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イエメン
(公開日:2017.12.07)

イエメン 紛争下における子どもたちへの教育支援

 

サラさん(仮名、12歳)は、2015年より激化したイエメンでの紛争の影響を受け、国内で避難生活を送っています。

「私と家族は紛争が始まってから、ずっと避難生活を送っています。以前は毎日学校に通っていましたが、今は学校に通っていません。空爆から家族と一緒に逃げる時に、学校の書類や証明書を失ってしまいました。もし、避難生活の2年間がなければ、私は今は6年生になっていたはずです。いとこが学校に行って帰ってくる姿を見ると悲しくなります。でも、私はその感情を見せないようにしています。」


イエメン国内で避難生活を送るサラさん


長年にわたる貧困や、国内の対立、継続する情勢不安などにより、すでに深刻な状況にあったイエメンでは、2015年3月に武力衝突が激化し、全土が大規模な人道危機に陥りました。2017年4月時点で、イエメン全土で人道支援を必要とする人は、人口の約8割に当たる2,070万人におよび、うち子どもは1,130万人にのぼります。食料や上水が不足し、病気になっても必要な治療が受けられないなど、子どもたちの健全な発達が脅かされています。また、紛争は、サラさんのように、子どもたちの教育にも大きな影響を及ぼしています。

今、学齢期の子ども730万人の27%にあたる、およそ200万人の子どもが学校に通えておらず、そのうち、約35万人は、2015年3月以降の紛争激化をきっかけに学校に通えなくなりました。学校では、空爆によって破壊された教室が使えない、紛争激化以前は別の学校に通っていた国内避難民を受け入れているといった理由により、生徒数が飽和状態で、新たな国内避難民の受け入れが難しい状況です。また、経済的事情から学用品を手に入れることが難しかったり、生計のために労働に従事したり、特に女子は早婚が促されたりといった理由から、学校に通うことができない子どもたちもいます。



空爆によって損壊したサヌア県の学校


セーブ・ザ・チルドレンは、多くの国内避難民がいるイエメンのサヌア県とアムラン県において、紛争の影響で学校に通えない国内避難民や、国内避難民を受け入れているホスト・コミュニティの子どもたちに対し、教育の機会を提供しています。地域住民からボランティアを募って委員会を形成し、同委員会が運営を担う学習支援センターをサヌア県に4ヶ所、アムラン県に2ヶ所開設しました。小学1年生から6年生に相当する学齢期の子ども約2,200人(6ヶ所の合計)が登録し、センターへ通い始めています。センターの活動は、将来的に子どもたちが学校に戻ることができることを願って行われているもので、アラビア語や算数、理科の学習を支援しています。

子どもを登録した保護者からは、「学用品や教科書等の費用を心配せずに子どもが教育を受けられる」、「戦闘や空爆の脅威があるなか、子どもを居住している場所から遠い学校に通わせることに不安があったが、近くに学習支援センターがあるおかげで、安心して通わせることができる」との声が聞かれました。これらの声からも、コミュニティに学習支援センターを開設することが、子どもたちとその家族にとって重要であることが分かります。


学習支援センターにて、数字を学んでいる様子


学習支援センターで、日本の子どもたちと同じように「前へならえ」をする子どもたち


イエメンの紛争が早期に終結する兆しが見えないなか、教育を受けられないことは、子どもたちの成長や将来に大きな影響を及ぼします。また、子どもたちを児童労働や早婚といったリスクに晒すことにもつながります。セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが学習の機会を奪われないよう、今後も、イエメンにおいて教育支援を続けていきます。

本事業は、皆さまからのご寄付とジャパン・プラットフォームのご支援により実施しています。
(報告:宮脇麻奈)

 

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