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シリア危機
(公開日:2020.03.15)

シリア危機 イドリブ県 学校や幼稚園への攻撃

 
今月15日でシリア危機は9年が経過し10年目を迎えました。現在、戦闘が激しさを増している同国北西部イドリブ県では、2019年12月から2020年3月までに、戦闘により少なくとも217校が損壊または廃校になっています。これは平均すると、1日当たり2校が被害を受けていることを意味します。


さらに、これまでにイドリブ県内1,062校の半数にあたる570校が攻撃により破壊や損壊の被害を受け、あるいは、通学するには危険すぎて子どもたちが通えないような場所にあります。また、県内の74校は避難所として利用されています。こうした状況のために、同県では、すべての学齢期の子どもたちが学校に通うためには、機能している学校で教室あたり約240人の生徒を受け入れる必要があります。

ダーラさん(8歳)が通う学校は、今年の2月25日に攻撃を受けました。当時の状況について次の通り話しています。
「ある女性が私たちを抱え、泣き出しました。彼女の姉妹は足を失い倒れたのです。私たちが立ち尽くしていると、子どもが亡くなったと、突然その女性が泣き叫びました。 私は泣き出し、きょうだいの名前を呼びましたが、返事はありませんでした。ところが、どこからともなく、きょうだいの1人が裸足で泣きながら駆け寄ってきました。私は足をけがしていました。爆弾の破片があたった直後は何も感じませんでしたが、その後痛みを感じ、気を失い何も考えられなくなりました。」

昨年1年間に、市民が生活する地域での戦闘により、イドリブ県内5割にあたる地域から人々が避難を強いられ、これまでに明らかになっているだけで、シリア北西部の学校92校が攻撃を受けました。今年に入っても2月25日に学校8校と幼稚園2ヶ所が攻撃を受けました。これまでと異なり、教育施設への攻撃の大半は子どもたちが授業を受けている最中に起こっています。

セーブ・ザ・チルドレン シリア事業ディレクター ソニア・クシュは次の通り訴えます。
「紛争下であっても学校は攻撃から守られなければなりません。それにもかかわらず、シリア国内の学校は攻撃を受けています。9年も続く凄惨な暴力と、破られた合意により、未来を見通すことはできません。しかし、イドリブに暮らす子どもたちやシリア全土に暮らす子どもたちにとっては、日々を生きだけでは不十分で、より良い未来を築くための機会が必要です。混乱の中にあっても、学び続けること、学校に通い続けることが重要です。通学を継続できない場合、復学し授業についていくのは難しくなります。学校は教育以上のものを子どもたちへ与えます。子どもたちの心身を健康に保ったり、日常性回復のために不可欠な規則的な生活などを提供しています。すべての学校は攻撃から守られるべきであり、そして、子どもたちが学び続けられるための支援活動を可能にするために資金拠出が必要です。」
相次ぐ学校への攻撃により、親はセーブ・ザ・チルドレンのパートナー団体に対して、攻撃を受ける恐れがある特定の地域での学校運営をやめて、その代わり洞窟や地下での授業、移動式教室での授業ができないかと相談してきます。



子どもたちが紛争下でも学びを継続できるように、セーブ・ザ・チルドレンとパートナー団体は、バス4台で移動教室を運営し、アラビア語や数学を教えたり、心理社会面での支援を提供しています。それぞれのクラスには1回に80人の子どもたちが参加しています。セーブ・ザ・チルドレンは、移動教室の運営のほかにもパートナー団体による仮設学習所の運営を行うほか、教科書や通学用鞄の支援もしています。


ワファさん(12歳)が、家族とともに避難民キャンプで生活を始めてから1ヶ月が経ちます。ワファさんと家族は、自宅で過ごしているときに空爆に遭い、がれきの中から助け出されました。そして、学校も攻撃を受け、同級生2人が殺されました。「先生と同級生と教室にいたときに空爆に遭いました。がれきの下から助け出されました。全員泣きだし、この現実以上にひどいことはありません。(移動教室で)先生は、読み書きや、いろいろなことを教えてくれます。人生の最初のステップは、人生を無駄にすることではなく、学ぶことです。」


セーブ・ザ・チルドレンは、すべての紛争当事者に対して、市民や学校、病院が攻撃から守れること、そして、国際人道法や人権法を順守することを訴えています。

 

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