インドネシア(公開日:2017.06.01)
【インドネシア交通安全事業】子どもたちが発案した、大人たちへの啓発活動
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンがインドネシアのバンドン市で実施する子どもたちの交通安全事業では、子どもたちも交通安全推進に向けた啓発活動の発案・企画・実施をしています。今回は子どもたちが発案した、大人に対する啓発活動の一部をご紹介します。
子どもたちが、車やオートバイに校門前での徐行運転を呼びかける
子どもたちが、車やオートバイに校門前での徐行運転を呼びかける
5月10日の朝、交通安全事業の対象校のひとつ、Pasawahan小学校の校門前の道路に、生徒・教員・保護者たちが立ち、「ここでは徐行してください」と、車やオートバイの運転手に呼びかけました。これは2017年の世界交通安全週間(5月8日−14日)の啓発キャンペーンとして、子どもたちが発案したものです。
交通安全事業の活動を通じて、行政は安全な通学に向けてスクール・セーフ・ゾーン(徐行指示等の道路標識・標示や横断歩道を含む、校門周辺のゾーン)を設置したものの、運転手の多くはその意味を知りません。同校の生徒たちの「自分たちが交通ルールを守っても、車やオートバイがスクール・セーフ・ゾーンで徐行しなければ危険は無くならない。運転する大人たちに呼びかけたい」という声を受け、学校を挙げてキャンペーンを実施することになりました。
当日は、合計300人あまりの子どもたちが、教員・保護者などの80人の大人とともに、校門前の道路で車両の運転手への呼びかけ活動を行いました。警察官や各校の所在地区を担当する市の職員もこの活動に立ち会いました。
子どもによるオートバイの運転を無くすため、大人たちに協力を要請
中学校では、同年代の仲間に交通安全啓発を行うピア・エデュケーターの生徒たちが中心となり、啓発活動が行われています。なかでもSwadaya中学校の生徒たちは、昨年11月に、世界道路交通犠牲者の日にちなみ、全校生徒に向けた行事を企画・運営しました。この行事では、ピア・エデュケーターの生徒たちの企画・運営により、在学生への交通安全教育活動のみでなく、保護者を対象とする啓発活動が実施されました。
交通安全事業の活動を通じて、行政は安全な通学に向けてスクール・セーフ・ゾーン(徐行指示等の道路標識・標示や横断歩道を含む、校門周辺のゾーン)を設置したものの、運転手の多くはその意味を知りません。同校の生徒たちの「自分たちが交通ルールを守っても、車やオートバイがスクール・セーフ・ゾーンで徐行しなければ危険は無くならない。運転する大人たちに呼びかけたい」という声を受け、学校を挙げてキャンペーンを実施することになりました。
当日は、合計300人あまりの子どもたちが、教員・保護者などの80人の大人とともに、校門前の道路で車両の運転手への呼びかけ活動を行いました。警察官や各校の所在地区を担当する市の職員もこの活動に立ち会いました。
子どもによるオートバイの運転を無くすため、大人たちに協力を要請
中学校では、同年代の仲間に交通安全啓発を行うピア・エデュケーターの生徒たちが中心となり、啓発活動が行われています。なかでもSwadaya中学校の生徒たちは、昨年11月に、世界道路交通犠牲者の日にちなみ、全校生徒に向けた行事を企画・運営しました。この行事では、ピア・エデュケーターの生徒たちの企画・運営により、在学生への交通安全教育活動のみでなく、保護者を対象とする啓発活動が実施されました。
この行事でピア・エデュケーターの生徒たちが取り上げたのは、大人たちが子どもによるオートバイの運転を黙認したり、促したりしているという問題でした。自分でオートバイを運転して通学する同級生に運転をやめるように勧めても、しばしば「うちの親がそうしろと言うから」という反応が返ってくるのです。
セーブ・ザ・チルドレンが交通安全事業を開始した2014年に、バンドン市とバンドン県で実施したアンケート調査では(小学校4−5年生と中学校1−2年生を240人ずつ、計480人が対象)、44%(小学生の18%、中学生の69%)が既にオートバイの運転を経験しており、そのうち73%が運転の仕方を親から習ったと回答しています。親から初めてオートバイの運転の仕方を習った時の年齢の平均は11.3歳でした。
この背景には、中古のオートバイを安価で入手してガソリン代を払うほうが、公共の交通機関の運賃より移動費用が安くつくこと、また、家から離れたバス停まで子どもを送迎したり、乗合バスやオートバイタクシー、人力車を待つ必要がない等の理由から、親が子どもにオートバイを運転させるという事情があります。
インドネシアでは、17歳未満の子どもがオートバイを運転することは法的に禁じられていますが、このようなケースがあまりにも多いため、周囲の大人も違和感をもたず、警察による取締りも必ずしも徹底されていないこともめずらしくありません。2014年に行ったアンケート調査では、オートバイの運転経験を持つ子どもの14%が「自分がオートバイを運転して通学することを、学校が認めている」と回答しました。
Swadaya中学校のピア・エデュケーターの生徒たちが保護者向けに企画した啓発活動は、バンドン市運輸交通局と警察からゲスト・スピーカーを招いて、子どもにオートバイを運転させないよう保護者に呼びかけるセミナーでした。行政・警察・学校がひとつの場で「子どもによるオートバイの運転を黙認しない」という姿勢をともに示したこのセミナーには、生徒の保護者や学校委員会メンバー等80人が出席しました。
子どもたちは、自分たちの交通安全について考える中で、大人たちにも伝えるべきことがあると気づきはじめました。この事業では、学校関係者をはじめとする周囲の大人たちも、その声に耳を傾け、それがより広い社会に発信されるように、子どもたちを支援しています。
(海外事業部インドネシア担当:石川智香子)
セーブ・ザ・チルドレンが交通安全事業を開始した2014年に、バンドン市とバンドン県で実施したアンケート調査では(小学校4−5年生と中学校1−2年生を240人ずつ、計480人が対象)、44%(小学生の18%、中学生の69%)が既にオートバイの運転を経験しており、そのうち73%が運転の仕方を親から習ったと回答しています。親から初めてオートバイの運転の仕方を習った時の年齢の平均は11.3歳でした。
この背景には、中古のオートバイを安価で入手してガソリン代を払うほうが、公共の交通機関の運賃より移動費用が安くつくこと、また、家から離れたバス停まで子どもを送迎したり、乗合バスやオートバイタクシー、人力車を待つ必要がない等の理由から、親が子どもにオートバイを運転させるという事情があります。
インドネシアでは、17歳未満の子どもがオートバイを運転することは法的に禁じられていますが、このようなケースがあまりにも多いため、周囲の大人も違和感をもたず、警察による取締りも必ずしも徹底されていないこともめずらしくありません。2014年に行ったアンケート調査では、オートバイの運転経験を持つ子どもの14%が「自分がオートバイを運転して通学することを、学校が認めている」と回答しました。
Swadaya中学校のピア・エデュケーターの生徒たちが保護者向けに企画した啓発活動は、バンドン市運輸交通局と警察からゲスト・スピーカーを招いて、子どもにオートバイを運転させないよう保護者に呼びかけるセミナーでした。行政・警察・学校がひとつの場で「子どもによるオートバイの運転を黙認しない」という姿勢をともに示したこのセミナーには、生徒の保護者や学校委員会メンバー等80人が出席しました。
子どもたちは、自分たちの交通安全について考える中で、大人たちにも伝えるべきことがあると気づきはじめました。この事業では、学校関係者をはじめとする周囲の大人たちも、その声に耳を傾け、それがより広い社会に発信されるように、子どもたちを支援しています。
(海外事業部インドネシア担当:石川智香子)