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インドネシア
(公開日:2015.08.27)

【交通安全】7月の活動ハイライト

 
ラマダン明けの帰省ラッシュの時期に多発する交通事故から子どもたちを守るために行われた「子どもにやさしい・安全なMUDIK(帰省)キャンペーン」の様子をご報告します。

インドネシアの大帰省ラッシュ!子どもたちを交通事故から守れ!

インドネシアを含め世界中でイスラム教徒がひと月間断食する習慣「ラマダン」が、今年は6月から7月にかけて、30日間にわたって行われました。

この長い断食の終了を祝う「レバラン大祭」と呼ばれる日は、各地で花火があげられ、お祭り騒ぎになります。この「レバラン大祭」の一週間前あたりから、お祭りを帰省先で家族と祝おうとする都市部の人々がそれぞれの故郷に向かって大移動する現象、「MUDIK(ムディック)」が始まります。

この時期、インドネシアの主要都市の交通網は大混乱となり、乗り物全てが大混雑する現象が起こります。特にバイクでの帰省はすさまじく、家族全員とその荷物を一つのバイクに乗せて移動しようとする人々もいるようです。そして道路はそのようなバイクで一杯になり、車はのろのろ運転が続く…という状態になります。


今年のMUDIK中の帰省ラッシュの様子。道路はこんな状況に…。

こうした状況は、日本のお盆や年末の帰省ラッシュをほうふつとさせますが、その混雑ぶりは桁違いです。2車線の車道は入り乱れる車で4車線状態になり、その隙間にバイクが入り込んでくるような状況となることから、必然的にこの時期には交通事故が多発します。


大混乱の交通状況の中、多くの帰省者を乗せたバスが事故に遭うことも…。
(安全なMUDIKを呼びかけるパンフレットに掲載された写真より)


子どもがヘルメットも装着させられないまま、家族の間に挟まれるようにして
バイクに同乗させられるケースも少なくないようです。
(安全なMUDIKを呼びかけるパンフレットに掲載された写真より)

当然、近隣のレストランも大混雑。人々は長時間待ったあげく、食事が終わればすぐに退席しなければならず、十分な休憩もとれないまま、再び長い旅路につかなければなりません。

交通量の多い主要な都市では、この帰省ラッシュが少しでも安全に行われるよう、毎年政府関係省庁と関係団体が様々な取り組みを行っています。今年も、国家子どもの保護委員会の呼びかけの下、セーブ・ザ・チルドレンが交通安全事業を実施しているバンドン市においても、子どもの保護に携わる多くの団体が「子どもの保護連合」を組み、「子供にやさしい・安全なMUDIK(帰省)」キャンペーンを実施することになりました。


キャンペーンのスローガンは「道路での子どもの安全を守ろう!」です。このキャンペーンはバンドン市以外でもジャカルタなど、インドネシアの主要都市で同時に開催されました。

バンドン市で7月14日〜15日に行われたキャンペーンは、150名もの地元の大学生ボランティアのサポートを受けて実施されました。キャンペーン期間中は、市内の主要交通網の所々に帰省者向けの休憩スペースを設置し、帰省中の一般市民に「子どもの保護・交通安全」を訴えるステッカーやパンフレットの配布をしたり、スピーチで子どもの安全についてのメッセージを発信したりしました。


150名もの大学生がボランティアとしてキャンペーン活動をサポートしてくれました。
(写真はキャンペーン前のボランティア説明会の様子)


また、バス停や駅、さらには特別に設置した「子どもにやさしい休憩スペース」でのクイズやゲーム大会などを通じて、子どもたちの交通安全への意識を高めました。さらに、ラジオ・トークショーでも、MUDIK中の子どものバイク同乗時にはヘルメットの装着を徹底するよう呼びかけました。


「子どもにやさしい休憩所」で大学生ボランティアと
カードゲームを楽しむ子どもたち。


こちらも「子どもにやさしい休憩所」にて。
大学生ボランティアと交通安全ゲームを楽しむ子どもたち。


帰省者で混雑するバス停で「子どもにやさしい・安全なMUDIK」のメッセージを発信!
(右端に立っているのはインドネシア版バンパイア!)

キャンペーン終了後の国家子どもの保護委員会の発表によれば、2015年のMUDIKは、全国の交通事故数、交通事故犠牲者数、事故による重症の外傷者数の全てが前年を下回る結果となり、交通事故数は3,888件から3,049件へ(21.5%減)、交通事故犠牲者数は714名から657名へ(8%減)、そして事故による重傷の外傷者数は1,939名から1,068名(45%減)に減少したということです。

この成果には、今回のキャンペーンも大きく貢献できたのではないでしょうか。

次回の報告もお楽しみに!

(インドネシア担当:鶴岡 友美)



 

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