トップページ > スタッフブログ > 企業連携 > 【セミナー開催報告】「コロナ禍の世界の子どもたちの保健課題解決を共に考える」 第1回

企業連携
(公開日:2021.01.14)

【セミナー開催報告】「コロナ禍の世界の子どもたちの保健課題解決を共に考える」 第1回

 

セーブ・ザ・チルドレンは、サステナブルな社会の実現を企業の皆さまとともに考える場として、業界・テーマ別にセーブ・ザ・チルドレンのアプローチや事業を紹介する「業界特化型シリーズ」でオンラインセミナーを実施しています。

2020
1126日に、子どもたちの健康を守るために何ができるかを企業の皆さまとともに考えることを目的に、保健・衛生分野に特化したオンラインセミナーシリーズコロナ禍の世界の子どもたちの保健課題解決を共に考える」の第1回目のセミナーを開催しました。

1回目は、「コロナ禍の子どもたちが抱えるリスクとセーブ・ザ・チルドレンの取り組み」をテーマに、保健課題に関する世界的な潮流を踏まえつつ、コロナ禍で世界の子どもたちが直面している保健リスクの共有と、そのリスクから子どもたちを守るためにセーブ・ザ・チルドレンが実際に世界で行っている活動についての紹介を行いました。



【コロナ禍で世界の子どもたちが直面する保健リスク】

まず、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアドカシーヘッドの堀江由美子が、現在の国際保健の潮流と子どもの保健の位置づけや課題、コロナ禍がもたらしているリスクについて以下のポイントを話しました。

●乳幼児死亡率の削減・根絶は国際社会が目指す重要目標の一つ。5歳未満の子どもの死亡の約半数が新生児で、出産時に母親が適切なサービスを受けられていないことに加え、下痢やマラリア、はしかなど本来は基礎的な保健医療サービスによって予防・治療が可能な原因や、栄養不良なども間接的な要因になっている


●新型コロナウイルス感染症は、子どもたちに以下のような大きなリスクをもたらしている。

・新型コロナウイルス感染症対応への集中による通常の保健医療サービスの中断や施設の閉鎖によりサービスが受けられない
・感染の恐れから予防接種や保健医療サービスを受けに行けない、個人防護具などの不足により(医療従事者側が)適切な保健医療サービスを提供できない
・新型コロナウイルス感染症の影響による収入減で医療費が払えない、食料を入手できない
・水や衛生設備へアクセスできない

必要なのは最貧国、脆弱国にフォーカスした支援で、まずは基本的な保健医療サービス、そしてパンデミックに対応できる保健システムの整備と、コミュニティや市民社会への支援が求められる

SDGsの目標3でも掲げられているユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)は、すべての人が必要とする保健医療サービスを経済的困難に直面することなく受けられる状態を目指すもの。各国それぞれの状況に応じた公的医療制度をつくるべく、途上国政府、先進国ドナーに加え、国際機関や民間セクター、NGOがサポートするマルチステークホルダーの取り組みが求められる



セーブ・ザ・チルドレンの取り組み】
続いて、海外事業部グローバル戦略ディレクターの塩畑真里子が、保健リスクから子どもたちを守るためにセーブ・ザ・チルドレンが行っている活動について以下のポイントを説明しました。

セーブ・ザ・チルドレンは、スタッフが事業地域に入り、コミュニティの人々と一緒に課題の解決を目指して活動するのが特徴。例えば、母親や青少年、子どものグループを形成し、活動の主体となってもらうなど、既存の組織を活用し、地元や中央行政とも協力して活動を行っている

コロナ禍ではセーブ・ザ・チルドレンの活動も影響は受けているが、世界44ヶ国で50万人以上のコミュニティの保健ワーカーやボランティアが保健や衛生の活動を継続実施。平時から構築してきたコミュニティベースの草の根の保健組織が新型コロナウイルス感染症の感染予防などの活動の基盤としても役立っており、スタッフが事業地に行けない場合も、地元のボランティアと電話などで連絡を取り合いながら活動を継続している

新型コロナウイルス感染症緊急支援の対応計画としては、感染症を抑えて子どもたちを守ること、教育機会の継続確保、貧困層への食料確保、経済的打撃を受けた子どもたちとその家族の支援継続などを実施。感染症拡大により地域の保健医療サービスが停止し、乳幼児・妊産婦の死亡率が上がってしまったという過去の教訓から、基礎保健サービスの維持に力をいれて活動している

乳幼児死亡率を下げるには「子どもの命を守る最初の1000日」が重要。主に遠隔地、貧困層、少数民族を対象に以下の3つのアプローチを実施している

(1)新生児のケア
早すぎる妊娠予防、家族計画、出産間隔に関するカウンセリング、産前ケア、安全な出産への情報提供、コミュニティの保健ワーカーやボランティア・助産師を育成

(2)コミュニティでの子どもの病気のケア
持続性の観点(機材、人材確保の問題など)から、病院建設よりも保健ボランティアなどコミュニティの人材育成に重点をおき、軽症の下痢やマラリアを地元で治療するアプローチを実施 (セーブ・ザ・チルドレンが介入して死亡率が改善された例として、中米ニカラグアでは、乳幼児死亡率6年間で40%18%に減少)

(3)子どもの栄養
コミュニティで保健師ボランティアを指導し、ボランティアが母親や保護者に保健・栄養指導を行う。たんぱく源摂取のために、自宅で鶏を育し、卵を子どもの食事に入れることなども奨励



【参加企業の声】
ランチタイムの1時間という短い時間での開催でしたが、当日は、医薬品、医療機器メーカー、ヘルスケア分野に関連する企業などから25人が参加し、以下のような感想が寄せられました。
具体的な数字と共に現地の課題を知ることができた
セーブ・ザ・チルドレンの課題解決のセオリー、成果の詳細をご紹介いただき分かるようになった
COVID-19 の日本以外の国の状況を知れた


次回は2月に第2回目を開催する予定です。企業の皆さまとの協業の可能性も視野に入れつつ、具体的な事業事例をご紹介していきます。参加を希望される法人の方は、メールで申込フォームをお送りしますので、japan.corporatepartner@savethechildren.org までご連絡ください。

(報告:パートナーリレーションズ部 法人連携チーム 山田有理恵)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

セーブ・ザ・チルドレンは、毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決のために、緊急・人道支援や教育、子どもの保護、保健・栄養などの分野で、日本を含む世界約120ヶ国で活動しています。これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。

【企業・団体の皆さまからのお問い合わせ先】

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 法人連携チーム
japan.corporatepartner@savethechildren.org
または下記までお電話でお問い合わせください。
TEL03-6859-0010(東京)/06-6232-7000(大阪

https://www.savechildren.or.jp/partnership/



 

あなたのご支援が子どもたちの未来を支えます

もっと見る

月々1500円から、自分に合った金額で子どもの支援ができます。
定期的に年次報告書や会報誌をお送りしています。

1回から無理なくご支援いただけます。

PAGE TOP