イエメン(公開日:2017.08.09)
栄養不良の子ども100万人以上に、コレラ感染拡大の恐れ
2015年3月に武力衝突が激化して以降、中東の最貧国イエメンは大規模な人道危機に陥っており、昨年10月に続き、今年4月からも、コレラ流行の危機に直面しています。7月時点までに、イエメン全土で42万5,000件を超えるコレラ感染の疑いがある症例が報告されており、1,900人が亡くなっています。新規に報告される症例数と犠牲者数いずれにおいても、15歳未満の子どもたちの割合が増加しています。
セーブ・ザ・チルドレンの新たな調査では、急性栄養不良の5歳未満の子ども100万人以上(うち、重度急性栄養不良の子ども20万人含む)が、コレラの感染リスクが高い地域に暮らしていることが明らかになりました。栄養不良に陥っている子どもは、免疫力が非常に低下しており、コレラに感染した場合、栄養状態に問題がない子どもに比べて少なくとも3倍の確率で命が犠牲になる可能性があります。
感染が疑われる症例数の報告が最も多いホデイダ県アル・ハリにおいて、セーブ・ザ・チルドレンは、栄養不良治療センターの運営や保健専門家の派遣を増やすなど、支援を拡大してこの危機に対応しています。
重度の栄養不良に陥った10ヶ月の娘を連れてセーブ・ザ・チルドレンの栄養不良治療センターにやってきたラミアさんは、6人の子どものうち2人を病気で亡くしています。
ラミアさんは、「娘の状態は、以前より良くなっています。以前は、腕と脚が今よりも細く、動かすこともできませんでした。娘は、幸運です。他のきょうだい2人は亡くなりました。そのうちのひとりは、重い下痢症のため、わずか2歳半で命が犠牲になりました」と話してくれました。
セーブ・ザ・チルドレン イエメン事務所代表ターメル・キロロスは、「2年におよぶ武力紛争により、子どもたちは、飢餓と病の過酷なサイクルに陥っています。私たちのチームは、栄養不良とコレラに感染した子どもたちに対応しています。この状況が悲劇的なのは、基礎的な保健医療を受けることが出きれば、栄養不良もコレラ感染も、簡単に治療可能だということです。しかし、医療施設は破壊され、国のヘルス・ワーカーは約1年にわたり給与が未払いの状態で、命を守るための支援が届いていません」と訴えます。
セーブ・ザ・チルドレンは、イエメン全土で、コレラ治療センター14ヶ所と経口補水治療センター90ヶ所以上を運営するとともに、治療に必要な物品を届けています。