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イエメン
(公開日:2021.03.24)

【イエメン】イエメン武力衝突激化から6年 −教育を受ける権利を守るための支援−

 
イエメンで武力衝突が激化してから、2021年3月26日で6年が経ちます。紛争はなお継続しており、2020年だけで新たに17万人以上の国内避難民が発生しました。イエメンでは、人口の66%にあたる2,070万人が支援を必要としており、そのうち54%が18歳未満の子どもです*1。2021年には、人口の半数以上の1,620万人が緊急または危機的なレベルの食料不足に陥ると予測されており、また、基本的な水・衛生支援を必要とする人々は1,540万人にのぼります*2


栄養不良の治療をうけるハイファさん(1歳)

紛争に加え、イエメンでは新型コロナウイルス感染症の感染拡大も確認されています。2021年3月2日時点で報告されている感染者数累計は2,314 人、死亡者数は635人*3です。しかし、検査能力が限定的であることなどを踏まえれば、実際の感染者数はより多いと想定されています。

長期化する紛争および新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、子どもたちは多大な影響を受けています。空爆により学校が破壊されたり、学用品が不足していたりすることなどが原因で、205万人もの子どもたちが通学できていません。また、2020年3月から10月までイエメン全土の学校が休校になり、580万人の子どもたちが通学できなくなりました。これにより、子どもたちは教育の機会を失っただけでなく、学校における給食などの栄養支援を受けられなくなることによる栄養不良のリスクや家庭内暴力、性的搾取や児童労働などのリスクにも晒されています。

このような状況を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、2020年10月にイエメン北部のハッジャ県において教育支援事業を開始しました。

この事業では、子どもたちが安心・安全な環境で学べるよう、空爆などで破壊された教室の修繕、男女別のトイレの設置、子どもたちへの学用品の提供などを行います。また、教員研修や補習授業の実施も予定しており、子どもたちが質の高い教育を継続的に受けられる学習環境を整備します。さらに、学校における新型コロナウイルス感染症の感染拡大を予防するため、手洗い場の設置、手洗いなどの衛生習慣に関する啓発活動も実施する予定です。

セーブ・ザ・チルドレンは、これらの活動に子どもたちの意見を取り入れることを重視しています。例えば、教室の修繕のための設計図を作成する過程で子どもたちの意見の聞き取りを行ったり、支援対象校で生徒会を組織し、生徒の意見を学校運営に取り入れる仕組みづくりをサポートしたりします。

紛争下においては、食料支援や医療支援が注目されることが多いですが、教育支援も同様に重要です。紛争が長期化するなか、子どもたちが継続的に学習できる環境を整備することは喫緊の課題となっています。セーブ・ザ・チルドレンは、紛争下および感染症拡大の緊急下においても、子どもたちが安心して学習を継続できるよう、イエメンにおける教育支援を実施していきます。


アデンにてセーブ・ザ・チルドレンが運営する仮設学習スペースで学ぶサアダさん(15歳)

本事業は、皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。

海外事業部 渡邊紗世



*1 OCHA, “Humanitarian Needs Overview Yemen 2021”, p.4
*2 OCHA, “Humanitarian Needs Overview Yemen 2021”, p.6
*3 WHO, https://covid19.who.int/region/emro/country/ye, 2021年3月3日閲覧

 

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