シリア危機(公開日:2014.02.18)
襲う大寒波、急増する避難民―寒さに凍えるシリアの子どもたち(2014.02.18)
©Ahmad Baroudi/Save the Children
大寒波が中東を襲う
皆さんもテレビでご覧になったでしょうか?
昨年12月、シリア、レバノンなどの中東地域を大寒波が襲い、エジプトのカイロでは数十年ぶりの降雪が見られるなど、記録的な寒さとなりました。
シリア紛争から逃れ、レバノンの建設途中の建物に避難している家族は、暖房のない仮住まいの中で寒さをしのいでいます。
ヨルダンの難民キャンプでは、テントが降雪により軒並み倒れる例も報告されています。シリア国内各地においても、気温の急激な低下や降雪があり、戦闘を逃れ避難生活を送るシリアの人々には大打撃でした。
©Ahmad Baroudi/Save the Children
2013年後半、急増する避難民、より一層困難な状況に
シリア国内では、昨年の後半から戦闘が激化し、市街地にて継続する戦闘を逃れて避難する人が急激に増加しています。
国連の見込みでは2013年末までに680万人が人道的支援の必要な状態に陥ると予測されていましたが、実際には、2013年12月の時点で、予測を37%も上回る930万人(これは大阪府の人口約860万人を上回ります)が人道的支援を必要としている状態にあると報告されています。
そして、その半分は18歳未満の子どもたちです。
大阪府の全人口全と同じだけの数―どれほど多くの人々が支援を必要とするか、イメージしていただけるでしょうか?
これまでは家庭菜園や自然に育つ野菜で飢えを凌いでいた人々も、冬になり、自分たちで食料を見つけることができなくなり、飢餓への心配が急増しています。
また、戦闘に巻き込まれる恐れやあまりの寒さから、両親が子どもを学校へ送り出すことをためらうようなケースも報告されています。
しかも、シリア国内の戦闘地域を逃れ避難を続ける人々は、空き地や谷底などに集まって自主的な避難生活を送っていることが多く、テントもなく、配給された青いビニールシートの上に毛布を敷いただけで寒さをしのぐことになった家族が多数発生していました。
このような状況でも、戦闘の影響により、人々に支援を届けることは簡単ではありません。
人道支援をシリアの子どもに届けたい
このような状況の中、セーブ・ザ・チルドレンは、国連難民高等弁務官やユニセフ事務局長等、計15名と共同で公開書簡を発表し、シリアの子どもの危機的状況に対して、
1.子どもたちへの緊急支援を妨害しない。
2.学校や医療施設を標的にしない、また軍事施設として使用しない。
3.人口が密集した地域への爆撃を行わない。
という原則を、すべての内戦の当事者が遵守するように働きかけています。
シリア国内の子どもの保護を求める共同公開書簡の内容は、こちらのブログ記事(1月21日)からご覧ください。
国連・アラブ連盟合同のシリア特別代表ブラヒミ氏(左)に、和平会議に向けて集めた32,347件の署名を手渡すセーブ・ザ・チルドレンのスタッフ(右)
(報告者:海外事業部 田邑恵子)