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イエメン
(公開日:2019.04.15)

【イエメン 教育事業】 医師になりたい―学習支援センターに通い、将来に希望が持てるようになったナビルさん

 
ナビルさんは、北部サアダ県出身の13歳、5人きょうだいの長男で、紛争により家が破壊されたことを機に、家族でアムラン県に避難しました。父親は、以前荷運びの仕事をしていましたが、紛争によって職を失ったため、ナビルさんは避難先で、家計を支えるために、学校に通わずに働いていました。

イエメンでは、紛争が激しさを増してから4年が経過しています。470万人の子どもが教育支援を必要としており、およそ200万人の子ども(男子の4人に1人、女子の3人に1人)が学校に通うことができない状況にあります。子どもたちは、安全を求めて避難した先でもさまざまな理由から教育を受けることが難しい状況に置かれています。ナビルさんもまた、そうした子どものうちの一人です。


サアダ県からアムラン県に避難してきたナビルさん

アムラン県での避難生活が始まってしばらくしてから、ナビルさんは、父親の友人に、セーブ・ザ・チルドレンが運営する学習支援センターに通ってはどうかと勧められました。その時ナビルさんは、紛争によりもう2年も教育を受けられていなかったため、その勧めをとてもうれしく思い、喜んで通うことに決めました。

ナビルさんは、大変な努力の結果、優秀な成績で学習支援センターを修了し、彼の夢である「医師」を目指して、次の新学年度から公立学校に編入する予定です。


学習支援センターにてアラビア語の授業を受けるナビルさん

セーブ・ザ・チルドレンは、イエメンのアムラン県とサヌア県にて、紛争の影響により学校に通うことのできない国内避難民および地域住民の子どもたちを対象に、学習支援センターを運営して代替教育を提供し、公立学校への編入を支援しています。日本からの支援によって実施しているこの事業が、ナビルさんのような子どもたちの復学を可能にしています。


復学への希望を語るナビルさん

ナビルさんは、紛争が激しくなる前の生活や避難先での暮らし、そして、学習支援センターに通学してからの変化について次の通り話しています。

「私の名前はナビルです。サアダ県出身です。私にはきょうだいが4人います。紛争が始まるまで、私たち家族は自分たちの家で平和に暮らしていました。しかし、その家は破壊されてしまい、私たちはアムラン県に引越ししなければならなくなりました。私はずっと医師になって人々の助けになることを夢見てきました。なかでも、保護者が医療費を支払えない子どもたちを治療したいと考えています。

ある夜、私たち家族が寝ているときに、家にロケット弾が落ちてきました。それは、とても恐ろしい出来事でした。家は破壊され、家族はけがをしました。翌日、両親は近隣のアムラン県ならば少しは安全に違いないと、避難を決意しました。

避難先のアムラン県では、私は学校に通うことができませんでした。父は職を失ってしまい、家計を支えるために、私が代わりに働かなければなりませんでした。私は、おじの衣料品店で働き、1日に1,000イエメンリアル(約4米ドル)を稼ぎました。

働いていたある日、父の友人が私に、無料で教育が受けられ、学用品も支給してもらえる学校のことを教えてくれました。2年間教育を受けられていなかった私は、その話を聞いてとてもうれしくなりました。翌日、私は父とともに、ライダ地区にあるその学校に登録に行きました。学校の人たちは私を歓迎してくれ、制服やかばん、筆記用具、ノート、そしてフードバスケット を提供してくれました。

楽しく学校に通ううちに、私の成績は日に日に良くなっていきました。分からないところがあると、先生はいつも私が理解できるようになるまで教えてくれます。好きな科目は算数で、難しい問題を解くのが大好きです。

今では、医師になる夢を叶えられるはずだと、希望を持てるようになり、明るい未来を描けるようになりました。紛争による影響を受けた子どもたちを治療できるようになりたいです。私は、教育を続けられるように支援をしてくれたセーブ・ザ・チルドレンに、とても感謝しています」

この事業は、皆さまからのご寄付とジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 イエメン担当:宇原英美)

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*1 国内で消費する食料の大半を輸入に依存するイエメンでは、紛争による港湾の封鎖などにより、食料の輸入が難しくなった結果、子どもたちは慢性的な栄養不良状態にあります。このため、学習支援センターに登録する子どもの家族(7人家族の想定)を対象に、1ヶ月分の食料にあたる米45kg、油4L、砂糖2kg、豆の缶詰24缶、塩1kgをつめたフードバスケットを提供しました。

 

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