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バングラデシュ
(公開日:2025.08.07)

【国際青少年デー】第2弾:バングラデシュにおける青少年の就労・起業支援を通したエンパワメント

 
8月12日の「国際青少年デー(International Youth Day)」にあわせて、セーブ・ザ・チルドレンが3ヶ国で行っている事例を紹介します。第2弾はバングラデシュ事業の紹介です。
「国際青少年デー」に関する第1弾、第3弾のブログ記事は下記をご参照ください。
【国際青少年デー】第1弾:トルコにおける青少年の就労・起業支援を通したエンパワメント
【国際青少年デー】第3弾:マダガスカルにおける青少年の貧困・栄養改善支援を通したエンパワメント



国際的な記念日に女性の権利や女性の社会参加の啓発を目的に、
青少年が地域を行進する様子 


公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下セーブ・ザ・チルドレン)は、バングラデシュ南東部のチャットグラム(旧名:チッタゴン)県において、2022年1月から女性をはじめ特に脆弱な状況にある青少年を対象とした就労・起業支援を行っています。
詳細は以下のブログを参照ください。
【バングラデシュ】青少年の起業・就業支援−JETROダッカ事務所所長による事業地訪問 
【バングラデシュ】「私が就職したことを家族も誇りに思ってくれています」−青少年の起業・就業支援事業 
【バングラデシュ】 青少年の起業・就業支援事業を開始しました 


バングラデシュにおける青少年の状況
バングラデシュは、2031年までに上位中所得国となり、2041年には高所得国に移行することを目指しており、近年、経済成長率を7%に維持し続けている成長目覚ましい国の一つです。バングラデシュの人口は約1 億7千万人、そのうち15歳から29歳の人口は約28%です1 。国際労働機関(ILO)によると、バングラデシュにおける青少年の失業率は約17%と上昇傾向にあり、約30%(男性:11.1%、女性 49.3%)は、教育や就労、就労に向けた訓練などを受けていないNEET(Not in Education, Employment or Training)の状態にあると言われています2 。これらの青少年は、経済的困難を理由に教育を中断せざるを得ず、仮に仕事に就けたとしても、低賃金で危険な労働に従事している場合が多いです。政府・民間からの支援は限定的で、特に女性は就業機会やスキルを伸ばす機会が少ないです。これは、「女性は家庭」といった役割や移動の制限を強調する文化・社会規範が影響しています。また、バングラデシュに暮らす女性の15人に1人が18歳の誕生日を迎える前に結婚しており3 、青少年は児童婚の高いリスクに晒されています。若い頃に労働市場に参加できないことは、世代を超えた貧困の連鎖を生み出すリスクにも繋がります。経済成長が急激に進むバングラデシュにおいては、次世代を担う青少年への就業・起業支援が必要な状況です。


支援の内容
このような背景から、私たちはバングラデシュの第2の都市で、同国最大の港湾工業都市でもあるチャットグラム県チャットグラム市にて、スラムに暮らす女性をはじめとした特に脆弱な状況にある18-24歳の青少年に就業・起業支援を実施しています。青少年が就業・起業に必要な知識やスキル、マインドセットを身に着け、地域社会への参画を促進することで、青少年自らの力で貧困の連鎖を断ち切ることができるようになることを目指しています。


事業の内容は、大きく2つに分けられます。
アウトプット1: 能力強化および就業・起業支援
アウトプット2: 地域での啓発活動および政府・民間機関との連携強化


特にこの事業では、コミュニケーションスキルやリーダーシップなどのソフトスキルや、基本的なPCスキルなどのテクニカルスキルのほか、デジタルマーケティングやAIなどの最新のトレンドを交えたテーマも研修で扱っています。また、バングラデシュは気候変動によって大きな影響を受けている国の一つであるため、カーボンフットプリントに関する知識や、環境保全や持続可能な社会の実現に貢献するために、環境に配慮した商品やサービスについて学び、起業に向けて事業形成を行うセッションも実施しています。これに合わせて、消費者である地域住民の環境問題への関心を高めるために、地域住民へのポリ袋の使用や環境への影響についても取り上げ、啓発を行っています。


移動式研修センターの中でライフスキル・ICTスキルなどの研修を受ける青少年の様子 


また、就業・起業に向けた履歴書作成、面接支援、地域の起業家や企業とのコネクションづくりのサポートなどを通じて、青少年が起業・就業機会を得られるように支援しています。特に、政府・民間機関との連携を強化しており、女性が働きやすい環境づくりに向けて、政府・民間機関への研修も今後実施していきます。


ジョブフェアで商品を紹介し、起業家たちとコネクションをつくる青少年の様子

このほか、青少年、特に女性が教育や職業訓練を受け、社会に参加することの重要性を認識できるよう、養育者や地域住民、特に宗教指導者や地域リーダーに向けて啓発活動を行っています。さらに、青少年自らが自身の体験を地域住民に共有するために、国際女性デーなどの国際的な記念日での啓発活動も行っています。



活動に参加した青少年の変化
ベラルさんの話―「適切なスキルと思い切りがあれば、どんなに困難な始まりも力強い新たな始まりへと導くことができる」


起業先で働くベラルさん 

チャットグラム市のHamzerbaghに住む21歳のベラルさんは、父親(日雇い労働者)と母親(主婦)との3 人暮らしです。ベラルさんは一人息子として、家族の中で重責を担っており、常に経済的な苦境に直面していました。父親が日雇いの仕事に従事できない日には、家族は収入がありません。彼の人生は毎日が苦闘の連続でした。
10年生(中学校卒業レベルに相当)を終えた後、ベラルさんは高校への進学はせず就業することを決意しました。しかしながら、職は見つからず、1年間失業状態でした。そんな状況が一変したのは、彼が地元の啓発キャンペーンでセーブ・ザ・チルドレンの能力強化研修のプログラムを見つけたときでした。彼はこのチャンスをつかみ、ためらうことなく参加しました。
研修中、ベラルさんは特に熱心な態度で受講していました。彼は学びながら地元の店でフリーランスの仕事を始め、働くことへの自信と技術を強化しました。研修終了後、5日間の起業に関する研修に参加し、小さなデジタルエージェンシー(インターネット系広告代理店)を立ち上げるために、開業に必要な融資支援を受けました。
さらなるステップアップを決意したベラルさんは、2024年12月から応用レベルであるコンピューター・サイエンス・プログラムに参加しました。セーブ・ザ・チルドレンの支援と彼自身の意欲により、彼はすぐにチャットグラム市のAndarkillaにある印刷会社「Micro Computer」で仕事を得ました。それだけでなく、親戚の援助でパソコンを購入し、夜は自身が立ち上げた新規事業を続けています。今、ベラルさんは単なる企業の一社員であるだけでなく、家族を支え、自身のスキルを伸ばし、明るい未来を築く若い起業家でもあります。

ベラルさんのストーリーは、能力強化と個人がもつ可能性が、いかにその人の人生を変えることができるかを示す力強い一例です。

私たちの就業・起業支援の研修に参加した青少年の多くは、自信を身に着け、特に女性は自宅から外出することさえ難しい文化的価値観が残る中で、自身の意見を表明したり、就業や起業に向けて青少年同士で協力し合い、未来を切り開こうとする姿が印象的です。この活動に参加した女性の中には、活動に参加していなければ児童婚をさせられていた可能性についても言及しています。今や彼女たちは、地域の女性リーダーのロールモデルになりつつあり、女性が就業・起業を通じて社会に参加することについて、彼女たちの家族や地域住民の理解も深まり、青少年だけでなく地域全体のエンパワメントにも繋がっています。


自転車を使って、地域住民に啓発活動を行う青少年の様子 

私たちは、青少年が持つポテンシャルを最大限発揮できる環境を創るために、引き続き支援を続けてまいります。


本事業は、株式会社 ファーストリテイリング(ユニクロのPEACE FOR ALLプロジェクト)からのご寄付により、現地団体のEnvironment and Social Development Organization (ESDO)と共同で実施しています。


来週は、国際青少年デーの第3弾としてマダガスカルの事例をお届けします。

(海外事業部 松田友美)

1 The Daily Star (2023).Youths account for 28pc of population. [online] Available at: https://www.thedailystar.net/news/bangladesh/news/youths-account-28pc-population-3293161 [Accessed 28 July. 2025].
2 ILO (2025). Bangladesh:Job creation and economic diversification remains top priority for government,employers and workers in 2025. [online] Available at: https://www.ilo.org/resource/news/bangladesh-job-creation-and-economic-diversification-remains-top-priority [Accessed 28 July. 2025].
3 UNICEF (2020). ENDINGCHILD MARRIAGE: A profile of progress in Bangladesh. [online] Available at: https://www.unicef.org/bangladesh/media/4526/file/Bangladesh%20Child%20Marriage%20report%202020.pdf.pdf [Accessed 28 July. 2025].





 

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