日本/子ども虐待の予防(公開日:2019.08.20)
シンポジウム「アストリッド・リンドグレーンとスウェーデンの子ども観に学ぶ、ポジティブな子育て」にパネル参加しました
日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年を記念して「長くつ下のピッピの世界展〜リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち〜」が全国を巡回中です。『長くつ下のピッピ』の作者であるアストリッド・リンドグレーンは、スウェーデンの児童文学作家であり、子どもへの暴力のない社会を目指して尽力した人でもありました。
7月28日(日)には、全国で5ヶ所目となる福岡での世界展開催を記念して、福岡市博物館で、シンポジウム「アストリッド・リンドグレーンとスウェーデンの子ども観に学ぶ、ポジティブな子育て」が開催されました。
セーブ・ザ・チルドレンは、このシンポジウムに、スウェーデン大使館広報・文化担当官のアダム・ベイェ氏と、児童虐待防止全国ネットワーク理事の高祖常子氏とともに、パネリストとして参加しました。
シンポジウムでは、まず、ベイェ氏が基調講演「アストリッド・リンドグレーンのNever Violence!のメッセージと、スウェーデンの事例に学ぶ子育て」を行いました。ベイェ氏は、「世界の平和はひとつの家庭から」と訴えたリンドグレーンのメッセージを伝え、スウェーデンが1979年に世界で最初の体罰禁止国となった際、その目的は、親を処罰することではなかったことを強調しました。そして、子どもには暴力を受けずに育てられる権利があるということを明らかにし、社会規範を変えることが目的であった、と説明しました。
続くパネルディスカッションは、たたかない、怒鳴らないポジティブな子育てをテーマに行われ、セーブ・ザ・チルドレンは、子ども虐待の予防事業の活動内容や、体罰禁止に向けた国際的な動き、2017年に実施した日本における体罰の意識・実態調査の結果について紹介し、高祖氏からは、厚生労働省が推進したキャンペーン「愛の鞭ゼロ作戦」や、子どもと向き合うヒントについて紹介がありました。
パネリストの一人でもあるベイェ氏は、スウェーデンでは昔から、子どもは親に付随しているのではなく、独立した個人であるという子ども観があると指摘し、さらに、日本と比べて、働き方の違いから共働きでも親に時間的・精神的な余裕があることなどから、子育ての負担感にも違いがあることを紹介しました。
シンポジウムには、子育て中の親・養育者や子ども関連の医療関係者、子ども・子育て支援関係者など103人が参加し、活発な質疑応答がありました。その中には、「時間に追われてワンオペ育児をしており、誰かに頼りたいが、近所を見回しても高齢化社会で、頼れる相手は見つからない。そうした中で、単にたたかない、怒鳴らないと言われるよりも前向きなアドバイスが欲しい。」「何十年も体罰禁止の取組をしてきたスウェーデンでさえ、未だに虐待はなくなっていない。なくすにはどうしたらよいのか。」といった意見や質問がありました。
今回のシンポジウムは、「長くつ下のピッピの世界展」の企画元である東映株式会社と東京富士美術館、スウェーデン大使館、セーブ・ザ・チルドレンの連携により実現しました。今後もセーブ・ザ・チルドレンは、体罰等によらないポジティブな子育ての推進を多方面との連携を通じて行っていきます。
(国内事業部:菊池美帆子)
7月28日(日)には、全国で5ヶ所目となる福岡での世界展開催を記念して、福岡市博物館で、シンポジウム「アストリッド・リンドグレーンとスウェーデンの子ども観に学ぶ、ポジティブな子育て」が開催されました。
セーブ・ザ・チルドレンは、このシンポジウムに、スウェーデン大使館広報・文化担当官のアダム・ベイェ氏と、児童虐待防止全国ネットワーク理事の高祖常子氏とともに、パネリストとして参加しました。
シンポジウムでは、まず、ベイェ氏が基調講演「アストリッド・リンドグレーンのNever Violence!のメッセージと、スウェーデンの事例に学ぶ子育て」を行いました。ベイェ氏は、「世界の平和はひとつの家庭から」と訴えたリンドグレーンのメッセージを伝え、スウェーデンが1979年に世界で最初の体罰禁止国となった際、その目的は、親を処罰することではなかったことを強調しました。そして、子どもには暴力を受けずに育てられる権利があるということを明らかにし、社会規範を変えることが目的であった、と説明しました。
続くパネルディスカッションは、たたかない、怒鳴らないポジティブな子育てをテーマに行われ、セーブ・ザ・チルドレンは、子ども虐待の予防事業の活動内容や、体罰禁止に向けた国際的な動き、2017年に実施した日本における体罰の意識・実態調査の結果について紹介し、高祖氏からは、厚生労働省が推進したキャンペーン「愛の鞭ゼロ作戦」や、子どもと向き合うヒントについて紹介がありました。
パネリストの一人でもあるベイェ氏は、スウェーデンでは昔から、子どもは親に付随しているのではなく、独立した個人であるという子ども観があると指摘し、さらに、日本と比べて、働き方の違いから共働きでも親に時間的・精神的な余裕があることなどから、子育ての負担感にも違いがあることを紹介しました。
シンポジウムには、子育て中の親・養育者や子ども関連の医療関係者、子ども・子育て支援関係者など103人が参加し、活発な質疑応答がありました。その中には、「時間に追われてワンオペ育児をしており、誰かに頼りたいが、近所を見回しても高齢化社会で、頼れる相手は見つからない。そうした中で、単にたたかない、怒鳴らないと言われるよりも前向きなアドバイスが欲しい。」「何十年も体罰禁止の取組をしてきたスウェーデンでさえ、未だに虐待はなくなっていない。なくすにはどうしたらよいのか。」といった意見や質問がありました。
今回のシンポジウムは、「長くつ下のピッピの世界展」の企画元である東映株式会社と東京富士美術館、スウェーデン大使館、セーブ・ザ・チルドレンの連携により実現しました。今後もセーブ・ザ・チルドレンは、体罰等によらないポジティブな子育ての推進を多方面との連携を通じて行っていきます。
(国内事業部:菊池美帆子)