日本/子ども虐待の予防(公開日:2018.02.15)
報告書『子どもの体やこころを傷つける罰のない社会を目指して』発表−国内2万人のしつけにおける体罰等に関する意識・実態調査結果−
セーブ・ザ・チルドレンは、2017年7月に、全国2万人の大人を対象に、子どもに対するしつけのための体罰等*に関する意識と、1,030人の子育て中の親や養育者を対象にその実態を把握するために、体罰等に関する意識・実態調査を実施し、報告書『子どもの体やこころを傷つける罰のない社会を目指して』を発表しました。
大人の約6割が体罰容認
大人の約6割が体罰容認
調査の結果から、子どもに対するしつけのための体罰を容認する人が56.8%にのぼる一方で、子どもに対して体罰を決してすべきではないと考える人が43.3%にとどまっていることが分かりました(グラフ1)。さらに、しつけのために子どもをたたくことに対する考えを問う質問に対しても、何らかの場面で子どもに対し「たたくこと」をすべきであると回答した割合は60.0%、「決してすべきでない」と回答した割合は40.0%となり、子どもにしつけのための体罰をすることについての回答結果と大きく変わりませんでした(グラフ2)。
さらに、しつけのために体罰を用いることを「決してすべきではない」と回答した43.3%(8,655人/20,000人)の中でも、お尻をたたく・手の甲をたたくといった罰や、怒鳴りつける・にらみつけるなどのこころを傷つける罰については、容認する人が一定数存在しました。実際に70.1%の子育て中の家庭において、過去にしつけの一環として体罰等が用いられたことがあるということがわかりました。
体罰等を受けた経験と自身の子どもに対する体罰等の実態との関係性では、親や身近な大人からたたかれたことがある回答者は、その経験がない回答者に比べ、自身の子どもをしつけの一環でたたいたことがあったと答えた割合が比較的高い結果が出ました。一方で、たたかれたことが「全くなかった」という人でも約6割が、自身の子どもに対して、たたいたことが1回以上あったという結果になりました(グラフ21)。また、回答者の子育てに関する状況と、体罰等の実態との関係性についても調べたところ、「子どもの言動に対してイライラする」頻度が高いほど、「たたく」「怒鳴る」といった体罰等の頻度も高い結果となりました。
最後に、たたかない、怒鳴らない子育てについての意識を質問した結果から、子育て中の回答者の約6割が、体罰等によらない子育てをしたいが実践は難しいと感じる、あるいはそのような子育て方法を知りたい、と考えていることがわかりました。
体罰等をなくすための3つの提言
これらの結果を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、体罰等を決して容認しないという認識を社会全体に広め、体罰等を用いない子育てを推進すべく、社会啓発、法改正および親や養育者への支援の3点について、以下の通り国や地方自治体に対して提言します(提言の詳細は報告書pp.23〜24参照)。
提言1:子どもに対する体罰等を容認しない社会をつくるために、啓発活動を推進すべきである。
提言2:家庭を含むあらゆる場面での子どもに対する体罰等を、法律で禁止すべきである。
提言3:親や養育者が体罰等によらない子育てを実践するための支援をさらに拡充すべきである。
*「体罰等」とは、体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰(2006 年国連子どもの権利委員会一般的意見8号)を指す。詳細は、報告書p.2参照。
<調査概要>
【調査の目的】しつけのための子どもに対する体罰等について、年齢、性別、居住地、子どもの有無などにかかわらず、日本全国における大人の意識および実態を確認すること。また、調査結果を、日本において家庭を含むあらゆる場面での子どもに対する体罰等をなくすための政策提言と社会啓発につなげること。
【主な調査内容】
・意識調査:子どもの有無と第一子の年齢、体罰等の容認度、回答者が子どもの頃に受けた体罰等の経験
・実態調査:回答者が自身の子どもに対して体罰等を用いた実態、回答者の子育てに関する状況、体罰等によらない子育てに関する考え方
【調査方法】調査会社が提供する専用調査画面を用いたウェブアンケート
【調査の対象】全国、20歳以上の男女
・意識調査:男女、子どもの有無が同数となり、かつ年齢に偏りがないように抽出した大人2万人
・実態調査:意識調査回答者の中から子どもをもつ者を第一子の年齢別に同数になるように抽出した大人1,030人
【調査期間】
・意識調査: 2017年7月10日(月)〜2017年7月13日(木)
・実態調査: 2017年7月11日(火)〜2017年7月12日(水)
・調査結果レポート(全文)はこちら: http://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/php_report201802.pdf
<本調査結果を受けての今後の活動>
体罰等は、個人の尊厳を保障する子どもの権利を侵害する行為であるだけでなく、体罰等が子どもの発達に負の影響を与えることが、さまざまな科学的根拠を伴ってすでに明らかになっています。くわえて、国際社会では、家庭を含むあらゆる場面での子どもに対する体罰等をなくすための法制化や社会啓発などの取り組みが確実に進んでいます。セーブ・ザ・チルドレンは、日本においても体罰等を決して容認しない社会をめざして、法改正に向けた政策提言、体罰等によらない子育ての重要性を訴える社会啓発、「ポジティブ・ディシプリン」プログラムを通じた親や養育者に対する支援に取り組んでいきます。
<セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの日本における子ども虐待の予防のための取り組み>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、すべての子どもが、怯えたり、委縮したりすることなく、安心・安全に成長することができる社会を目指して、政策提言、社会啓発、親や養育者に対する支援を行っています。2009年より、子どもをたたかない、怒鳴らない子育ての考え方「ポジティブ・ディシプリン(前向きなしつけ)」の普及を行うとともに、2013年から、子ども虐待の予防に向けた政策提言や社会啓発などの活動を行っています。今回の意識・実態調査は、子ども虐待の予防に向けた事業の一環として実施しました。
さらに、しつけのために体罰を用いることを「決してすべきではない」と回答した43.3%(8,655人/20,000人)の中でも、お尻をたたく・手の甲をたたくといった罰や、怒鳴りつける・にらみつけるなどのこころを傷つける罰については、容認する人が一定数存在しました。実際に70.1%の子育て中の家庭において、過去にしつけの一環として体罰等が用いられたことがあるということがわかりました。
体罰等を受けた経験と自身の子どもに対する体罰等の実態との関係性では、親や身近な大人からたたかれたことがある回答者は、その経験がない回答者に比べ、自身の子どもをしつけの一環でたたいたことがあったと答えた割合が比較的高い結果が出ました。一方で、たたかれたことが「全くなかった」という人でも約6割が、自身の子どもに対して、たたいたことが1回以上あったという結果になりました(グラフ21)。また、回答者の子育てに関する状況と、体罰等の実態との関係性についても調べたところ、「子どもの言動に対してイライラする」頻度が高いほど、「たたく」「怒鳴る」といった体罰等の頻度も高い結果となりました。
最後に、たたかない、怒鳴らない子育てについての意識を質問した結果から、子育て中の回答者の約6割が、体罰等によらない子育てをしたいが実践は難しいと感じる、あるいはそのような子育て方法を知りたい、と考えていることがわかりました。
体罰等をなくすための3つの提言
これらの結果を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、体罰等を決して容認しないという認識を社会全体に広め、体罰等を用いない子育てを推進すべく、社会啓発、法改正および親や養育者への支援の3点について、以下の通り国や地方自治体に対して提言します(提言の詳細は報告書pp.23〜24参照)。
提言1:子どもに対する体罰等を容認しない社会をつくるために、啓発活動を推進すべきである。
提言2:家庭を含むあらゆる場面での子どもに対する体罰等を、法律で禁止すべきである。
提言3:親や養育者が体罰等によらない子育てを実践するための支援をさらに拡充すべきである。
*「体罰等」とは、体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰(2006 年国連子どもの権利委員会一般的意見8号)を指す。詳細は、報告書p.2参照。
<調査概要>
【調査の目的】しつけのための子どもに対する体罰等について、年齢、性別、居住地、子どもの有無などにかかわらず、日本全国における大人の意識および実態を確認すること。また、調査結果を、日本において家庭を含むあらゆる場面での子どもに対する体罰等をなくすための政策提言と社会啓発につなげること。
【主な調査内容】
・意識調査:子どもの有無と第一子の年齢、体罰等の容認度、回答者が子どもの頃に受けた体罰等の経験
・実態調査:回答者が自身の子どもに対して体罰等を用いた実態、回答者の子育てに関する状況、体罰等によらない子育てに関する考え方
【調査方法】調査会社が提供する専用調査画面を用いたウェブアンケート
【調査の対象】全国、20歳以上の男女
・意識調査:男女、子どもの有無が同数となり、かつ年齢に偏りがないように抽出した大人2万人
・実態調査:意識調査回答者の中から子どもをもつ者を第一子の年齢別に同数になるように抽出した大人1,030人
【調査期間】
・意識調査: 2017年7月10日(月)〜2017年7月13日(木)
・実態調査: 2017年7月11日(火)〜2017年7月12日(水)
・調査結果レポート(全文)はこちら: http://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/php_report201802.pdf
<本調査結果を受けての今後の活動>
体罰等は、個人の尊厳を保障する子どもの権利を侵害する行為であるだけでなく、体罰等が子どもの発達に負の影響を与えることが、さまざまな科学的根拠を伴ってすでに明らかになっています。くわえて、国際社会では、家庭を含むあらゆる場面での子どもに対する体罰等をなくすための法制化や社会啓発などの取り組みが確実に進んでいます。セーブ・ザ・チルドレンは、日本においても体罰等を決して容認しない社会をめざして、法改正に向けた政策提言、体罰等によらない子育ての重要性を訴える社会啓発、「ポジティブ・ディシプリン」プログラムを通じた親や養育者に対する支援に取り組んでいきます。
<セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの日本における子ども虐待の予防のための取り組み>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、すべての子どもが、怯えたり、委縮したりすることなく、安心・安全に成長することができる社会を目指して、政策提言、社会啓発、親や養育者に対する支援を行っています。2009年より、子どもをたたかない、怒鳴らない子育ての考え方「ポジティブ・ディシプリン(前向きなしつけ)」の普及を行うとともに、2013年から、子ども虐待の予防に向けた政策提言や社会啓発などの活動を行っています。今回の意識・実態調査は、子ども虐待の予防に向けた事業の一環として実施しました。