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イエメン
(公開日:2019.12.09)

イエメン 毎月33人の子どもたちが死傷―ストックホルム合意から1年。子どもたちの命が最も危険にさらされる町

 
イエメンでは、2015年以降、武力衝突が激しさを増し、大勢の子どもたちとその家族が故郷から避難を余儀なくされ、食料不足や、感染症の流行により生命が危険にさらされています。


今から1年前の2018年12月13日に、スウェーデンのストックホルムで国連の仲介により合意されたイエメン南部地域の停戦協定(ストックホルム合意)は、イエメンの安定に向けた重要な一歩になると考えられていました[i]。しかし、今年1月から10月の10ヶ月間に、紅海に面するイエメン西部のホデイダ県と南西部のタイズ県の両県を合わせると、毎月33人の子どもたちが死傷していることが明らかになりました[ii]。また、イエメン全土で紛争の直接的な影響で死亡した子どもたちの約半数は、ホデイダ県とタイズ県に暮らす子どもたちだったことも明らかになっています[iii]。

2019年における死傷者数は、前年比で減少しているものの、ホデイダ県だけで、今年1月から10月までに紛争により死亡した子どもの人数は56人にのぼり、負傷した子どもは170人にのぼっています。タイズ県では、ストックホルム合意後に子どもの死者数は2倍以上になっています[iv]。紛争当事者たちはタイズ県で人道支援活動の実施を保障しており、同県に暮らす子どもたちとその家族は、安全に県外への安全な移動や、人道援助を受けられるはずでしたが、現時点でその約束は果たされていません。

ホデイダ県の子どもたちは、同県から避難することもできず、絶え間なく続く戦闘により命の危険にさらされています。今年初めには、セーブ・ザ・チルドレンが運営する子どもセンターが戦闘のために3ヶ月間の閉鎖を余儀なくされ、700人以上の子どもたちが安全な場所と紛争の混乱から逃れ安心を感じられる場所を奪われました。

以下、セーブ・ザ・チルドレンが10代の子どもたち3人から聞いた話を紹介します。


サラさん(13歳)

2018年に学校で同級生が亡くなったサラさん(13歳)
「紛争が始まる前は、平和に外出したり、公園を散歩することができていました。ある日、同級生の1人が学校のトイレから出てきた時に弾丸が当たりました。父は私が通学をすることを許可しなくなり、そして、学校は閉鎖されました。」


リナさん(15歳)

ホデイダ出身 リナさん(15歳)
「(2019年に)空爆が自宅のすぐ側を襲いました。心底恐ろしかったです。自宅は燃え、鎮火するまで他の場所に避難しなければなりませんでしたが、自宅以外に避難する場所はありませんでした。友人宅へ行くと、その家も破壊されており、とても心配になりました。その日から、私は紛争でいつ死んでもおかしくないと考えるようになりました。」


タハさん(12歳)

セーブ・ザ・チルドレンの「こどもひろば」に参加するタハさん(12歳)
「ホデイダには、恐怖の記憶しかありません。紛争前は、そのように感じたことがありませんでした。通学と下校のときも、外で遊んでいる時も、どこかに出かけているときも、どこにいても空爆や弾丸の恐怖がつきまといます。恐怖の中で生活したくないため戦争を止めるように伝えようとしています。」

イエメンに輸入される物資の7割の搬入拠点となっているホデイダ港の一時的な閉鎖や機能不全は、国内での食料不足を起こし、さらなる食料価格の高騰と飢饉を引き起こす可能性があります。セーブ・ザ・チルドレンは、すべての紛争当事者に対して、ストックホルム合意の実現のために停戦や武装勢力の撤退に合意し、ホデイダ県を含むイエメン全土における包括的で永続的な停戦に向けた取り組みを進めることを訴えています。

[i] https://osesgy.unmissions.org/full-text-stockholm-agreement
[ii] Data from the Civilian Impact Monitoring Project (CIMP) between January to October 2019. According to the CIMP-data, a total of 226 children were injured or killed in Hodeidah between January and October 2019. In Taiz, 57 children were killed and 49 were injured due to violence during that same period.The CIMP is a mechanism for the collection, analysis and dissemination of open source data on the civilian impact from armed violence in Yemen, in order to inform and complement protection programming. It’s run as a service under the United Nations Protection Cluster.
[iii] According to the CIMP data, a total of 239 children have been killed in 22 governorates of Yemen between January and October 2019, of whom 113 were killed in Hodeidah and Taiz.
[iv] According to the CIMP data there were 28 fatalities among children in Taiz over the whole of 2018. In the first ten months of 2019, the number had risen to 57.

 

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