の人々に支援を届けています。