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イエメン
(公開日:2018.10.04)

イエメン ホデイダでコレラの疑いがある症例数が急増 (2018.10.2)

 
セーブ・ザ・チルドレンが支援するイエメン・ホデイダ県内の保健医療施設で、6月から8月までの3ヶ月間に、コレラの感染の疑いがある症例数が497件から1,342件と急増し、3倍近くにのぼりました。この状況は、コレラの感染の疑いがある症例数が増加し続けていることを示す全国データと一致しています。世界保健機関(WHO)によると、コレラ感染の疑いのある症例の30%が5歳未満の子どもたちです。


今年6月に、フーシ派と、サウジアラビア・アラブ首長国連邦主導の連合軍が支援する勢力との戦闘の激化とともに、コレラの感染の疑いがある症例数も増加しました。また、7月26日から28日にかけての連合軍による空爆により、衛生施設と、ホデイダ県内の大部分に水を提供している給水施設が被害を受けました[1]。

国連による、イエメン全国で約2,000人が回答した調査によると、回答者の56%が、水道施設の損害が最もよく起こるインフラ被害だと回答しており、ホデイダ県においては、その割合が62%となっています[2]。

9月にホデイダ県の港湾都市周辺で戦闘が激しくなったことを受けて、セーブ・ザ・チルドレンは、人口密集地域での地上戦が起こったり、町が包囲されたりすることによって、人道的な大惨事が発生すると警鐘を鳴らしています。

ホデイダ県には、イエメンで重度の栄養不良とされる子どもたちの4分の1以上に当たる10万人近くの子どもたちがいます[3]。こうした状況にある子どもたちは、栄養状態に問題がない子どもと比べて、コレラのような下痢性疾患で命を落とす可能性が高くなります。

さらに、6月以降、50万人以上が自宅から避難し[4]、窮屈な状況で、安全な水や衛生設備へのアクセスがほとんどない地域での生活を余儀なくされ、 4月から8月まで続く雨期は、この問題をさらに複雑にしています。

セーブ・ザ・チルドレンイエメン事務所代表ターメル・キロロスは、以下のように訴えます。
「イエメンの子どもたちは、爆弾や銃弾、病気や極度の飢餓といった複数の脅威に直面して、本来子どもたちが経験すべきでないようないくつもの困難を経験しています。子どもたちが予防可能な原因で死亡することは容認できません。

コレラを治療するためには、子どもたちが水分や抗生物質を手に入れることができ、病院や診療所に適切な設備が備わっていることが必須条件です。しかし、4年近く続く紛争により、イエメンの保健システムはほぼ完全に崩壊し、戦争当事者たちは繰り返し医療施設を攻撃し、そのうちのいくつかは使用不能、あるいは、近づけない状態になっています。こうした状況が続いた場合、さらに多くの子どもたちがコレラや他の予防可能な病気で死亡してしまう可能性があります。

イエメンには、地上の水源はありません。そのため、大部分の地域では、毎日必要な水を、井戸や給水車の水に頼っています。町や都市でさえ、水道の設備は荒廃状態にあるか、あるいは、戦闘によって損害を受けています。水の利用が限られていると、衛生管理が不十分で衛生状態が悪くなり、コレラ流行の危険性が高まることがあります。解決策は簡単です。戦闘を止め、紛争当事者たちが政治的解決策を図る必要があります。セーブ・ザ・チルドレンは、手遅れになる前に、最も脆弱な状態にある子どもたちに医薬品を届け、診療所を支援し続けます」

ホデイダ県で、セーブ・ザ・チルドレンのフィールドマネージャーを務めるマリアム・アルドガニ(Dr. Mariam Aldogani)は、次のように述べます。
「ホデイダの状況は、戦闘により耐え難い状態になっています。私は、コレラの感染の疑いがある子どもたちが増えてきているのを目の当たりにしています。私は、2人の子どもがいる急性下痢症の母親に会いました。彼女は、安全な水を手に入れることができないことに家族全員が影響を受けていると話していました。家族は、掘りぬき井戸から汲んだ水を飲んでいます。彼女の夫は、昨年から給料を受け取っておらず、汚染された水を煮沸するために必要なガスを買うためのお金が無いと言います。彼女は、子どもの健康を危険にさらしていることを知っていますが、喉が渇いて子どもたちが泣いているとき、何をできるでしょうか。家族はそこにある水を飲み、病気にならないように、と願うだけです。

コレラは、汚染された食べ物や水を介して伝染する感染症です。コレラの流行を抑えるためには、安全な水へのアクセスが不可欠です。しかし、イエメンはアラブ諸国で最も水が不足している国で、紛争が起こる前でさえ、専門家は、イエメンが世界で最初に水資源が枯渇する国になる可能性があると懸念を示していました。4年近く続く紛争は、イエメンの状況をさらに悪化させています[5]。


【セーブ・ザ・チルドレンの保健医療クリニックに入院するサルワさん】
サルワさん(22歳)と息子のアゼルさん(2歳)は、13人家族。サワルさんは妊娠4ヶ月で、息子とともに、コレラに苦しんでいます。 病気になったとき、彼女は、病院までのバスの運賃4米ドル(約456円)がありませんでした。 3日後、彼女の父親はなんとかバイクを借りて重態の娘をセーブ・ザ・チルドレンの診療所まで運びました。現在、サルワさんとアゼルさんは、治療を受けていますが、サルワさんは、いまも、お腹のなかの子どもの今後の事と、安全な出産に間に合うように病院に行くことができるか不安です。


「病気になってから2日後、私の2歳の息子も病気になり、病院に入院しました。きっと、私が息子にコレラを感染させたのだと思います。私たちは、自宅近くの井戸から汲んだ水を飲んでいます。1日に3回以上、その井戸から水を汲んでいます。以前の私たちは、豊かな生活を送っていましたが、紛争が激しくなってから、燃料不足のために人生が変わりました。私は、かつて、農場で働いていましたが、紛争が激化してから仕事の機会は無くなりました。私は妊娠4ヶ月です。コレラで具合が悪くなったとき、赤ちゃんを失ってしまうかもしれないと思いました。今のように状況が悪い時はなおさらそう思います。いつも悪い状況で出産することを考えてしまいます」


[1] https://reliefweb.int/report/yemen/unicef-yemen-humanitarian-situation-report-july-2018-enar
[2] https://www.humanitarianresponse.info/sites/www.humanitarianresponse.info/files/documents/files/yemen-multisector-earlyrecoveryassessment.pdf
[3] https://www.humanitarianresponse.info/en/operations/yemen/document/nutrition-cluster-update-august-2018
[4] https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/issue%2027%20final%20v3.pdf
[5] https://reliefweb.int/report/yemen/yemen-water-conflict-and-cholera

 

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