イエメン(公開日:2020.08.06)
イエメン 深刻な栄養不良の子どもたち数万人が治療を受けられず
今年3月以降、人道支援の資金不足により、イエメン国内で数万人にのぼる重度栄養不良の子どもたちが治療を受けることができていません。
今年1月から3月までに、合併症をともなう重度急性栄養不良の5歳未満の子どものうち、入院し治療を受けたのは3万7,000人でしたが、人道支援の資金が不足し始めた4月以降は、治療を受けられたのは月平均わずか9,500人でした。この水準が続いた場合、毎月2万7,500人の子どもたちが治療を受けられないことを意味します[1]。
イエメンで活動する人道支援団体は、保健医療サービスを維持するための資金調達に取り組んできましたが、現在までに今年必要な額の18%しか資金が集まっていません[2]。また、新型コロナウイルス感染症やコレラへの対応に必要な物資や人員の多くが充てられている現状もあります[3]。重度急性栄養不良は、免疫力が低下し合併症を併発することもあるため、必要な治療を受けられない場合命を落とす危険性が高くなります。
国連は、人道支援に必要な資金の減少により、今年末までに、栄養不良に陥る5歳未満の子どもは240万人にのぼると警鐘を鳴らしています [4]。
さらに、同国では、1歳未満の子どもたちのワクチン接種も影響を受けており、より長期的な視点で、子どもたちの健康への懸念が高まっています。保健医療分野のデータによると、4月以降、ワクチン接種を受けている乳児は、毎月2万788人減少しており、今年1月から3月と比較して48%減少しています[5]。そして、セーブ・ザ・チルドレンが実施するワクチン接種事業は、より深刻な影響を受けています。昨年5月には1万3,685人の子どもたちに予防接種を実施できましたが、今年5月に、240ヶ所の保健医療施設で予防接種を実施できたのは、わずか3,834人でした。これは、前年同月比72%の減少となります。
セーブ・ザ・チルドレンのイエメン事務所代表ハビエル・ジュベールは次の通り訴えます。
「保健医療施設には治療に必要な物資や機器が不足しています。親が病気の子どもを連れてきたとしても、感染を予防する物資が不足しているため医師や医療スタッフが治療にあたることができないケースもあります。支援を実施しているクリニックのうちいくつかでは、治療や栄養支援を縮小せざるを得ない状態です。世界は、イエメンの子どもたちが犠牲になっている現実を、見て見ぬふりをするのでしょうか。」
[1] Yemen Health Cluster https://www.humanitarianresponse.info/en/operations/yemen/health
[2] The UN’s Financial Tracking Service for humanitarian responses
https://fts.unocha.org/appeals/925/summary
[3] Yemen Water, Sanitation and Hygiene (WASH) Cluster
https://www.humanitarianresponse.info/sites/www.humanitarianresponse.info/files/documents/files/ywc_cholera_response_dashboard_weeks1-24.pdf
[4] UNICEF has said shortfalls in humanitarian funding could lead to an additional 30,000 Yemeni children developing life-threatening severe acute malnutrition over the next six months, and the overall number of malnourished children under the age of five could increase to a total of 2.4 million.
[5] In the three months from January to March 2020, 130,485 children under the age of one were vaccinated with the third, final dose of the pentavalent vaccine (43,495 average monthly vaccinations). In April and May 45,414 children were vaccinated (22,707 average monthly vaccinations). That represents a 47% decline, or an average of 20,788 fewer babies vaccinated every month. The pentavalent vaccine protects against five major diseases: diphtheria, tetanus, pertussis (whooping cough), hepatitis B and Haemophilus influenzae type b.