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バングラデシュ
(公開日:2021.05.18)

【ロヒンギャ難民支援】保健事業終了の成果報告

 
セーブ・ザ・チルドレンは、ロヒンギャ難民危機が発生した2017年から3年以上にわたり、バングラデシュのコックスバザールにあるロヒンギャ難民キャンプにおいて、水・衛生、シェルター、保健分野で支援を実施してきました。2020年3月より実施してきた保健事業が2021年3月31日に終了しましたので、活動の成果を報告します。


ヘルスポストでの診察の様子

2020年3月に開始した本事業では、ヘルスポストと呼ばれるロヒンギャ難民キャンプ内にある診療所にて、主に保健・医療、栄養、精神保健・心理社会的支援(こころのケア)の3つの分野において活動を実施しました。

保健・医療支援では、ヘルスポストでの基本的な医療サービスの提供、医療従事者の能力強化研修を行い、感染症・非感染性疾患への対応、妊産婦の健康チェック、子どもの予防接種を実施しました。

また、難民や地域住民などの地域ヘルスワーカーによって、難民キャンプ内でアウトリーチ活動(戸別訪問による支援)を実施しました。アウトリーチ活動では、医療サービスが必要な難民のスクリーニングや、妊産婦や子どもの健康チェック、予防接種の情報提供などを行いました。

事業開始とともに新型コロナウイルス感染症の感染が拡大しましたが、現地の地域ヘルスワーカーが難民キャンプ内のアウトリーチ活動を継続し、感染予防策を周知したほか、感染が疑われる人々を早期に発見できたことで、その後の対処をスムーズに行うことができました。

栄養支援では、地域ヘルスワーカーと地域栄養ボランティアが栄養不良の子どもや母親を特定し、栄養剤の提供などを実施しました。また、母親コミュニティを設置してグループをつくり、妊婦や新生児を育てている母親、2歳以上の子どもを持つ母親などが集まり、子育て経験のある母親から情報共有を受けるなど、各グループ内で母親同士が助け合える場を提供しました。

当初は2グループ10人ほどの参加を予定していましたが、最終的には12グループ120人が参加し、難民キャンプ内で母親同士がつながることができる仕組みを広く構築することができました。


母親グループ活動の様子

精神保健・心理社会的支援(こころのケア)では、長引く避難生活や新型コロナウイルス感染症の拡大などで不安やストレスを抱える難民に対して、自身でできるリラクゼーション方法の指導や心理的応急処置(PFA)を実施しました。

また、精神保健ボランティアや地域ヘルスワーカーが難民キャンプで生活する各家庭を訪問し、難民が自身のストレスのサインに気づくための知識や、ストレスを抱える人に対しての接し方などを伝える啓発活動を実施しました。これらの活動を通して、6万9,720人(ヘルスポストでの支援2万4,217人、アウトリーチ活動による支援4万5,503人)に支援を届けることができました。


リラクゼーション法を指導している様子

支援を受けた難民の一人は、「子どもが風邪になった時にヘルスポストで診察を受けました。そのあとも地域ヘルスワーカーが何度か様子を見に、家を訪問してくれてとても安心しました。ミャンマーにいた頃は、体調を崩すとよく親戚が家を訪ねてきてくれたので、今回のことでミャンマーでの暮らしを思い出しました」と話します。

さらに、2021年3月22日にロヒンギャ難民キャンプで起きた大規模火災を受けて、火災により影響を受けた難民に対して、緊急シェルターキットの配布も行いました。本事業は3月末で終了しましたが、ミャンマーへの帰還の目途もたたないなか、ロヒンギャ難民はいまだ困難な状況に置かれています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、今後もバングラデシュにおけるロヒンギャ難民への支援を継続していく予定です。

本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォーム、株式会社東京ユニフォームからのご支援により実施しています。

(海外事業部 ロヒンギャ難民支援事業担当 加藤笙子)

 

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