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イエメン
(公開日:2024.01.23)

【イエメン】食料危機:ラヒジュ県における現金支援と栄養支援を通じた食料安全保障改善事業を開始

 
中東の湾岸地域に位置するイエメンでは、2015年以降度重なる武力衝突により、これまで1万人以上の子どもたちが死傷しています1。また、イエメン総人口の8割の人々が食料にアクセスすることが困難で、全土で1,730万人が食料支援を必要としていると言われています2。食料不足の深刻さを示す総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Phase Classification: IPC)によると3、未だに78万人が「人道的危機レベル」であるIPC4以上、320万人が「急性食料不安レベル」であるIPC3以上の状態にあるとされ、今後状況が悪化すると予測されています4


                                              栄養失調を測るための測定の様子 リハブさん

こうした危機的状況下において、最も影響を受けるのは食料の確保に困難を抱えた子どもや女性です。イエメンでは、食料の確保ができず、十分な栄養を摂取できない世帯が増加した結果、5歳未満の子どもの30%が急性栄養不良、51%が低体重、48%が発育阻害と診断されています6。また、2023年中に約4万5千人に及ぶ5歳未満の子どもが急性栄養不良に陥り、25万人の妊産婦が深刻な栄養不良に陥るとした発表もあります5


重度の栄養失調と診断されるサーメルさん

特に経済状況が厳しい世帯が多いラヒジュ県のアル・クバイタ地区は、IPCレベル4に該当しており、また人口に対する食料不足の割合はイエメンで最も高く71%におよびます。こうした状況の中、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2023年10月からアル・クバイタ地区を対象に2歳未満の子どもと妊産婦のいる世帯を対象に、現金支援及び栄養指導を通じた食料支援を行っています。


お母さんと栄養失調から回復したヌセイル君

この活動では、最も脆弱な状況に置かれた336世帯・2,352人を対象に、食料を購入するための現金を1ヶ月に1回、計6ヶ月間提供します。また、現金支援によって手に入れた食料を効率的に栄養改善に役立ててもらうよう、同世帯の養育者345人を対象に栄養指導を行います。6ヶ月という期間は、世帯全員の栄養状態が改善するために最低限必要な期間と言われており、栄養不足で命の危機に瀕している子どもを守ることができると考えられています。また、「Cash Plus」としてユニセフが提唱するように7 、現金支援と同時期に栄養指導を行うことによって、栄養改善により高いインパクトが望めるという結果がセーブ・ザ・チルドレンの取り組みから明らかになっています。



家庭訪問の様子 3人の子どもとほほ笑むフアドさん


セーブ・ザ・チルドレンは、同様の事業をイエメン・タイズ県でも昨年から実施しています。イエメンは厳しい状況が続いていますが、今後も子どもたちの命を守るために尽力します。

(海外事業部・金子由佳)

1 OCHA, “HumanitarianNeeds OverviewYemen 2022”, p.75
2 OCHA, “Humanitarian Response Plan Yemen 2023”, p.46.
3 OCHA, “Humanitarian Response Plan Yemen 2023”, p.19.
WFP, “Hunger Hotspots FAO-WFPearly warnings on acute food insecurity October 2022 to January 2023 Outlook
5 IPC, IPC, Yemen: AcuteMalnutrition Situation October 2022 - May 2023 and Projected June -September2023 (partial analysis)
6 WHO, “Nutrition surveillanceinfographics 2022June”, p.1
7 UNICEF,”Cash Plus


 

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