イエメン(公開日:2020.06.10)
イエメン500万人以上が安全な水や食料不足の危機に―新型コロナウイルス感染症
人道支援活動を行う国際NGO24団体は、6月2日に国連が開催したテレビ電話によるイエメン人道支援会合を前に、人道支援に必要な資金不足をはじめとするさまざまな課題により、イエメンでは、今年あらたに550万人が食料や水、現金などの日常生活に必要な支援を利用できなくなる可能性があると声明で訴えました。また、新型コロナウイルス感染症が急速に感染拡大している状況下で、世界最悪の人道危機への各国からの支援金の減少が多くの命を奪うことになると警鐘を鳴らします。
この調査は、イエメンで活動する国際NGOにより、資金不足の状態が続いた場合のイエメン市民に及ぶ影響を想定したもので、調査へ協力したNGO9団体によると、すでに危機的な状況にある保健医療サービスへの支援の大幅な減少を含め、2019年と比較して年間8,250万米ドル(約90億円)の資金の減少が見込まれ、合計550万人に影響を及ぼすと考えられます。この数値から、資金不足が広範囲にわたる人道支援にどれほど影響を及ぼすかが分かりますが、その影響は保健医療分野においてはさらに深刻であり、数百万人の人々が、命の危機に直面しています。移動診療所の運営や給水所の設置をはじめとする保健医療分野の支援が滞ることで、コレラの発生や新型コロナウイルスの感染リスクの拡大につながると危惧されています。
また、すでに850万人が、ロックダウンや失業中にもかかわらず食料支援を半分に減らされているなか、人道支援の資金不足によって、こうした脆弱な状態にある人々がさらなる深刻な食料不足に直面する恐れがあります。
イエメンでは、およそ150万世帯が食料支援に頼って生活しており[1]、その多くはすでに世界食糧計画(WFP)による毎月の食料支援縮小の影響をうけています。迅速な資金拠出がされなければ、イエメン国内の農業や生計を支援する活動をすべて中止せざるを得ない団体も出てくるでしょう。現時点で、2,010万人が食料支援を必要としており、全世帯の半分が借金をして食料を購入しています[2]。
サヌア県に暮らすイーサンさんは、食料や水の支援を利用しています。
「障害があるため仕事ができず支援に頼っています・・・新型コロナウイルス感染症が私たちを殺さなくても、家族は自宅で餓死してしまうでしょう。イエメンを新型コロナウイルス感染症が襲ったら、数百万人が食料支援を必要とするでしょう。」
港で必要とされる検疫措置により、港湾都市ホデイダとアデンを通して届く人道支援物資は3分の2まで減っています。イエメンで必需品の供給を確保することは物流面で難しく、新型コロナウイルス感染症流行により人道支援を届けることはさらに困難を極めるでしょう。
共同声明を出したNGO24団体は、現状の資金不足や今もなお続く暴力、新型コロナウイルス感染症予防対策の影響が、イエメンの子どもたちやその家族に壊滅的な結果をもたらすと警鐘を鳴らし、次のように訴えます。
「この会合は、何千もの命を救い状況を好転させるために確かに重要な機会ですが、なによりも今すぐに行動しなければなりません。
世界最悪の人道危機が、今や未曽有の感染症の世界的大流行によって悪化しています。ドナー国は、食料や現金、保健医療サービス、水、衛生に関する啓発や子どもの保護などの命を守るための支援を最優先しながら、資金拠出を増やさなければなりません。もし拠出が難しいのであれば、イエメンの未来を担保しうるのは平和しかありません。私たちは、会合に参加するすべての政府に対して、イエメン全土の停戦を実現し、和平交渉再開に向けた対話を再開するよう、あらゆる紛争当事者に対して強く働きかけを行うよう求めます。」
<NGO24団体>
1. ACTED
2. Action Contre la Faim (ACF)
3. ADRA
4. CARE
5. Danish Refugee Council (DRC)
6. Diakonie Katastrophenhilfe
7. Global Communities
8. Human Appeal
9. International Rescue Committee (IRC)
10. INTERSOS
11. Islamic Relief
12. Médecins du Monde (MdM)
13. Mercy Corps
14. Muslim Hands
15. Norwegian Refuge Council (NRC)
16. Oxfam
17. Polish Humanitarian Action (PHA)
18. Première Urgence- Aide Médicale Internationale (PU-AMI)
19. Relief International
20. Save the Children
21. Search for Common Ground
22. Solidarites
23. War Child UK
24. ZOA
[1] 人道対応計画(延長版) 2020年6月-12月
[2] World Food Programme (世界食糧計画)
この調査は、イエメンで活動する国際NGOにより、資金不足の状態が続いた場合のイエメン市民に及ぶ影響を想定したもので、調査へ協力したNGO9団体によると、すでに危機的な状況にある保健医療サービスへの支援の大幅な減少を含め、2019年と比較して年間8,250万米ドル(約90億円)の資金の減少が見込まれ、合計550万人に影響を及ぼすと考えられます。この数値から、資金不足が広範囲にわたる人道支援にどれほど影響を及ぼすかが分かりますが、その影響は保健医療分野においてはさらに深刻であり、数百万人の人々が、命の危機に直面しています。移動診療所の運営や給水所の設置をはじめとする保健医療分野の支援が滞ることで、コレラの発生や新型コロナウイルスの感染リスクの拡大につながると危惧されています。
また、すでに850万人が、ロックダウンや失業中にもかかわらず食料支援を半分に減らされているなか、人道支援の資金不足によって、こうした脆弱な状態にある人々がさらなる深刻な食料不足に直面する恐れがあります。
イエメンでは、およそ150万世帯が食料支援に頼って生活しており[1]、その多くはすでに世界食糧計画(WFP)による毎月の食料支援縮小の影響をうけています。迅速な資金拠出がされなければ、イエメン国内の農業や生計を支援する活動をすべて中止せざるを得ない団体も出てくるでしょう。現時点で、2,010万人が食料支援を必要としており、全世帯の半分が借金をして食料を購入しています[2]。
サヌア県に暮らすイーサンさんは、食料や水の支援を利用しています。
「障害があるため仕事ができず支援に頼っています・・・新型コロナウイルス感染症が私たちを殺さなくても、家族は自宅で餓死してしまうでしょう。イエメンを新型コロナウイルス感染症が襲ったら、数百万人が食料支援を必要とするでしょう。」
港で必要とされる検疫措置により、港湾都市ホデイダとアデンを通して届く人道支援物資は3分の2まで減っています。イエメンで必需品の供給を確保することは物流面で難しく、新型コロナウイルス感染症流行により人道支援を届けることはさらに困難を極めるでしょう。
共同声明を出したNGO24団体は、現状の資金不足や今もなお続く暴力、新型コロナウイルス感染症予防対策の影響が、イエメンの子どもたちやその家族に壊滅的な結果をもたらすと警鐘を鳴らし、次のように訴えます。
「この会合は、何千もの命を救い状況を好転させるために確かに重要な機会ですが、なによりも今すぐに行動しなければなりません。
世界最悪の人道危機が、今や未曽有の感染症の世界的大流行によって悪化しています。ドナー国は、食料や現金、保健医療サービス、水、衛生に関する啓発や子どもの保護などの命を守るための支援を最優先しながら、資金拠出を増やさなければなりません。もし拠出が難しいのであれば、イエメンの未来を担保しうるのは平和しかありません。私たちは、会合に参加するすべての政府に対して、イエメン全土の停戦を実現し、和平交渉再開に向けた対話を再開するよう、あらゆる紛争当事者に対して強く働きかけを行うよう求めます。」
<NGO24団体>
1. ACTED
2. Action Contre la Faim (ACF)
3. ADRA
4. CARE
5. Danish Refugee Council (DRC)
6. Diakonie Katastrophenhilfe
7. Global Communities
8. Human Appeal
9. International Rescue Committee (IRC)
10. INTERSOS
11. Islamic Relief
12. Médecins du Monde (MdM)
13. Mercy Corps
14. Muslim Hands
15. Norwegian Refuge Council (NRC)
16. Oxfam
17. Polish Humanitarian Action (PHA)
18. Première Urgence- Aide Médicale Internationale (PU-AMI)
19. Relief International
20. Save the Children
21. Search for Common Ground
22. Solidarites
23. War Child UK
24. ZOA
[1] 人道対応計画(延長版) 2020年6月-12月
[2] World Food Programme (世界食糧計画)