企業連携(公開日:2022.03.15)
HAPIC 2022に登壇〜「社会課題解決に向けた企業・NGO連携の可能性と課題」を議論
近年、企業による社会課題解決の取り組みの必要性への認識が強まっており、その連携相手としてNGO/NPOも重視されるようになってきています。しかし、NGOと連携することをちゅうちょしたり、何から始めたらよいか分からずにアクションに移せなかったりする企業が多くあることも事実です。
そんな企業の背中を後押しするようなヒントが散りばめられたセッションが開催されました。
2022年2月13日から15日にかけて、JANIC(国際協力NGOセンター)が主催したカンファレンスHAPIC 2022 (HAPPINESS IDEA CONFERENCE 2022)は、NGO/NPOなどの市民社会組織のほか、企業、行政、専門家などさまざまな人たちが集い、実現したいしあわせの姿や課題解決に向けたアイデアを共有し交流を深める場です。
初日のセッションの一つ「社会課題解決に向けた企業・NGO連携の可能性と課題」に、セーブ・ザ・チルドレン 法人連携チームの吉田克弥がパネリストとして登壇しました。
このセッションでは、企業に対する課題意識調査の結果や、具体的な事例を踏まえながら、モデレーターと3人のパネリストが、企業とNGOとの間にある障壁にどう向き合い、いかにして乗り越えていけるのかについて議論しました。
(登壇者)
• 赤堀久美子 株式会社リコー ESG戦略部
• 徳永美能里 特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン マーケティング第1部 コミュニケーション課
• 山?克也 アビームコンサルティング株式会社 素材・化学ビジネスユニット兼サステナビリティーユニット
• 吉田克弥 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン パートナーリレーションズ部 法人連携チーム
(五十音順 敬称略)
企業とNGOとの認識のギャップ
冒頭にモデレーターのアビームコンサルティング株式会社の山?氏から、経団連が実施した社会貢献に関する調査結果の共有がありました。それによると、連携相手としてのNGOへの期待が高い一方で、実際の連携内容は、寄付・自社製品の提供といった内容が主流であり、事業化に向けた連携などはまだあまり進んでいない実態が見られました。
また、2021年8月から11月にかけて同社が実施した企業とNGOの連携ニーズについてのインタビュー調査では、企業とNGOとの間に、双方の課題の捉え方、期待値やアプローチ方法、スピード感の違い、目的意識のずれなどのさまざまなギャップが存在することが見えてきたとの報告もありました。
「対等なビジネスパートナー」になるために
こうしたギャップに対し、セーブ・ザ・チルドレンの吉田からは、欧米企業とのグローバル連携事例を通じて、グローバル・パートナーがもつ下記のような特徴を紹介しました。
(1)子どもを「支援の対象」としてだけではなく、将来のカスタマー、将来の従業員、従業員の家族、といった多面的な視点から「ステークホルダー」と捉えている
(2)NGOを「ビジネスパートナー」として認識し、共通のビジョンを設定して企業がもつアセットとNGOがもつ専門性とによって共同で何ができるかを考えていく姿勢をもっている
企業側からの視点として、株式会社リコーの赤堀氏からは、セーブ・ザ・チルドレンと協働したインドでの教育事業での経験をもとに、両者のギャップを埋めるための重要なポイントがあげられました。
(1)ゴールの共有(企業とNGO双方がお互いの目指そうとしているところに共感できるか)
(2)ブラッシュアップできる関係性の構築(企業が取り組もうとしていることは目指したいアウトカム・インパクトに繋がるのか、NGOからのインプットにより軌道修正していけるか)
また、ワールド・ビジョン・ジャパンの徳永氏からは、NGO側からの視点として、以下の指摘がありました。
(1)連携が深まるほど、総論で一致しつつも各論で反対が出てくるなど、難しい調整が必要になる
(2)その克服には、「目指すビジョンの一致」と、「透明で対等なパートナーとしてのコミュニケーションがとれるかどうか」がカギとなる
(3)連携において、どこまでを達成するのか、ゆずれないことは何か、それぞれの責任は何か、意思決定をもつのは誰なのかなどを早い段階で出し合うことが大事である
企業とNGOが連携することで得られるもの
ディスカッションを通じて浮かび上がってきたのは、企業がNGOと連携することにはさまざまなメリットがあり、社会課題解決に取り組むための有効な方法の一つであるということです。
(1)NGOのネットワークや専門性を活用することで、課題への理解が深まるとともに、ネガティブなリスク回避だけではなく、「ポジティブなインパクト」をもたらすための視点が得られる
(2)支援を必要とする方たちを企業のスコープに入れることにより、新しいビジネスのニーズにもつながり、「オポチュニティ」を見つけることができる
(3)さまざまなステークホルダー(経営者、従業員、顧客、投資家、消費者など)からの評価の向上にもつながる
まずは小さな連携からでも
企業とNGOとの間の障壁を乗り越えていくためには、共通のビジョンを掲げることをベースに、企業側もNGO側も相手の立場をリスペクトし、互いの目指していることをしっかりとすり合わせるプロセスが重要であるということを印象づけられるようなセッションとなりました。
企業もNGOも、それぞれに「違い」があるからこそ新しい気づきがあり、そこに連携の価値が生じます。互いの理解を深め、信頼関係を構築していくために、まずは対話や小さな連携など互いにできることから始めてみることが重要なのではないでしょうか。
セーブ・ザ・チルドレンは、これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。
(報告:パートナーリレーションズ部 法人連携チーム 吉田克弥)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セーブ・ザ・チルドレンは、毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決のために、緊急・人道支援や教育、子どもの保護、保健・栄養などの分野で、日本を含む世界約120ヶ国で活動しています。これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。
【企業・団体の皆さまからのお問い合わせ先】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 法人連携チームjapan.corporatepartner@savethechildren.org
または下記までお電話でお問い合わせください。
TEL:03-6859-0010(東京)/06-6232-7000(大阪)
https://www.savechildren.or.jp/partnership/
そんな企業の背中を後押しするようなヒントが散りばめられたセッションが開催されました。
2022年2月13日から15日にかけて、JANIC(国際協力NGOセンター)が主催したカンファレンスHAPIC 2022 (HAPPINESS IDEA CONFERENCE 2022)は、NGO/NPOなどの市民社会組織のほか、企業、行政、専門家などさまざまな人たちが集い、実現したいしあわせの姿や課題解決に向けたアイデアを共有し交流を深める場です。
初日のセッションの一つ「社会課題解決に向けた企業・NGO連携の可能性と課題」に、セーブ・ザ・チルドレン 法人連携チームの吉田克弥がパネリストとして登壇しました。
このセッションでは、企業に対する課題意識調査の結果や、具体的な事例を踏まえながら、モデレーターと3人のパネリストが、企業とNGOとの間にある障壁にどう向き合い、いかにして乗り越えていけるのかについて議論しました。
(登壇者)
• 赤堀久美子 株式会社リコー ESG戦略部
• 徳永美能里 特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン マーケティング第1部 コミュニケーション課
• 山?克也 アビームコンサルティング株式会社 素材・化学ビジネスユニット兼サステナビリティーユニット
• 吉田克弥 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン パートナーリレーションズ部 法人連携チーム
(五十音順 敬称略)
企業とNGOとの認識のギャップ
冒頭にモデレーターのアビームコンサルティング株式会社の山?氏から、経団連が実施した社会貢献に関する調査結果の共有がありました。それによると、連携相手としてのNGOへの期待が高い一方で、実際の連携内容は、寄付・自社製品の提供といった内容が主流であり、事業化に向けた連携などはまだあまり進んでいない実態が見られました。
また、2021年8月から11月にかけて同社が実施した企業とNGOの連携ニーズについてのインタビュー調査では、企業とNGOとの間に、双方の課題の捉え方、期待値やアプローチ方法、スピード感の違い、目的意識のずれなどのさまざまなギャップが存在することが見えてきたとの報告もありました。
「対等なビジネスパートナー」になるために
こうしたギャップに対し、セーブ・ザ・チルドレンの吉田からは、欧米企業とのグローバル連携事例を通じて、グローバル・パートナーがもつ下記のような特徴を紹介しました。
(1)子どもを「支援の対象」としてだけではなく、将来のカスタマー、将来の従業員、従業員の家族、といった多面的な視点から「ステークホルダー」と捉えている
(2)NGOを「ビジネスパートナー」として認識し、共通のビジョンを設定して企業がもつアセットとNGOがもつ専門性とによって共同で何ができるかを考えていく姿勢をもっている
企業側からの視点として、株式会社リコーの赤堀氏からは、セーブ・ザ・チルドレンと協働したインドでの教育事業での経験をもとに、両者のギャップを埋めるための重要なポイントがあげられました。
(1)ゴールの共有(企業とNGO双方がお互いの目指そうとしているところに共感できるか)
(2)ブラッシュアップできる関係性の構築(企業が取り組もうとしていることは目指したいアウトカム・インパクトに繋がるのか、NGOからのインプットにより軌道修正していけるか)
また、ワールド・ビジョン・ジャパンの徳永氏からは、NGO側からの視点として、以下の指摘がありました。
(1)連携が深まるほど、総論で一致しつつも各論で反対が出てくるなど、難しい調整が必要になる
(2)その克服には、「目指すビジョンの一致」と、「透明で対等なパートナーとしてのコミュニケーションがとれるかどうか」がカギとなる
(3)連携において、どこまでを達成するのか、ゆずれないことは何か、それぞれの責任は何か、意思決定をもつのは誰なのかなどを早い段階で出し合うことが大事である
企業とNGOが連携することで得られるもの
ディスカッションを通じて浮かび上がってきたのは、企業がNGOと連携することにはさまざまなメリットがあり、社会課題解決に取り組むための有効な方法の一つであるということです。
(1)NGOのネットワークや専門性を活用することで、課題への理解が深まるとともに、ネガティブなリスク回避だけではなく、「ポジティブなインパクト」をもたらすための視点が得られる
(2)支援を必要とする方たちを企業のスコープに入れることにより、新しいビジネスのニーズにもつながり、「オポチュニティ」を見つけることができる
(3)さまざまなステークホルダー(経営者、従業員、顧客、投資家、消費者など)からの評価の向上にもつながる
まずは小さな連携からでも
企業とNGOとの間の障壁を乗り越えていくためには、共通のビジョンを掲げることをベースに、企業側もNGO側も相手の立場をリスペクトし、互いの目指していることをしっかりとすり合わせるプロセスが重要であるということを印象づけられるようなセッションとなりました。
企業もNGOも、それぞれに「違い」があるからこそ新しい気づきがあり、そこに連携の価値が生じます。互いの理解を深め、信頼関係を構築していくために、まずは対話や小さな連携など互いにできることから始めてみることが重要なのではないでしょうか。
セーブ・ザ・チルドレンは、これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。
(報告:パートナーリレーションズ部 法人連携チーム 吉田克弥)
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セーブ・ザ・チルドレンは、毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決のために、緊急・人道支援や教育、子どもの保護、保健・栄養などの分野で、日本を含む世界約120ヶ国で活動しています。これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。
【企業・団体の皆さまからのお問い合わせ先】
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 法人連携チームjapan.corporatepartner@savethechildren.org
または下記までお電話でお問い合わせください。
TEL:03-6859-0010(東京)/06-6232-7000(大阪)
https://www.savechildren.or.jp/partnership/