日本/子ども虐待の予防(公開日:2021.06.08)
「たたかない、怒鳴らない、子どもと向き合うヒント」オンラインワークショップを実施しました
セーブ・ザ・チルドレンは、5月29日に、福島県で障害のある子どもと親へのサポート活動などを行っているはまどおり大学とともに、オンラインワークショップ『たたかない、怒鳴らない、子どもと向き合うヒント』を開催しました。
セーブ・ザ・チルドレンは2020年から休眠預金等活用法に基づき新型コロナウイルス対応緊急支援助成事業を実施しています。はまどおり大学はその助成団体のひとつで、子どもや大人への人権教育、カウンセリング、子どもや親を支援する「サポートメンバー」の育成などを行っており、セーブ・ザ・チルドレンがその活動を支援しています。
本ワークショップは、はまどおり大学が定期的に行っている勉強会の一環として、子ども・親へのサポートを行っているスタッフや子どもとの向き合い方に興味がある親・養育者を対象に開催しました。当日は、学童保育の指導員 、放課後等デイサービススタッフ をはじめ、保育士や教員、子どもとの関わり方に興味がある保護者など計26人が参加しました。
ワークショップの前半は、2020年4月に施行となった親などによる子どもへの体罰禁止の法律に基づいて、たたく、怒鳴るといった体罰等がどう定義されているのかを説明し、しつけや子どもの安全を守る行動と体罰等との違い、体罰等に対する人々の意識の変化、そして体罰等が子どもに与える影響について考えました。
具体的な事例を通して子どもへの体罰等を考えたとき、参加者からは、「何かを伝えるとき、どんなに軽くても体罰はいけないから、別の方法で考える必要がある」といった意見が出ました。そこから、体罰等、しつけ、安全確保の違いについて理解を深めました。また、体罰等に関する意識・実態調査や体罰等が子どもに与える負の影響についても触れ、体罰等が子どもに与える影響を知ると人々が体罰等に対する意識や考え方が変化していることを伝えました。
後半は、「イライラを理解する」、「子どもに寄り添う」というセーブ・ザ・チルドレンが提案する日々の子育てのヒントから、子どもの権利をベースにした子どもとの向き合い方を考えました。
「イライラを理解する」のパートでは、子どもとの関係性や子どもに大切にしてほしい価値観に照らし合わせながら「ゆずれないもの」を整理し、自分自身の許容範囲を広げていくこと、そして、自分に合ったイライラの対処法を探していくことなどを提案しました。
続くペアワークでは、あとから子どもの気持ちに気づいたエピソードを話し合ってもらい、子どもの目線が大人と異なっていることを心に留めながら、子どもの声に耳を傾けるために大切にしたいポイントなどを一緒に考えました。オンラインでありながらも、普段の子どもとの関わりの体験を踏まえ、熱心に話す参加者の姿が多く見られました。
参加者のアンケートでは、「子どもに対しての暴力が、なぜいけないのか?わかりやすい」「体罰に対する今までの考え方と現在の考え方の変遷を細かく聞けて良かった。これまでの考え方を変えていくことを伝えていかなければならないということが印象的だった」「体罰が当たり前だった世代として、本当に気をつけていきたいなと強く思いました。行動の背景を考えること、聴くこと、気付かせること実践していきたいと思います」などの声が寄せられました。
本ワークショップ「たたかない、怒鳴らない、子どもと向き合うヒント」では、子どもに対してたたいたり、怒鳴ったりといった暴力や体罰等に頼って子育てをする方法ではなく、子どもを一人の人間として尊重していくポジティブな子育てのアプローチについて参加者同士で一緒に考える機会を提供しています。
子どもの身近にいる大人が子どもの権利を大切にする意識を醸成するため、引き続き、セーブ・ザ・チルドレンは「たたかない、怒鳴らない、ポジティブな子育て」の普及を進めていきます。
(国内事業部 岩井さくら)
<JANPIA及び休眠預金等活用法について>
「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(休眠預金等活用法)は2016年に成立した法律で、この法律に基づき、10年以上取引のない預金等(休眠預金等)を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度が2019年度より始まりました。JANPIA(一般財団法人日本民間公益活動連携機構)は休眠預金等活用法に基づく指定活用団体として、休眠預金を活用した民間公益活動の促進を目的として設立された団体です。金融機関に預けられた休眠預金は、預金保険機構から指定活用団体へ交付され、そこから資金分配団体へ、更に資金分配団体から実行団体へと助成されます。
詳細はJANPIAのHPをご覧ください。https://www.janpia.or.jp/kyumin/