日本/子ども虐待の予防(公開日:2014.10.02)
「子ども虐待防止世界会議名古屋 2014」へ参加しました(2014.10.02)
2014年9月、子ども虐待防止世界会議(ISPCAN)が、名古屋市で4日間にわたり開催されました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)は、セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル、セーブ・ザ・チルドレン・スウェーデンと共に、ブースの出展、及びシンポジウムの企画をし、虐待の早期予防のあり方について、広く国内外の関係者らと議論を深めることができました。
本シンポジウムは、共催の一般社団法人 日本子ども虐待防止学会および国際子ども虐待防止学会、その他様々な関係者の多大なる協力のもと開催されました。
■9/15:共催シンポジウムを実施しました!
「人を叩いてはいけない」おとななら当たり前の議論でしょう?
子どもだって「人」です。
〜基調講演より〜
今回の子ども虐待世界会議の特徴として、「子どもへの体罰 (corporal punishment)」に一つの焦点が当たったことが挙げられます。これは、深刻な「虐待」のみならず、子どもたちの日常にある「体罰*」に着目をしていこうという世界的な動きを受けたものです。
そこでセーブ・ザ・チルドレンは「子どもへの暴力・虐待防止のための体罰の根絶を目指して」と題したシンポジウムを日本子ども虐待防止世界会議 名古屋2014事務局と共催することができました。
シンポジウムでは、このテーマの世界的なオピニオンリーダーであるピーター・ニューウェル氏を基調講演に迎え、体罰根絶が必要な理由と子どもに与える負の影響についてお話いただきました。また国内外のゲストスピーカーより、スウェーデン、南アジア地域、日本における具体的な取組みとそこから見えてくる課題をご紹介いただきました。
<当日のプログラム>
3時間にわたるシンポジウムを通し、愛情のこもった平手打ちであったとしても子どもの尊厳を損なうこと、社会において暴力と愛情が共存することがあるというメッセージを子どもに伝えること、そして何より子どもの発達に悪影響を及ぼすものであることを確認しました。また、参加者からは「体罰の問題は、人権の問題であるということが良く分かった」、「体罰が禁止され、体罰を受けたことのない子どもがおとなになっていった時が世の中の暴力が減ってゆくスタートになっていくのかもしれません。肯定的なしつけをひろげていきたい」といった声があがりました。
* 体罰(corporal punishment)とは「どんなに軽いものであっても、有形力が用いられ、かつ何らかの苦痛または不快感を引き起こすことを意図した罰」のこと。(国連子どもの権利委員会より)
■セーブ・ザ・チルドレンの活動紹介:ブース出展をしました!
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもに対する身体的・屈辱的な罰の根絶へ向けた活動を世界各国で推進しています。その活動は、私たちの社会の制度として位置づけられることを目指し、?家庭を含むあらゆる場面における身体的・屈辱的な罰を禁止する法整備、?社会啓発、そして?身体的・屈辱的な罰に代わる子育て、ポジティブ・ディシプリンの普及を柱としています。
世界各国から2500人ほどが参加した本世界会議期間中には、日本国内の多くの関係団体が活動紹介をするためのブースを出展しました。SCJは、上記の活動ほか、東日本大震災復興支援事業の活動をブースで行い、多くの学会参加者に関心を寄せていただきました。
■ 「子どもに対する体罰を終わらせるための手引き〜法改正と社会変革を通じて、体罰及び残虐なまたは品位を傷つける罰をなくすために〜」の日本語版が完成しました!
先述のシンポジウム基調講演者のピーター・ニューウェル氏が率いる団体とセーブ・ザ・チルドレン・スウェーデンがまとめた手引きの日本語版がこのたび完成しました。一市民である我々が、どのような活動を通して「法改正」をしていくとより効果的なのか、わかり易く説明されています。近日中にPDF版を公開致しますので、ぜひご一読ください。
本世界会議を通し、私たちセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのスタッフは、子どもの権利を守り、子どもへの暴力を防止していこうという決意を新たにしました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、今後も家庭を含むあらゆる場面における体罰がなくなる日を目指し、関係者・関係機関との協働による活動をしていきます。
(報告: 東京事務所 片山元子)