トップページ > スタッフブログ > バングラデシュ > 冬の到来で気温が低下しロヒンギャの子どもたちに新たな危機

バングラデシュ
(公開日:2017.12.22)

冬の到来で気温が低下しロヒンギャの子どもたちに新たな危機

 
バングラデシュに避難しているロヒンギャの子どもたちとその家族は、冬の到来で夜間の気温が下がっているなか、暖かい衣服や毛布を緊急に必要としています。



バングラデシュは、1月と2月が最も気温が下がる季節で、夜間の気温は10℃まで下がります。しかし、ロヒンギャの人々が避難しているキャンプでは、半そで短パンに薄手の綿素材の服を着て、裸足で過ごしている子どもたちが少なくありません。多くの人々は、竹でできた簡素な作りの住居の床の上で寝ており、夜間の寒さから体を守るためにあるのは、薄いビニールシートと、とても薄い毛布です。

冬の気温が下がるにつれ、すでに栄養不良によって衰弱している子どもたちの多くが上気道感染症などに罹患するのではないかとの懸念が高まっています。

家族10人とともにバルカリキャンプで避難生活を送っているKhaledaさん(11歳)は、「夜はとても寒く、なかなか寝ることができません。私たちには、汚れた床に敷いたマットレスで寝るしかありません。私たちが持っているのはたった4枚の毛布だけです。家族の中の女性と男性にそれぞれ2枚ずつです。毛布4枚では、私たち家族には足りません。朝になると、屋根から朝露が水滴となって滴り落ちてきて、すべてが濡れてしまいます」と話します。

バングラデシュにあるキャンプに避難するロヒンギャの子ども200人を対象に行った調査によると、多くの子どもたちが、夜間に非常に寒い環境に置かれていることがわかりました。 この調査に参加したクトゥパロンキャンプに避難している少年(16歳)は、「私たちは、暖かい服も毛布も持っていません。寒さに凍え、咳や熱が出始めます」と話します。

セーブ・ザ・チルドレンは、寒い冬の季節に備えて、12月末までに7,000家族(31,000人)に、毛布や大人用ショール、子ども用の長袖の上着、スリッパ、床用マットなどが入った防寒キットを配布します。バングラデシュで支援に取り組むセーブ・ザ・チルドレン避難キャンプ設営専門家Bishnu Prasad Gotameは、「私たちは、最も脆弱な状態にある子どもたちと女性に支援を届けることに重点を置いています。防寒キットは、慢性疾患や、障害のある人、妊娠している女性がいる家族、幼児、高齢者がいる家族に届けられます」と話します。

2017年8月25日以降、ミャンマー・ラカイン州北部における人権侵害を逃れ、バングラデシュに65万5,000人のロヒンギャの人々が避難しています。多くの人々は、服のみを背負って避難してきます。避難してきた人々のうち37万8,000人は子どもで、5歳未満の子ども4人に1人が急性栄養不良に陥っています。

セーブ・ザ・チルドレンの緊急保健医療ユニットに所属し、保健医療専門家であるMaria Tsolkaは、「季節は冬で、夜間の気温は10度まで下がります。他の地域の冬の気温と比較すると穏やかですが、暖かい衣服の不足や簡素なシェルターは、キャンプに避難する人々、特に子どもたちにとって厳しい環境です。

多くの子どもたちは、免疫力が低下しているため、上気道感染症などの疾患に対して脆弱な状態にあります。私たちは、薄いビニールシートで覆われた、竹でできた簡素な住居のなかで眠ることを余儀なくされている子どもたちの状況を懸念しています」と話します。

セーブ・ザ・チルドレンは、バングラデシュに避難しているロヒンギャの子どもたちとその家族を支援するために9,500万ドル(およそ107.7億円)を必要としていますが、現在までに集まった資金は3,864万7,691ドル(およそ43.8億円)で、5635万2,309ドル(およそ63.9億円)が不足しています。


<セーブ・ザ・チルドレンによるバングラデシュでのロヒンギャの人々の支援>
【物資の支援】
セーブ・ザ・チルドレンは、これまでに、食料を86,665家族(43万3,491人うち子ども24万984人)に届けました。また、シェルターキットを26,833家族(13万4,165人うち子ども75,132人)、衛生用品を25,160家族(12万5,100人うち子ども7万448人)、調理器具セットを27,492家族(13万7,460人うち子ども7万6,978人)に届けました。

【子どもの保護】
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの保護事業を通して、3万3,938人以上の子どもたちを支援しています。また、子ども2万9,802人が「こどもひろば」の活動に参加したほか、1,734人に就学前教育を提供しています。

【保健】
セーブ・ザ・チルドレンは、経験豊かな医師や看護師が勤務するコミュニティヘルスポスト(簡易的な診療施設)7ヶ所を運営しています。これまでに、子ども6,632人を含む1万4,209人以上を診察してきました。現在、さらにコミュニティヘルスポスト2ヶ所の開設準備をしています。

【教育】
臨時学習所19ヶ所を開設し、2,950人の子どもたちを支援しています。また、教科書や文房具などの学習キットや、教材の提供、識字や数学、ポジティブ・ディシプリンの専門知識のある教師の派遣などを行っています。



 

あなたのご支援が子どもたちの未来を支えます

もっと見る

月々1500円から、自分に合った金額で子どもの支援ができます。
定期的に年次報告書や会報誌をお送りしています。

1回から無理なくご支援いただけます。

PAGE TOP