イエメン(公開日:2023.10.10)
【開催報告】オンラインイベント「紛争9年目のイエメンから〜混迷の中に希望を見ることはできるか?」
2023年8月31日に4団体共催でオンラインイベント「紛争9年目のイエメンから〜混迷の中に希望を見ることはできるか?」を開催し、115人が参加しました。ご参加いただいた皆さまありがとうございました。
このイベントは、イエメン危機に対応し、イエメンで活動を行ってきたセーブ・ザ・チルドレン、アドラ・ジャパン、アクセプト・インターナショナル、ジャパン・プラットフォームが共同で開催しました。(プログラムはこちら。)
登壇者一同
講演:「戦争でも平和でもない状態」 から一歩踏み出すために: 私たちが
目を向けるべきこと
初めに、開発社会学舎主宰で40年以上イエメンに関する研究や調査に携わっている佐藤寛氏より、「戦争でも平和でもない状態」 から一歩踏み出すために: 私たちが目を向けるべきことをテーマに講演がありました。
イエメンの紛争の背景や、現地の人たちの生活の現状、人道支援における課題、2022年の長期停戦や、サウジアラビアとイランの国交回復によるイエメン紛争終結への影響など、最新の動向と今後の展望などについて説明し、「平和に近づいていることが実感できる状態」への移行について話がありました。
講演「Whither Yemen? フーシー派と南部移行会議に着目して」
続いて防衛研究所理論研究部社会・経済研究室にて湾岸諸国やイエメンの国際関係・安全保障、現代イエメン政治を研究している𠮷田智聡氏より、イエメンにおける各アクターの構図について講演がありました。特にフーシー派および南部移行会議に着目し、今後イエメンにおける紛争がどのように進展する可能性があるのか解説がありました。
講演「イエメンの紛争と解決に向けた支援」
国際協力機構緒方貞子平和開発研究所リサーチオフィサーで、2023年4月まで国連開発計画(UNDP)イエメン共和国サヌア事務所平和事業支援ユニットチームリーダーとしてイエメンに駐在していた槌谷恒孝氏からは、国際機関の観点から見た平和構築の課題と事例紹介がありました。各人道支援団体・機関、政府・フーシー派、各国ドナーが一丸となって解決に取り組んだSaferタンカーの事例について紹介し、各関係者が連携して行動し、成功体験を積み重ねることで、さらなる紛争の予防と持続的平和に貢献することが可能になるのではないかという説明がありました。
「JPFイエメン人道危機プログラム」の説明、NGOの活動紹介
ジャパン・プラットフォームによる「イエメン人道危機プログラム」の説明後に、アドラ・ジャパン、アクセプト・インターナショナル、そしてセーブ・ザ・チルドレンがそれぞれ活動の紹介を行いました。
セーブ・ザ・チルドレンからは、海外事業部の福原より、イエメンにおける教育・子どもの保護支援や食料支援について報告を行いました。
セーブ・ザ・チルドレンの教育・子どもの保護支援事業紹介
教育・子どもの保護支援では子どもたちが居住する国内避難民キャンプや通学する学習支援センターの様子を紹介し、学用品の配布や保護者会の活動、教員研修などの支援活動や、児童労働などのリスクを抱えた子どもたちへの個別支援について説明しました。
食料支援では、イエメンにおける食料危機が加速した背景について述べ、現金支援を通して人々が必要な食料を自分で選択して購入できるように支援を実施している旨を説明しました。
現地からのビデオメッセージ
また、セーブ・ザ・チルドレン、アドラ・ジャパン、アクセプト・インターナショナルより、現地で一緒に働くスタッフからのメッセージや活動に参加している子どもと大人からのメッセージを紹介しました。
セーブ・ザ・チルドレンの活動に参加する子どものコメント
セーブ・ザ・チルドレンの活動に参加する子どもたちは将来医師になりたいという希望や、性別に関係なく、皆が校庭で遊ぶことができるようになり、子どもの保護や公衆衛生についても学ぶことができたと話してくれました。(動画はこちら。)
オープンパネルディスカッション
ファシリテーターに佐藤寛氏を迎え、𠮷田智聡氏、槌谷恒孝氏、各団体の代表者が登壇し、ディスカッションを行いました。セーブ・ザ・チルドレンからは海外事業部の福原が登壇しました。
パネルディスカッションでは、NGOの支援内容や支援における困難な点、今後の展望、邦人のイエメンへの渡航などについて活発な議論が展開されました。
特に、セーブ・ザ・チルドレンの支援では、現金給付を通した食料支援を行うことで支援を受けた人たちが主体的に必要な食料を購入することができるようになるほか、地域経済の活性化や包括的な栄養摂取が可能になる点を強調しました。
また、制度化された学校教育とは異なる「ノンフォーマル教育」におけるカリキュラムでも中長期的には、公教育への編入を見据えて支援を実施している点を説明しました。さらに、直接支援だけではなく、NGO間のネットワークを活用して、危険地とされる地域への邦人NGO職員の渡航についてアドボカシー(政策提言)を実施していることについて説明しました。
最後に、佐藤寛氏よりイエメンが引き続き国際的に注目されるように、このイベントのような取り組みも含め、イエメンについて継続的に伝えていくことが非常に重要であるとの説明がありました。
佐藤氏の最後の発言にもあるように、NGOだけでなく一人ひとりがイエメンの現状を知り、発信していくことが重要です。今回のようなイベントをはじめ、セーブ・ザ・チルドレンのさまざまな活動を通じて、関心・支援の輪を広げていきたいと考えています。
セーブ・ザ・チルドレンはこれからもイエメンを含む困難な状況に置かれた人たちへ支援を届けていきます。ぜひ、ともに行動を起こし、その輪に加わっていただけると幸いです。
(海外事業部:小山 光晶)
このイベントは、イエメン危機に対応し、イエメンで活動を行ってきたセーブ・ザ・チルドレン、アドラ・ジャパン、アクセプト・インターナショナル、ジャパン・プラットフォームが共同で開催しました。(プログラムはこちら。)
登壇者一同
講演:「戦争でも平和でもない状態」 から一歩踏み出すために: 私たちが
目を向けるべきこと
初めに、開発社会学舎主宰で40年以上イエメンに関する研究や調査に携わっている佐藤寛氏より、「戦争でも平和でもない状態」 から一歩踏み出すために: 私たちが目を向けるべきことをテーマに講演がありました。
イエメンの紛争の背景や、現地の人たちの生活の現状、人道支援における課題、2022年の長期停戦や、サウジアラビアとイランの国交回復によるイエメン紛争終結への影響など、最新の動向と今後の展望などについて説明し、「平和に近づいていることが実感できる状態」への移行について話がありました。
講演「Whither Yemen? フーシー派と南部移行会議に着目して」
続いて防衛研究所理論研究部社会・経済研究室にて湾岸諸国やイエメンの国際関係・安全保障、現代イエメン政治を研究している𠮷田智聡氏より、イエメンにおける各アクターの構図について講演がありました。特にフーシー派および南部移行会議に着目し、今後イエメンにおける紛争がどのように進展する可能性があるのか解説がありました。
講演「イエメンの紛争と解決に向けた支援」
国際協力機構緒方貞子平和開発研究所リサーチオフィサーで、2023年4月まで国連開発計画(UNDP)イエメン共和国サヌア事務所平和事業支援ユニットチームリーダーとしてイエメンに駐在していた槌谷恒孝氏からは、国際機関の観点から見た平和構築の課題と事例紹介がありました。各人道支援団体・機関、政府・フーシー派、各国ドナーが一丸となって解決に取り組んだSaferタンカーの事例について紹介し、各関係者が連携して行動し、成功体験を積み重ねることで、さらなる紛争の予防と持続的平和に貢献することが可能になるのではないかという説明がありました。
「JPFイエメン人道危機プログラム」の説明、NGOの活動紹介
ジャパン・プラットフォームによる「イエメン人道危機プログラム」の説明後に、アドラ・ジャパン、アクセプト・インターナショナル、そしてセーブ・ザ・チルドレンがそれぞれ活動の紹介を行いました。
セーブ・ザ・チルドレンからは、海外事業部の福原より、イエメンにおける教育・子どもの保護支援や食料支援について報告を行いました。
セーブ・ザ・チルドレンの教育・子どもの保護支援事業紹介
教育・子どもの保護支援では子どもたちが居住する国内避難民キャンプや通学する学習支援センターの様子を紹介し、学用品の配布や保護者会の活動、教員研修などの支援活動や、児童労働などのリスクを抱えた子どもたちへの個別支援について説明しました。
食料支援では、イエメンにおける食料危機が加速した背景について述べ、現金支援を通して人々が必要な食料を自分で選択して購入できるように支援を実施している旨を説明しました。
現地からのビデオメッセージ
また、セーブ・ザ・チルドレン、アドラ・ジャパン、アクセプト・インターナショナルより、現地で一緒に働くスタッフからのメッセージや活動に参加している子どもと大人からのメッセージを紹介しました。
セーブ・ザ・チルドレンの活動に参加する子どものコメント
セーブ・ザ・チルドレンの活動に参加する子どもたちは将来医師になりたいという希望や、性別に関係なく、皆が校庭で遊ぶことができるようになり、子どもの保護や公衆衛生についても学ぶことができたと話してくれました。(動画はこちら。)
オープンパネルディスカッション
ファシリテーターに佐藤寛氏を迎え、𠮷田智聡氏、槌谷恒孝氏、各団体の代表者が登壇し、ディスカッションを行いました。セーブ・ザ・チルドレンからは海外事業部の福原が登壇しました。
パネルディスカッションでは、NGOの支援内容や支援における困難な点、今後の展望、邦人のイエメンへの渡航などについて活発な議論が展開されました。
特に、セーブ・ザ・チルドレンの支援では、現金給付を通した食料支援を行うことで支援を受けた人たちが主体的に必要な食料を購入することができるようになるほか、地域経済の活性化や包括的な栄養摂取が可能になる点を強調しました。
また、制度化された学校教育とは異なる「ノンフォーマル教育」におけるカリキュラムでも中長期的には、公教育への編入を見据えて支援を実施している点を説明しました。さらに、直接支援だけではなく、NGO間のネットワークを活用して、危険地とされる地域への邦人NGO職員の渡航についてアドボカシー(政策提言)を実施していることについて説明しました。
最後に、佐藤寛氏よりイエメンが引き続き国際的に注目されるように、このイベントのような取り組みも含め、イエメンについて継続的に伝えていくことが非常に重要であるとの説明がありました。
佐藤氏の最後の発言にもあるように、NGOだけでなく一人ひとりがイエメンの現状を知り、発信していくことが重要です。今回のようなイベントをはじめ、セーブ・ザ・チルドレンのさまざまな活動を通じて、関心・支援の輪を広げていきたいと考えています。
セーブ・ザ・チルドレンはこれからもイエメンを含む困難な状況に置かれた人たちへ支援を届けていきます。ぜひ、ともに行動を起こし、その輪に加わっていただけると幸いです。
(海外事業部:小山 光晶)