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シリア危機
(公開日:2017.03.15)

紛争がシリアの子どもたちのメンタルヘルスに与える影響−シリア紛争6年の写真シリーズ

 

数々の受賞歴のある写真家ニック・バロン(Nick Ballon)と コンセプチュアル・アーティスト アルマ・ヘーザー(Alma Haser)が共同で、シリアで内戦が勃発してから丸6年が経過するのにあたり、紛争がシリアの子どもたちのメンタルヘルスに与える深刻な影響を、3D写真により表現した印象的なシリーズ作品を制作しました。


写真家ニック・バロンが撮影したトルコとシリア国境沿いに暮らす子どもたちの写真は、アーティスト アルマ・ヘーザーによって、切り裂いたり、折ったり、くしゃくしゃにしたり、折り紙を使ったりといった、様々な技巧により紛争が子どもたちのメンタルヘルスに与える影響を表した作品として完成しました。アルマ・ヘーザーは、さまざまな技巧の中から、子どもたち一人ひとりが話す体験にふさわしい技巧で作品を作りました。


この作品の制作は、シリア国内にとどまる子どもたちに蔓延る毒性ストレス(Toxic stress)とメンタルヘルスの問題について明らかにした、セーブ・ザ・チルドレンによる過去最大規模の調査にあわせて行われました。


写真家ニック・バロンとアーティスト アルマ・ヘーザーは、トルコで避難生活をする難民の子ども6人とともに作品を作り、その中には、攻撃で姉妹が殺され自身は瓦礫から救い出されましたが孤児となりそれ以来、幻覚を起こしているラザンさん(7歳)と自宅が襲撃され、父親を至近距離から銃殺されたのを目の当たりにしてからひどい吃音と引きこもりになったハッサンさん(9歳)、爆撃のなか母親と離ればなれになり過激派組織IS(イスラミックステート/イスラム国)が支配するラッカへ避難し暴力的になりやすくなったアハメドさんが参加しています。


写真家ニック・バロンは「このプロジェクトの目的は、シリアの子どもたちの話を他の方法で伝えることです。私は、それぞれの子どもたちとさまざまな話をし、多くの子どもたちの顔に、さまざまな経験経たうえで、困難な状況から回復する力が表れていることに胸をうたれました。写真撮影には自然光を取り入れ、子どもたちの性格や精神的な問題が肖像に写しだされただろうと思います」と語ります。

アーティスト アルマ・ヘーザーは、「ひとつひとつの作品ごとに、子どもたちそれぞれの話に合わせて違う技巧を使いました。例えば、写真を切り裂く方法が怒りを表現するのにふさわしいと考えましたし、不安と苦悩を強調するために写真を折り曲げて表面に皺加工を施しました。子どもたちの目に見えない体験をプロジェクトの中心に置くことが重要でした。プロジェクトを通して、作品が子どもたちの体験を取り除くというよりも、作品が子どもたちに活力を与え、人生が生き生きとしたものになってほしいです」と話します。

セーブ・ザ・チルドレンは、シリア紛争の全ての当事者に対して、即時停戦と暴力停止の合意に加えて、次のことを求めます―
●全ての紛争当事者は、子どもたちの苦痛や恐怖の最大の要因となっている、人口が密集している地域での爆弾の使用や、学校、病院、その他市民生活に関わる施設への攻撃を停止すること。
●包囲作戦を戦術として採用することを即刻中止し、シリア全土での人道支援の無制限のアクセスを保障し、セーブ・ザ・チルドレンやパートナー団体が最も脆弱な立場に置かれた人々に支援を届けられるようにすること。
●ドナーは、緊急時における子どものメンタルヘルスと健やかな成長(well-being)を支援する新しい国際的なコミットメントを行うこと。これには、シリア国内における、メンタルヘルスおよび心理社会的支援への十分な資金提供を含むこと。

■セーブ・ザ・チルドレンが実施した、シリア国内に留まる子どもたちのメンタルヘルスに関する過去最大規模の調査についてはこちらからご覧いただけます。


 

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