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日本/子ども虐待の予防
(公開日:2017.12.04)

石巻市 「子育て講演会&ワークショップ たたかない、怒鳴らない子育てについて考えよう」を開催

 
2017年10月9日、セーブ・ザ・チルドレンは、宮城県石巻市にて、「子育て講演会&ワークショップ たたかない、怒鳴らない子育てについて考えよう」を開催しました。今回の講演会は、『子育てハッピーアドバイス』の著者で医師の明橋大二氏による講演と、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが普及を進める、たたかない、怒鳴らない子育ての考え方「ポジティブ・ディシプリン」の一部を体験するワークショップの二部構成で行われました。

初めに、たたいたり、怒鳴ったりすることが子どもに与える影響について知り、その上で、ワークを交えながら「たたいたり、怒鳴ったりせずに子どもが大切なことを学べるようにするにはどうしたらよいのか」を具体的に考えることで、参加者に日頃の子育てや地域での取り組みにつなげてもらうことを目指しました。当日は、子育て中の保護者をはじめ、保育士、保健師、NPOスタッフなど39人が参加しました。


子どもとの向き合い方を考える〜子育てハッピーアドバイス〜
第一部は明橋大二氏による講演です。明橋氏は医師として患者と向き合う中で、子ども時代にいじめや虐待などつらい体験をしてきた人たちが少なくないことを知った経験から、子どもたちのSOSに気づくことの大切さや、虐待や体罰の影響について語りました。
また、子どもたちにとって「自分は生きている価値がある。私は私でいいのだという気持ちが自己肯定感。この自己肯定感が一番の土台となる」といい、虐待や体罰は、自己肯定感を低くしてしまうこと、長期的に見ると「攻撃性が強くなったり、非行や反社会的行動に走ってしまったり、精神疾患を発症するなどのリスクが高まる」など、子どもの成長・発達に良くない影響を与えてしまうことは科学的に立証済みであることを説明し、子どもの自己肯定感が育つ時期を発達段階の図とともに示しました。「自己肯定感の土台は、気づいたときからもう一度育て直すことができます」という明橋氏。「まずは子どもの話をしっかり聞くこと、そして褒めることが大切。ちょっと見方を変えるだけで必ず褒めるところは見つかります。一番簡単で有効な言葉は、『ありがとう』。自分が役に立てた、ここにいる意味があったと思えるから嬉しい。些細なことにも『ありがとう』を伝えることによって、自己肯定感が育っていくのです」と語りました。思春期の子どもにもこの「ありがとう」は効果的だとのアドバイスがありました。

 
明橋大二氏による講演

たたかない、怒鳴らない子育て「ポジティブ・ディシプリン」を体験してみよう!
第二部ではセーブ・ザ・チルドレンの進行により、たたかない、怒鳴らない子育ての考え方「ポジティブ・ディシプリン」(前向きなしつけ)の紹介と、その一部を体験するワークショップを行いました。これまでの石巻市における活動報告に続き、体罰等が子どもに与える影響について科学的検証と子どもの権利の二つの視点から説明しました。しつけと罰は違うこと、体罰等を用いると子どもたちに「暴力による問題解決」を教えてしまうことなどをお伝えし、子どもに対して体罰や暴言などを使わないことの大切さを共有しました。次に、ポジティブ・ディシプリンの基本的な考え方として、「20歳になったときにどのような大人に育ってほしいか」という長期的な目標を土台にすること、子どもに安全・安心を感じさせるような温かさや、子どもの成長に必要な情報やサポートとなる枠組みを示すこと、子どもの発達段階や気質を踏まえて接することをお話ししました。



続くグループワークでは、「5歳の子どもがお友達をたたいておもちゃを横取りしてしまった」という場面を設定。ポジティブ・ディシプリンの基本的な考え方を使いながらどう対応するか、グループで話し合いながら解決方法を考えました。お互いの経験や意見を交換しながら、子どもにどんな接し方をするか、どのように声をかけるかなど、考えた具体的な方法を出し合っていきました。
最後に、各グループで考えた内容を全体で共有。第一部で講演した明橋氏からも、「子どもたちは自分が大事にされた経験がないと、人を大事にできない。皆さんで一生懸命考えて素晴らしい答えが出せたと思います」と、ワークの成果を受けてのコメントがありました。


参加者アンケートには、「明橋先生のお話を聞くことができ、自己肯定感を育むことの大切さを再認識することができた」「グループワークでは、いろいろな立場の方と話すことができ、参考になりました」などといった感想が寄せられました。

セーブ・ザ・チルドレンは、今後もたたかない、怒鳴らない子育ての考え方を広める活動を続けていきます。

(国内事業部 飯田 万里奈)

 

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