企業連携(公開日:2020.10.16)
【連携事例】従業員参加によるボランティア:ワークショップ「日本の子どもの貧困問題を社会に知ってもらうために」を開催
2020年9月25日(金)、セーブ・ザ・チルドレンは、米国のメディア企業であるディスカバリー社の従業員ボランティアとともに、オンラインでワークショップを開催しました。
このワークショップは、セーブ・ザ・チルドレンが日本国内で取り組む「子どもの貧困問題解決事業」の一環として昨年行った全国意識調査の結果を広く社会に周知していく方法について、情報発信のプロフェッショナルである同社の従業員からインプットをもらい、今後の事業の参考とすることを目的としたものです。
企業の従業員を巻き込む連携〜従業員エンゲージメント
セーブ・ザ・チルドレンは、さまざまな企業とパートナーシップを組んで子どもたちの課題解決にともに取り組んでいます。そうした連携の形の一つに、「従業員エンゲージメント(従業員巻き込み)」があります。
企業の従業員が寄付やチャリティイベント、ボランティアやプロボノなど自らアクションを起こすことにより、企業としての支援はもちろん、従業員一人ひとりがセーブ・ザ・チルドレンのサポーターとして活動を支える連携です。
ディスカバリー社との今回のワークショップ開催も、そうした活動の一環です。ディスカバリー社は、グローバルパートナーとして、世界22ヶ国でセーブ・ザ・チルドレンの活動をサポートしています。同社の日本法人であるディスカバリー・ジャパン社も、2020年よりセーブ・ザ・チルドレンの日本国内での活動(1.子どもの貧困問題解決、2.子ども虐待の予防、3.国内緊急対応、新型コロナウイルス感染症緊急支援等)を支援しています。
同社は、毎年特定の1日をImpact Day(インパクト・デイ)とし、世界中で一斉に従業員がボランティア活動をする日を設けています。例年は清掃活動などを行っているそうですが、今年はコロナ禍の影響で、対面での活動が難しい中、オンラインでセーブ・ザ・チルドレンと何か協働ができないかとの提案があり、今回のワークショップが実現しました。
「子どもの貧困に関する全国市民意識調査」についてディスカッション
セーブ・ザ・チルドレンは、2019年夏に「子どもの貧困に関する全国市民意識調査」を実施しましたが、この調査結果について、より多くの人に関心を持ってもらいたいと考えていました。そのためにはどのような方法が効果的か、ワークショップでディスカバリーの従業員ボランティアに話し合ってもらいました。
当日は24人のディスカバリー従業員がオンラインで参加しました。90分のワークショップの前半は、セーブ・ザ・チルドレンの国内事業部担当者が、日本の子どもの貧困の現状について、調査結果をもとに説明を行いました。
後半は、オンラインで4つのグループに分かれ、(1)調査結果の中で注目すべきポイントとその理由、(2)どのように打ち出していくべきかについてディスカッションを行いました。
日本の子どもの貧困率、13.5%も?!
ディスカッションは盛り上がり、あっという間に時間終了となる中、さまざまな意見がでました。
● そもそも「日本の子どもの相対的貧困率が13.5%(7-8人に1人の子ども、約260万人)」という数字の高さに驚いた。多くの人が日本の貧困に「無関心」なのは、課題を認知していないから。このショッキングな数字をもっと前面に打ち出し、まず知ってもらう必要がある。- ● 「貧困」と聞いても、途上国の飢餓や衣食住の欠乏などの絶対的貧困をイメージする中、日本の中での貧困はイメージしづらい。戦争をしている遠い国の話なのだろうと「他人事」に思う人が多い。日本の国で起きていることだと「自分ゴト化」してもらう必要がある。
- ● 相対的貧困のイメージが分かりづらい。スマートフォンや勉強部屋を持てないことが、今の時代の子どもにとってどのような弊害があるかなど、もっと社会で議論できる場が必要。子どもの具体的な声を動画などに撮って直接届ければ、強いメッセージになるのではないか。
● 「子どもの権利」を尊重しているか?尊重されていると思うか?という調査結果では、大人と子どもの回答に大きなギャップ(大人31%、こども18%)がある。子どもの権利にフォーカスし、子どもは大人の所有物ではないこと、子どもの主張も受け入れられる社会・環境が必要であるというメッセージをもっと伝えていくべきだろう。
一人ひとりが子どもの課題を自分ゴト化し、企業としても解決へ貢献
今回はオンラインでのボランティア活動という初の試みでしたが、短い時間の中でも、ディスカバリー社の従業員たちが、「日本の子どもの貧困問題」について自分ゴト化し、熱心に議論を交わしていたのがとても印象的でした。
まだまだ知られていない「日本の子どもの貧困」という課題を、一般社会に広く知ってもらうためのヒントとなる視点が数多く出され、セーブ・ザ・チルドレンにとっても貴重なインプットの時間となりました。今後の活動にも活用していく予定です。
参加した従業員からも「普段意識したことがなかった日本の子どもの貧困について、現状を知ることができ、とても勉強になりました。」、「チームディスカッションが結構盛り上がり、有意義な時間でした。最後の発表ではチームごとに違う視点があって、興味深かったです。」といった感想が聞かれました。
これからもセーブ・ザ・チルドレンは、企業との連携を深めともに子どもたちの課題解決に取り組んでいきます。従業員エンゲージメントの取り組みも促進し、コロナ禍でできる連携として、オンラインでの活動にもさらに力をいれていく予定です。
(報告:パートナーリレーションズ部 法人連携チーム 山田有理恵)
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セーブ・ザ・チルドレンは、毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決のために、緊急・人道支援や教育、子どもの保護、保健・栄養などの分野で、日本を含む世界約120ヶ国で活動しています。これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。
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