バングラデシュ(公開日:2024.04.26)
【バングラデシュ】子どもがつくる子どもの権利が守られる社会
4月30日は「子どもの体罰を終わらせる国際デー」(International Day to End All Corporal Punishment of Children)です。世界中で、毎年13億人以上の子どもたちが体罰を受けています。セーブ・ザ・チルドレンは2030年までに、あらゆる場面で子どもへの体罰を撲滅するための活動を実施しています。
セーブ・ザ・チルドレンは、2019年にバングラデシュの社会福祉局と合同で調査を実施し、バングラデシュ南東部に位置するコックスバザール県では子どもを守る仕組みが十分に機能しておらず、子どもに対する暴力や搾取、虐待などの問題への対応が不十分であることが明らかとなりました。
また、2017年以降、大勢のロヒンギャの人たちが、ミャンマーから避難してきたことによる社会経済的な影響、さらには新型コロナウイルス感染症拡大などによって、子どもがこれらの問題に晒されるリスクは、さらに高まっています。
このような状況を受け、私たちは、バングラデシュ・コックスバザール県で、子どもを暴力や虐待、搾取から守る、子どもの保護の仕組みを強化するための事業を行っています(事業の背景や活動詳細は、事業開始時の記事、2年目の事業開始時の記事、3年目の事業開始時の記事をそれぞれご覧ください)。
子どもをさまざまな暴力や、そのリスクから守るための仕組みを強化するには、地域や行政レベルで、子どもの保護の課題に対応する能力が定着し、地域住民が主体となって子どもの保護に関する活動をすることが重要です。
この事業では、子どもの視点を取り入れるため、地域子どもグループの設立と活動を行っています。
地域子どもグループは、12歳から16歳の子どもたち約20人から構成され、自分たちや周りの子どもが暴力や搾取、虐待の問題やリスクを抱えた場合の相談先や、子どもの権利について啓発活動を行います。
この活動では、3年間で57の地域子どもグループの設立を支援しました。設立後は、子どもの権利や、虐待・児童婚などの子どもの保護の課題、ジェンダー、心理社会的ウェルビーイングなどについて、グループのメンバーに研修を行いました。
ここで、今年2月に訪問した「Jagoron子どもグループ」の活動の様子をご紹介します。ベンガル語の「Jagoron」は、日本語で「目を覚ます」という意味で、「子どもの保護の重要性に目を覚まそう」という願いが込められています。
この日は、学年が異なる中高生の子どもたち約20人が、これまでのグループの活動について発表しました。
学年問わず発言しやすい雰囲気の中で、活動を通した学びや子どもの保護のホットラインの使用方法について、全員が生き生きと話してくれました。
ホットラインとは、子どもの保護の課題が生じた際に、子どもたちを含め誰もが連絡できる社会福祉省の相談先です。また、子どもへの暴力や関連する事象を経験または目撃した際には、学校の先生や地域のソーシャルワーカーに相談することもあるという話もありました。
子どもグループの活動に関して、ある女子は、「子どもグループの一員として活動を始めてから、人前で話すことに自信を持てるようになった」と発言していました。そして、「ここで得た児童労働、体罰、児童婚に関する知識をきょうだいや親に伝えている」、「お母さんに、妹たちだけに家事をやらせないようにお願いした」と教えてくれた男子もいました。
この事業では、地域子どもグループへの支援以外にも、地域のリーダーや教員、青少年の代表、地域行政のソーシャルワーカー、ヘルスワーカー、NGOの代表などから構成された「地域子どもの保護委員会」の設立と活動支援も行っています(詳細はこちらの記事をご覧ください)。
2024年5月末の事業完了まで残りわずかとなりましたが、その後も子どもを守る取り組みが地域で継続されるよう、引き続き地域住民や行政機関と連携・協力しながら、事業成果のさらなる定着と発展に努めます。
本事業は皆様からのご寄付と、外務省 日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。
(海外事業部 木村奈穂)
2月に行われた「Jagoron子どもグループ」の活動の様子
セーブ・ザ・チルドレンは、2019年にバングラデシュの社会福祉局と合同で調査を実施し、バングラデシュ南東部に位置するコックスバザール県では子どもを守る仕組みが十分に機能しておらず、子どもに対する暴力や搾取、虐待などの問題への対応が不十分であることが明らかとなりました。
また、2017年以降、大勢のロヒンギャの人たちが、ミャンマーから避難してきたことによる社会経済的な影響、さらには新型コロナウイルス感染症拡大などによって、子どもがこれらの問題に晒されるリスクは、さらに高まっています。
このような状況を受け、私たちは、バングラデシュ・コックスバザール県で、子どもを暴力や虐待、搾取から守る、子どもの保護の仕組みを強化するための事業を行っています(事業の背景や活動詳細は、事業開始時の記事、2年目の事業開始時の記事、3年目の事業開始時の記事をそれぞれご覧ください)。
子どもをさまざまな暴力や、そのリスクから守るための仕組みを強化するには、地域や行政レベルで、子どもの保護の課題に対応する能力が定着し、地域住民が主体となって子どもの保護に関する活動をすることが重要です。
この事業では、子どもの視点を取り入れるため、地域子どもグループの設立と活動を行っています。
Jagoron子どもグループの子どもたちが描いた絵
地域子どもグループは、12歳から16歳の子どもたち約20人から構成され、自分たちや周りの子どもが暴力や搾取、虐待の問題やリスクを抱えた場合の相談先や、子どもの権利について啓発活動を行います。
この活動では、3年間で57の地域子どもグループの設立を支援しました。設立後は、子どもの権利や、虐待・児童婚などの子どもの保護の課題、ジェンダー、心理社会的ウェルビーイングなどについて、グループのメンバーに研修を行いました。
ここで、今年2月に訪問した「Jagoron子どもグループ」の活動の様子をご紹介します。ベンガル語の「Jagoron」は、日本語で「目を覚ます」という意味で、「子どもの保護の重要性に目を覚まそう」という願いが込められています。
この日は、学年が異なる中高生の子どもたち約20人が、これまでのグループの活動について発表しました。
「Jagoron子どもグループ」の活動についてポスターを用いて発表する様子
学年問わず発言しやすい雰囲気の中で、活動を通した学びや子どもの保護のホットラインの使用方法について、全員が生き生きと話してくれました。
ホットラインとは、子どもの保護の課題が生じた際に、子どもたちを含め誰もが連絡できる社会福祉省の相談先です。また、子どもへの暴力や関連する事象を経験または目撃した際には、学校の先生や地域のソーシャルワーカーに相談することもあるという話もありました。
子どもグループの活動に関して、ある女子は、「子どもグループの一員として活動を始めてから、人前で話すことに自信を持てるようになった」と発言していました。そして、「ここで得た児童労働、体罰、児童婚に関する知識をきょうだいや親に伝えている」、「お母さんに、妹たちだけに家事をやらせないようにお願いした」と教えてくれた男子もいました。
この事業では、地域子どもグループへの支援以外にも、地域のリーダーや教員、青少年の代表、地域行政のソーシャルワーカー、ヘルスワーカー、NGOの代表などから構成された「地域子どもの保護委員会」の設立と活動支援も行っています(詳細はこちらの記事をご覧ください)。
2024年5月末の事業完了まで残りわずかとなりましたが、その後も子どもを守る取り組みが地域で継続されるよう、引き続き地域住民や行政機関と連携・協力しながら、事業成果のさらなる定着と発展に努めます。
本事業は皆様からのご寄付と、外務省 日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。
(海外事業部 木村奈穂)