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企業連携
(公開日:2021.01.12)

【セミナー開催報告】「コロナ禍における新しい働き方への対応〜子どもへの影響から考える」第1回

 

2020124日、セーブ・ザ・チルドレンは、企業を対象としたオンラインセミナー「コロナ禍における新しい働き方への対応〜子どもへの影響から考えるを開催しました。

「ビジネスと人権」は
持続可能な開発目標(SDGs)やESG (Environment-環境、Social-社会、Governance-企業統治に配慮した取り組み)とも深く関わるテーマですが、その欠かせない要素の一つに「子どもの権利とビジネス」があります。子どもは従業員の家族であるとともに、未来の消費者そして従業員でもあります。ビジネスにおける身近なステークホルダーである子どもとの接点について考え、「子どもの権利」を尊重することは、企業にとってもビジネスの持続性や価値向上、潜在リスクの回避にもつながります。


セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの権利とビジネスの関わりについて考える機会を提供することを目的として、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン後援のもと、ビジネスと人権を3つのキーワード【職場環境】【マーケティング】【サプライチェーン】から考えるセミナーシリーズを企画しました。まずは【職場環境】を切り口に、身近なところから考えるきっかけとして、「
コロナ禍で顕在化した新しい働き方への対応を子どもへの影響という視点から考える」ことをテーマとしたセミナーを実施しました。

■コロナ禍で悩みを抱える「社員」への対応が、子どもにとっての利益にも繋がる

まず、企業からの事例発表として、資生堂グループのKODOMOLOGY株式会社 代表取締役の小林貞代氏が、「コロナ禍における従業員のワークライフバランスの課題・子どもへの影響と対策〜新しい働き方への転換を積極的に進める資生堂グループの取り組み〜職場がこどもを大切にするということ」と題して、講演を行いました。

【講演ポイント】
KODOMOLOGY2015年に株式会社資生堂の中に設置された部門「未来創造局」にて、日本全国の約6,000名の社員と「100年先の未来」を語り合うグループセッションを実施した中から生まれた会社。現在、株式会社資生堂や他企業が設置する、計4つの事業所内保育所の運営やコンサルティングを担っている。

KODOMOLOGYが幸せにしたい人は、「子ども」「社員」「保育者」。こどもに関わる人の気持ちの安定が子どもにとっての利益にも繋がる。

コロナ禍で「社員」には、在宅勤務、在宅保育でストレスがたまる、子どもとの向き合い方がわからないといった悩み・課題が発生。「社員に寄り添う」べく、人事部とともに、保護者のリフレッシュ目的での一時保育を強化したり、社員向けオンライン番組でコロナ禍の保育に関する情報提供を行ったりなど新たな取り組みを実施。また、資生堂CEOは、エッセンシャルワーカーであるKODOMOLOGY保育士に対して、緊急事態宣言後、感謝レターを発出した。


■雇用者が「子どもの権利」を保護することでプラスのインパクトにも繋がる
次に、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアドボカシーヘッド堀江由美子が、「コロナ禍の働き方における子どもたちのリスク〜解決の糸口としての『子どもの権利とビジネス原則』」と題して講演しました。


【講演ポイント】
「子どもの権利」とビジネスの関わりは「児童労働」のみならず幅広い分野に及び、あらゆる企業が直接的・間接的に子どもとの接点をもっている。企業が子どもに与えるあらゆる側面のインパクトについて認識を深めることが重要。202010月に日本政府が発表した「ビジネスと人権」に関する行動計画の中でも、「子どもの権利の保護・推進」という項目が設けられている。

コロナ禍での在宅勤務の増加や休業など、労働環境・家庭環境の変化・悪化の影響を受け、親の精神的なストレスや経済的な打撃が児童虐待やDV(家庭内暴力)の増加にもつながっている。雇用者側である企業としても、とれる対策はとっていくことが重要。

企業活動において子どもの権利を守り、尊重するための10の行動原則をまとめたガイドライン「子どもの権利とビジネス原則(CRBP」は、国連グローバル・コンパクト、国連児童基金(ユニセフ)、セーブ・ザ・チルドレンが、20123月に発表し(日本語版は20145月に発表)、企業が従業員の雇用・職場環境について子どもへの影響から考えるための「糸口」となるもの。また、職場以外に市場(製品・広告・マーケティング)、企業活動が展開される地域における原則も含む。

・セーブ・ザ・チルドレンが中国で運営する社会的企業のCenter for Child Rights and CSRCCRCSR)の取り組み例:中国に工場を展開する企業19社に対し、工場内に従業員の子どもが安心して過ごせるチャイルド・フレンドリー・スペースの設置をサポート。従業員の仕事効率アップや、高い信頼性と満足度による離職防止効果、子どもとの関係性の改善などプラスのインパクトに繋がっている。


■「子どもの権利」を尊重することは「成長のチャンス」にも

続いて、第三者の「視点」として、株式会社日本総合研究所創発戦略センター シニアマネジャー 村上芽氏が、「企業が子どもの権利を重視すべき意義、その重要性について」と題して講演しました。

【講演ポイント】
子どもを”ステークホルダー“として見る企業は少ないが、「子どもの権利」を尊重することはビジネスにとって、「リスク回避」の側面だけではなく、「成長のチャンス」にも繋がるといえる。

SDGsの達成された世界(将来の豊かさ)を目指し、ESGに配慮した活動を進めるにあたり、取り組みのヒントが「子どもの権利とビジネス原則(CRBP)」にはある。SDGs169のターゲットを見ると、「子ども」に関わるものも多く、ビジネス上にこれらに貢献する接点があれば、成長のチャンスを描けるのではないか。

例えばSDGsのゴール16には子どもの参加というポイントも含まれている。事例として、ユーグレナ社が「最高未来責任者(CFO)」に高校生を任命し、経営に子どもの視点を取り入れていたり、スウェーデンの電気通信事業者のテリア社が、「子どもアドバイザリーパネル」を設けたりしていることなどがある。


■「子どもの権利」を自社ゴト化するために、まずできること
その後の対談と質疑応答では、具体的に企業が着手できる取り組みとして以下があげられました。

まずは徹底して社員の声を聴いてみる。その際、不満を吸い上げるのではなく、未来に向かってポジティブな提案をしてもらう工夫をするとよい。できるかできないかを一旦切り離し、さまざまなアイデアを募る。

どんな企業でも、直接的あるいは間接的に子どもとの接点があるので、あらゆる企業活動・バリューチェーンの中でどんなところに「接点」があるか把握するために、一度「棚卸」をしてみる。

すでに子どものために取り組んでいるものがあっても気づいていない可能性があるので、まずはそれらを洗い出してみる。

社員の家族、子どもの声も聴いてみる

■参加企業の声
当日は、約70人が参加し、以下のような感想が寄せられました。
ビジネスと子どもは、児童労働以外には繋がりにくいと考えていたが、子どもの権利尊重は企業にも関係があり、チャンスにもなるということが新たな気付きとなった
ステークホルダーに「子ども」を入れる考え方がなかったため、非常に参考になった
企業ができる事について具体的に考えることができた

2回目は2月下旬に【マーケティング】「子どもに影響を及ぼす広告やマーケティングへの配慮」をテーマに開催する予定です。参加を希望される法人の方は、メールで申込フォームをお送りしますので、japan.corporatepartner@savethechildren.org までご連絡ください。

(報告:パートナーリレーションズ部 法人連携チーム 山田有理恵)

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セーブ・ザ・チルドレンは、毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決のために、緊急・人道支援や教育、子どもの保護、保健・栄養などの分野で、日本を含む世界約120ヶ国で活動しています。これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。

 

【企業・団体の皆さまからのお問い合わせ先】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 法人連携チーム
japan.corporatepartner@savethechildren.org
または下記までお電話でお問い合わせください。

TEL03-6859-0010(東京)/06-6232-7000(大阪)
https://www.savechildren.or.jp/partnership/


 

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