イエメン(公開日:2018.11.26)
イエメン 5歳未満の子ども8万5,000人が飢餓で犠牲の可能性
セーブ・ザ・チルドレンが国連のデータをもとに、イエメンで重度急性栄養不良にある5歳未満の子どもに治療が施されず、死亡にいたったと考えられる割合を算出したところ、2015年4月から2018年10月までに、イエメンで少なくとも、重度急性栄養不良の5歳未満の子ども8万4,701人が死亡した可能性があることが明らかになりました。[i]
2015年にイエメンで紛争が激しさを増してから約4年が経過し、国連は、1,400万人が飢饉に陥る恐れがあると伝えています。この人数は、1年前のサウジアラビアとアラブ首長国連邦主導の連合軍による主要港の1ヶ月にわたる封鎖以降、激増しています。[ii]
さらに、封鎖以降、主要拠点であるホダイダ港から輸入される食料品の量は、子ども220万人を含む420万人分の食料に相当する[iii]、ひと月当たり5万5,000トン以上減少しています。これ以上輸入量が少なくなった場合、飢饉に直結する可能性があります。[iv]
セーブ・ザ・チルドレンのイエメン事務所代表ターメル・キロロスは、次の通り訴えます。
「紛争が始まってから、極度の飢餓のためにおよそ8万5,000人の子どもたちが死亡したと考えられています。爆弾と弾丸の犠牲になった子どもより、実際は、大勢の子どもたちが飢餓により犠牲になっています。しかし、このような状況は、本来、防ぐことができます。[v]
こういった状態で亡くなる子どもたちは、生命維持に必要不可欠な器官の機能が徐々に低下していき、最終的に停止する過程で、とても苦しみます。さらに免疫システムは非常に弱くなっているため感染症にかかる確率は高くなり、体が弱くなりすぎて泣くこともできません。親は、子どもたちが衰弱していく様子を前に、何もすることができません。
セーブ・ザ・チルドレンは、14万人の子どもたちへ食料を支援するとともに、これまでに、栄養不良の子ども7万8,000人以上を治療してきました。さまざまな困難があるなかで、私たちは、日々子どもたちの命を守るための活動をしています。
激化する戦闘、ホデイダ港や輸送経路の封鎖、そして官僚的で複雑な手続きにより、セーブ・ザ・チルドレンは北部での人道支援に必要な物品を、南部のアデン港経由で輸入せざるを得ない状況が続いています。その結果、ホデイダ港が通常に機能している場合であれば、支援を必要としている人々に1週間で届けられる物資の輸送に、3週間近くかかることがあります。
この数週間に、ホデイダとその周辺では空爆が数百回あり、市内に閉じ込められているおよそ15万人の子どもたちの命が危険に晒されています。セーブ・ザ・チルドレンは、これ以上犠牲者が出ないよう、戦闘の即時停止を求めています。
私たちは、イエメンにいる、最も脆弱な状態にある子どもたちや、その中でも特に、命の危機に瀕している子どもたちに、栄養価の高い食料品を支援する必要があります。60米ドル(約6,700円)で、7人家族1ヶ月分の食料を支援することができます。誰一人、飢餓で犠牲になってはなりません」
[i] UNICEF Nutrition Cluster data/malnutrition https://data.unicef.org/topic/nutrition/malnutrition
[ii] WFP Yemen Country Brief
https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/Yemen%20-%20CB%20September%202017.pdf
[iii] According to UNOCHA
https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/OCHA%20Yemen%20Commodity%20Tracker%20September%202018.pdf
World Bank
http://databank.worldbank.org/data/views/reports/reportwidget.aspx?Report_Name=CountryProfile&Id=b450fd57&tbar=y&dd=y&inf=n&zm=n&country=YEM
[iv] Yemen Food Security Alert: October 24, 2018 https://reliefweb.int/report/yemen/yemen-food-security-alert-october-24-2018
[v] UNICEF https://www.unicef.org/press-releases/peace-only-way-forward
[vi] UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs
https://reliefweb.int/report/yemen/under-secretary-general-humanitarian-affairs-and-emergency-relief-coordinator-mr-mark-4