日本/子ども虐待の予防(公開日:2010.09.01)
埼玉県和光市の子ども版地域協議会で子どもたちが意見を表明(2010.09.01)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、自治体と協働した子ども参加の実践として、埼玉県和光市との協働により、次世代育成支援対策後期行動計画「わこう子どもプラン」における子ども版地域協議会(以下、子ども版地域協議会)を実施しています。
2010年8月29日(日)、子ども版地域協議会の第ニ回目を和光市役所にて開催し、小学校5年生から高校2年生までの14名の子どもたちが参加しました。今回は、第一回目に議論を深めた「わこう子どもプラン」に関連する市の施策や事業内容に対する問題提起を踏まえ、子どもたちが、自身の生活や和光のまちをよりよくするための提案を、市や地域の大人たちに向けて発表しました。
■子どもの視点から建設的な解決策を提案■
今回の目的は、子どもたちが、自らの経験や集めた情報をもとに、問題提起に対する解決策を提案することにあります。そこで、まずゲームをしながら、みんなで和光がどんなまちになってほしいか話し合いました。子どもたちからは、「安心するまち」、「便利で住みやすい町」、「スポーツがさかんな町」などの意見が出されました。このような長期的な視点をもちながら、その後、児童館、図書館、遊び場、イベント企画、イベント広報という5つのテーマについて、グループに分かれ、具体的な解決策を話し合っていきました。
年齢を超えて、楽しく解決策を話し合う子どもたち
限られた時間の中で、子どもたちは協力しながら発表準備も行い、最後に子ども版地域協議会からの提案を発表。「(児童館で遊具や書籍を新しく購入する際には、子どもたち自身への)ミニアンケートを実施してほしい」、「(子どもたちの意見をもとに)公園をリパークしてほしい」「子どもがイベントを企画できるようにする手助けをしてほしい」など、子どもたちは緊張しながらも、建設的な解決策を一人ひとりの思いを込めて伝えていきました。発表方法も劇や写真・パソコンを活用するなど、豊富でおもしろく、時には笑い声も聞かれるほどでした。
※リパーク:子どもたちが考えた造語。リフォームをもじり、既存の公園を改良することを意味する。
パソコンでわかりやすく提案をまとめ、熱心に発表
発表には、松本武洋和光市長や「わこう子どもプラン」の地域協議会委員5名(有識者、市内子ども関係団体役員など)が参加されました。松本武洋市長は、子どもたちが提案した問題を受け止め、これから改善できる可能性のある取り組みについて具体的にコメントされました。また、西郷泰之地域協議会委員長(大正大学教授)からも「大人の地域協議会に、みなさんの意見を必ず伝え、子ども・大人双方の地域協議会としての提言を市にしていく」との発言があり、今後、和光市で子どものための取り組みがより良くなっていく兆しを参加者全員で共有することができました。
松本市長から子どもたちにフィードバック
■地域が変わる!子どもたちが変わる!!■
「わこう子どもプラン」子ども版地域協議会の実施を通じて、二つの大きな変化 が見られました。ひとつは、市や地域の変化です。今後、子どもたちの意見が市役所の各課に伝えられ、改善のための検討・調整がなされていきますが、子ども版地域協議会によって今まで以上に子どもたち自身の声を反映する仕組みができました。子どもたちの活動をサポートした地域の大人"チャイルド・ファシリテーター"の方々の間でも、今後も情報交換をしながら、継続して和光市内で子ども参加を実践していこうする動きがみえています。もうひとつは、子どもたち自身の変化です。アンケートでは、「思っていたことをたくさん言えてよかった」「自分と違う意見が聞けてよかった」「この協議会に参加することで私たち子どもの立場から出た意見を市に伝えることができた」、「大人は子どもたちの意見を聞いてくれると思った」などの回答が多く寄せられ、子ども自身の意見表明に対する意識の向上や周囲の大人への信頼の高まりを読み取ることができました。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、子どもを取り巻く課題解決のために、子どもたちが声をあげられるよう、今後も子どもと共に、自治体や地域の方々と協働しながら、子ども参加を進めていきます。