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イエメン
(公開日:2018.03.30)

イエメン紛争激化から3年−初めてアルファベットを学ぶ9歳の双子−

 
2018年3月26日で、イエメンで紛争が激化してから3年が経ちました。イエメン全土で人道支援を必要とする人は、人口の約8割に当たる2,220万人におよび、うち子どもは1,130万人にのぼります。紛争が早期に終結する兆しが見えないなか、子どもたちの成長や将来にも大きな影響が出ています。イエメンでは、現在、学齢期の子どもの25%にあたる190万人の子どもたちが学校に通うことができていません。また、児童労働や早婚も増加傾向にあり、例えば、イエメンで、18歳未満で結婚する少女の割合は、2016年は52%でしたが、2017年には66%となっています。

セーブ・ザ・チルドレンは、多くの国内避難民がいるイエメンのサヌア県内4ヶ所とアムラン県内2ヶ所に、学習支援センターを開設し、紛争の影響で学校に通えない国内避難民や、国内避難民を受け入れているコミュニティ(ホストコミュニティ)の子どもたちに対し、教育の機会を提供しています。小学1年生から6年生に相当する学齢期の子ども約1,800人が、6ヶ所のセンターへ通い、アラビア語、算数、理科を学んでいます。また、新たにセンター1ヶ所を追加開設するための準備を進めています。

さらに、学習支援センターでは、障害のある子どもや家族と離散した子どもなど、特別な支援を必要とする子どもたちに対して、個別のニーズに応じた支援を提供し、就学と通学を促進しています。


生まれつき視覚と聴覚に障害のある双子のアフマッドさんとアイマンさん

アフマッドさんとアイマンさんは、サヌア県に暮らす9歳の双子です。生まれつき目と耳に障害があり、視力がとても弱く、聞いたり話したりすることもできませんでした。6歳のときに、両親は治療のために2人を病院へ連れて行きましたが、治療費を支払うことが難しく、治療を断念しました。その後、紛争が激化。公務員である父親の給与が支払われない状態は19ヶ月間も続いており、生活はさらに困窮しました。また、住んでいた場所が安全でなくなり、両親の実家に身を寄せることになりました。

母親のザフラさんは、「私は私の実家で、夫は夫の実家で暮らしています。以前のように服や食べ物を買うことはもうできません。子どもたちに、チーズ、牛乳、ジュース、お肉などの今では高級品となってしまった食べ物をあげることができなくなりました」と、話します。

こうした生活のなか、治療を諦めていたところ、ザフラさんはセーブ・ザ・チルドレンが開設した学習支援センターで、障害のある子どもたちを支援していることを知りました。アフマッドさんとアイマンさんは、専門機関による診断を受けたのち、眼鏡と補聴器の提供を受け、センターへ通い始めました。

ザフラさんは、このように語ります。「アフマッドとアイマンは、耳が聞こえないので、いつもドアを強く閉めていました。暴力的な行動に出ることもあり、友達はいませんでした。また、自分の存在を証明するかのように、よく2人でけんかをしていました。2人は学校に通いたがっており、兄が学校に行く姿を見ると、通学鞄をうらやましそうに眺めていました。子どもたちのそのような表情を見るのは、とてもつらかったです。補聴器の支援を受けて、アフマッドとアイマンが初めて声を聞くことができた幸せな瞬間は忘れられません。寝る時間に補聴器を外すと泣くほどに、2人は補聴器をとても大切にしています。他の子どもたちと同じように、勉強したり、遊んだりできると希望を持つことができ、本当に感謝しています。センターに通い始めて3週間ですが、アルファベットの最初の3、4文字を読んだり、書いたりできるようになりました。友達と一緒に遊んだり、歌ったりできるようになり、とても嬉しいです」


学習指導員のサポートを受けて、アラビア語のアルファベットを学ぶアフマッドさん
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが学習の機会を得られるよう、今後も、イエメンにおいて教育支援を続けていきます。

本事業は、皆さまからのご寄付とジャパン・プラットフォームのご支援により実施しています。

(海外事業部 イエメン担当:宮脇麻奈)





 

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