日本/子ども虐待の予防(公開日:2021.03.17)
【報告】子どもとの向き合い方を考えるオンラインセミナー〜「しつけ」から、思いが伝わり合う「つきあい方」へ〜を実施しました
2021年3月13日、セーブ・ザ・チルドレンの特設ウェブサイト「おやこのミカタ」の公開を機に、子どもとのポジティブな向き合い方を広く知ってもらうため、「子どもとの向き合い方を考えるオンラインセミナー〜『しつけ』から思いが伝わり合う『つきあい方』へ〜」を開催しました。
セミナーは、投票機能を使った子育てに関する参加者へのアンケートから始まりました。「子どものことを分かっていると思いますか」という問いに対し、多数の参加者が「分かっていると思う」を選んだ一方で、子育ての悩みについての質問では、悩んでいることとして「子どもとの関わり方」を選んだ人が一番多かったのが印象的でした。
続いて、ある親子の衝突場面のアニメーション動画を流し、改めて子どもとの向き合い方を考えたり、振り返ったりしました。この動画は、ウェブサイト「おやこのミカタ」のコンテンツの一部で、親と子どもで違う視点があるということ、そのうえで子どもに寄り添っていこうというメッセージを伝えています。
そして、セミナーのメインパートとして、子育てアドバイザーとして活躍されている高祖常子さんが、動画の親子の衝突場面を例にあげながら、子育ての中でイライラしてしまうとき、どう子どもと向き合ったらいいのかについて事例を用いて紹介しました。
具体的には、子どもと大人の思いのずれで生じる衝突は、実は大人側の内なる「怒り」が原因としてあることや、そうした「怒り」を直接子どもに向けず、さまざまな方法でイライラをしずめていくことが大事であること、また、「怒り」の前にある自分の本当の感情に注目し、そこを手当てしていくことなどが、事例とともに説明されました。
一方で、子どもの「いやだ」という気持ちは素直に表しても良く、子どもの気持ちは大切にされるべきであること、大人との思いのずれに対しては、「私は〜だと思う」といった「I(アイ)」メッセージを上手く使いながら、子どもと相談をして折り合いをつける工夫をしていくことなどが紹介されました。
次に、セーブ・ザ・チルドレン国内事業部の岩井さくらが、子どもとの向き合い方のヒントを、さまざまな角度から紹介するウェブサイト「おやこのミカタ」について紹介しました。
昨年12月の公開からすでにサイトアクセスは2万回以上にのぼっていることや、このサイトが、すでに一生懸命に子育てを頑張っている方のサポートになれるようにという思いから生まれたことについて話しました。また、「ミカタ」には、「見方」と「味方」の2つの意味があり、子どもの視点(見方)を理解することが、子どもの味方になることにつながるといった願いを込めていることを伝え、サイトの見どころなども紹介しました。
最後の参加者とのQAセッションでは、子育ての悩みや疑問へ回答しました。
例えば、「子どもを叩いてしまった後、謝りづらいのですが、どのように子どもに謝ったら良いでしょうか」という質問に対しては、再度たたかれることを子どもが恐れている可能性もあるため、まずは「たたかないと決めたのに、たたいてしまってごめんね。もうたたかないよ。」と伝えることをアドバイスしました。
そして、なぜたたいてしまったのかを子どもに伝えることも効果的であり、子どもとのコミュニケーションを通じて関係性を築いていくこと、子どもを一人の人間として対等に接することが大切だと指摘しました。そのほかにも多くの質問を受け、時間が許す限り回答しました。
土曜日の夜の開催にもかかわらず多くの子育て中の方にも参加いただき、参加者の皆さんと一緒に、子どもとの向き合い方を考える充実した45分となりました。
アンケートでは、「高祖さんのお話で怒りとその原因を分離することや、体罰はしないと決める、などのメッセージが、心に響きました。」、「自分の育児経験、および既に知っていることと照らし合わせて、新たな知見や見方を知ることができました。発表者の方々のお話しだけでなく、参加者との質疑応答やコメントがあったことも有益でした。」、「『子どもを一人の人間として対等に接する』という言葉が響きました。」、「情報が得られるサイトを紹介していただきありがとうございました」といった声が寄せられました。
セーブ・ザ・チルドレンでは、今後もウェブサイト「おやこのミカタ」の周知とともに、専門家と連携しながらポジティブな子育てを広める活動を続けていきます。
セミナーゲスト:認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事 高祖常子
子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント。資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事を務める。体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省2019-2020)でガイドライン策定委員など、国や行政の委員を歴任。子育て支援や共働き支援など子育てと働き方などを中心とした編集・執筆や、全国で講演を行っている。著書は『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)ほか。3児の母。
(報告:国内事業部 岩井さくら)