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企業連携
(公開日:2021.02.02)

【セミナー開催報告】 オンライン講演会 「シリーズ〜他社事例から学ぶサステナビリティの取り組み〜イケアの事例」第2回

 

セーブ・ザ・チルドレンがシリーズで実施する、サステナブルな社会の実現をともに考えるオンラインセミナー。20201210日に、「他社事例から学ぶサステナビリティの取り組み」の第2回目セミナーを、イケア・ジャパン株式会社サステナビリティビジネスパートナーのマティアス・フレドリクソン氏を講師に招き実施しましたので、講演の概要をお伝えします(1回目の開催報告はこちら)



<イケアのサステナビリティ戦略>
イケアには「より快適な毎日を、より多くの方々に」提供するというビジョンがあります。ところが、私たちの世界は、気候変動、持続不可能な消費、温室効果ガスの排出という課題により、急速に変化してきています。こうした課題に、環境、社会、経済の3つの側面から取り組み、より快適な毎日を、より多くの方々に届けていくというのが、イケアのサステナビリティの戦略です。 
この戦略のベースとなっているのが、持続可能な開発目標(SDGs)で、「ピープル・アンド・プラネット・ポジティブ」つまり、人々と地球にとってイケアがあってよかった、というプラスの状況を目指しています。
その戦略で重点を置いている分野が、1)健康的&持続可能な生活、2)サーキュラー&クライメートポジティブ、3)公平&インクルーシブの3つです。 
イケアは、「作って売って使って捨てる」というこれまでのビジネスモデルを、今チェンジしていかないと持続不可能になると認識しています。全世界で毎年10億人にのぼるイケア店舗への来店者が環境に配慮した生活を送るようになれば大きなインパクトを生み出せる、という考えのもと、サーキュラー(循環型)な未来へのコミットメントとして、2030年までにすべての素材を、再生可能・リサイクル可能なものにするなど、循環型製品にしていく取り組みを進めています。
また、2030年までにイケアのバリューチェーン全体のすべての人にポジティブな影響を生み出すことを目指しています。イケアに関わりのある人全員が、イケアが販売する製品に公平に関われるように、そして満足してもらうために、イケアは「IWAY」と称して、サプライヤーの行動規範を準備しました。2000年の導入以降はイケアのすべての活動を対象にし、監査も定期的に行っています。



<ダイバーシティとインクルージョンへのアプローチ>
ダイバーシティとインクルージョン(D&I)については、以下のようなファクトがあります。



  • 76%の男女が文化的・社会的性差別あるいは性的偏見をもっている。男性のほうが女性よりキャリアに適していると思っている[1]
  • 62%の人々がジェンダー多様性に対して、どう対応したらよいか分からない[2]
  • 現在の進捗率では、男女間の経済格差を埋めるのに202年かかると見込まれる[3]
  • 女性と比べて男性が昇進する可能性は3[4]である
  • 女性管理職が経営陣にいる企業はそうでない企業より投資収益率が34%高い[5]
  • 2028年までに世界中で消費力の75%は女性によって管理されると予想されている[6]


こうしたファクトを考えると、男女平等は社会にとって望ましいことであり、会社が成長していく上でもチャンスであると捉えています。しかしながら、男女平等を実現させるためには、アクションを取らないと何も変わることはありません。イケアの現状は、女性管理職49%(イケア・ジャパンのケース)、女性従業員65%といった状況です。
イケアが目指すのは、人を大切に思う企業として、すべての職務レベル、職位で男女バランスが5050となり、同一労働、同一賃金に積極的に取り組むことです。女性と男性が独自の貢献を評価され、独自の補完的な方法で組織の文化に影響を与え、ジェンダーを含む職場環境の構築に努める。そうすることで、イケアは事業のあらゆる分野と社会の前向きな変化に貢献できると考えています。
こうした考えのもと、イケアはこれまでに、福利厚生と雇用改革を行い、一緒に住んでいるパートナーの出産のときに15日間休暇をとれる制度(パタニティーリーブ)を取り入れています。講演者自身も、パタニティーリーブを取得し、その後1年間の育児休暇を取得し、ずっと子どもと過ごして家事や育児をしました。
その他にも、国際女性の日を祝ったり、男女バランスをKPIとして設定したりして、店長や社長がミーティングするときにもそうしたKPIを見ています。KPIの数字はあがっていますが、まだまだやらねばならないことは多いと認識されています。


 また、LGBT+[7]については以下のファクトがあります。


  • 世界の40%の国には同性間の性的関係を有罪とする法律が存在する[8]
  • 同姓パートナーの結婚を認めるのは世界で30ヶ国のみ[9]
  • LGBT+の人々の世界的な年間購買力は、世界で3.7兆米ドル[10]

イケアは人を大切に思う企業として、LGBT+の従業員が自分らしくいる権利を支持し、インクルーシブな職場環境の構築を積極的に目指しています。
福利厚生では、性別に関係なく、一緒に住んでいるパートナーの出産にあたり、休暇を取れるようにしています。また、プライドフェスティバル[11]への積極的な参加や、毎年517日に全店舗とイケアの社内外のコミュニケーションチャネルにてIDAHOT [12]を祝うほか、メンバーシップや社員登録などに必要な性別情報に関して、ジェンダーニュートラルな選択肢を用意しています。



<コロナ禍での社会支援>
コロナ禍でイケアは、さまざまな社会支援を行ってきました。
セーブ・ザ・チルドレンに対しては、202056月に実施した、経済的に困難な状況にある家庭に対する「ひとり親家庭応援ボックス」提供に際し、5,000個のおもちゃやお菓子を寄付、1,000世帯以上のひとり親世帯に届けることができました。
社会課題解決を考えていく上で、イケアのサステナビリティの広い戦略には参考になるところが多々ありました。


セーブ・ザ・チルドレンは今後も、事例紹介のセミナーを開催していきます。
セミナーに関心のある法人の方は、下記までご連絡ください。


japan.corporatepartner@savethechildren.org

(報告:パートナーリレーションズ部 法人連携チーム 吉田克弥)





[1] Think you’re notbiased against women at work? Read this, Women@Forbes, December 2016.
[2] Women Matter, Time to Accelerate, McKinsey& Company, 2017.
[3] Global GenderGap Index 2018, WorldEconomicForum
[4] Women Matter 2016, McKinsey & Companyand Lean In, 2016.
[5] The Bottom Line: Connecting CorporatePerformance and Gender Diversity, Catalyst, 2004.
[6] She for Shield: Insure women to betterprotect all, IFC and AXA, September 2015.
[7] レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー等の頭文字を取った単語
[8] The state of LGBT rights worldwide 2018. ByAmnesty International.
[9] Business Insider, 2019
[10] 1) Global LGBT annual spending power.(2015). LGBT Capital. UK. 2) Burns, C. (2012). The Costly Business ofDiscrimination. Center for American Progress.
[11] 性と生の多様性を祝うイベント
[12] International Day Against Homophobia,Transphobia & Biphobia(国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日)。LGBT+など多様な性の人たちの人権に対する意識を高める国際デー


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セーブ・ザ・チルドレンは、毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決のために、緊急・人道支援や教育、子どもの保護、保健・栄養などの分野で、日本を含む世界約120ヶ国で活動しています。これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。

【企業・団体の皆さまからのお問い合わせ先】

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 法人連携チーム
japan.corporatepartner@savethechildren.org
または下記までお電話でお問い合わせください。
TEL03-6859-0010(東京)/06-6232-7000(大阪


https://www.savechildren.or.jp/partnership/



 

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