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バングラデシュ
(公開日:2021.08.25)

ロヒンギャ危機から4年:「これまでで最悪の年」―火災や洪水、新型コロナウイルス感染症により影響を受ける子どもたち

 
およそ100万人のロヒンギャの人たちが、ミャンマーからバングラデシュに避難を強いられてから4年が経ちました。過去1年間に発生した火災や洪水、サイクロン、そして新型コロナウイルス感染症の大流行が、ロヒンギャ難民の子どもたちに深刻な影響を及ぼしています。


コックスバザールの難民キャンプで生活するバンナさん(11歳、写真左) 一家は、今年2回家を失いました。1度目は火災、2度目は7月に発生した洪水が 原因です。

この1年間で起こったさまざまな出来事により、多くの子どもたちが、深刻な精神的苦痛を感じています。コックスバザールの難民キャンプで、メンタルヘルスの支援をしているセーブ・ザ・チルドレンのスタッフは、子どもたちが悪夢を見たり、不眠になる、自傷行為をするなどの精神的に不安定な状態にあると報告しています。実際に、メンタルヘルスと教育支援に携わるスタッフ141人を対象とした調査で、35%のスタッフが、自分自身を傷つけた子どもたちを知っていると回答しています。

特に、度重なる火災を目撃することで、子どもたちは深刻な影響を受けているとされています。子どもたちの多くは、ミャンマーで住んでいた家が燃やされ、隣国に避難してきましたが、ここでもまた、 今年になって避難先の仮設住宅が炎上する様子を目にすることになりました。

2020年の1年間で82件の火災が発生しましたが[1]、今年は年初から7ヶ月間で少なくとも100件の火災が確認されています。さらに、今年7月には、大雨によりキャンプで地滑りと洪水が発生し、少なくとも3人の子どもを含む10人が犠牲となり、2万5,000棟以上の住居が倒壊し、8万3,000人以上のロヒンギャ難民が被害を受けています[2]。

私たちのスタッフの約73%が、活動の中で子どもたちが、キャンプで最近経験した火事や暴力について話すとき、過去のミャンマーでの経験にも言及していると述べました。

7歳のときにミャンマーから避難してきたバンナさん(11歳)の家族は、サイクロンや火災、洪水により家が何度も破壊されました。今年は、キャンプで生活してきた中で最悪の年であると訴えます。

セーブ・ザ・チルドレンのメンタルヘルスの支援を受けているバンナさんは、「家が燃えているのを見て怖かったです。やけどをするのではないかと思いました。次また火事が発生して、逃げられなかったらやけどするのではないかと心配です」と話します。

セーブ・ザ・チルドレン バングラデシュ事務所代表オノ・バン・マネンは次のように訴えます。
「ロヒンギャの子どもたちは、この4年の間、子どもたちが人生で経験すべきではないことを経験し、耐えてきました。彼らが直面する状況はますます悪化しています。ミャンマーで恐ろしい暴力から逃れてきた子どもたちは、わずかに持っていた持ち物が燃やされたり、洪水によって流されたりする様子を目の当たりにしてきました。くわえて、精神保健・心理社会的支援や虐待・家庭内暴力を受けた子どもたちの保護など、子どもたちが必要としてきた支援の多くが、新型コロナウイルス感染症の影響により1年以上中断されてきました。

約50万人の子どもたちがコックスバザールにある難民キャンプでの生活を余儀なくされ、また、幾度となく危機に直面しており、今すぐの支援を必要としています。緊急・人道支援を継続するために、多くの資金が迅速に必要です。」

セーブ・ザ・チルドレンは、新型コロナウイルス感染症対策として、現地でのワクチン接種の促進についてバングラデシュ政府を支援しているほか、国際社会に対し、ロヒンギャ危機の根本原因に対処し、彼らが自主的かつ安全にミャンマーへ帰還できるよう、長期的な解決策を求めています。また、国連加盟国に対し、加害者への責任を追及するよう、可能な限り強力な対策を講じることも要請しています。

[1] Data from the Inter Sector Coordination Group (ISCG)
[2] Data from the Inter Sector Coordination Group (ISCG) Flash Update #5 on Monsoon Response of 18 August 2021, Cox’s Bazar, Bangladesh - Bangladesh | ReliefWeb

 

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