シリア危機(公開日:2014.11.28)
家族を支えるために働くシリアの子どもたち―ハッサン(11歳)の場合(2014.11.28)
「僕の名前はハッサン。11歳です。5人兄弟で、僕とサミとザインの3人は、お金をかせぐために、村にあるディーゼル油の市場で働いています。
僕たちは、トラックから給油されたばかりの大きなドラム缶の後ろに、スポンジと入れ物を持って、ついていくんです。それで、地面にこぼれた油を、持ってきたスポンジで吸い取って、今度はそれをしぼり出して自分たちの入れ物にうつします。1日中それをくり返して、なんとか集まった油を夕方に売って、お金にするのです。」
シリア北部では、このようなディーゼル燃料の市場で100人以上の子どもたちが働いていることが確認されています。中には、まだ8歳の幼い子どももいます。私たちは、このような有害な環境に置かれた子どもたちを守り、定期的に食糧を支援し、子どもたちが学校に通えるよう、「食糧支援」「子どもの保護」「教育」というそれぞれのセクターの連携を強化した活動を始めました。
子どもたちは、長い時で日に8時間、スポンジを持って、給油トラックから地面にこぼれた油を吸い取り、それらをオイル缶の中に絞り出して売るという作業をしています。多くの子どもたちの皮膚は荒れ、やけどを負っています。このような作業で得られる収入は、1日約1ドル。しかしこのわずかな額であっても、家族のためになるからという理由で、学校に行くことをあきらめて、子どもたちは働くのです。
ハッサンは言います。
「僕は、もう何年もお父さんに会っていません。お父さんは、ほかの人と結婚しちゃって、お母さんと僕らを残して出て行きました。今は、おじいちゃんの家にみんなで住んでいます。学校は2年前にやめました。そうすれば、僕は働けるし、食べ物とか、家族に必要なものを買うお金を、お母さんにあげられるから。
この前、市場にいたら、一人の男性が僕のところにやって来て、なぜ学校に行かずにここにいるのかと聞いてきたんです。それで、僕がどうして学校に行っていないかを話したら、その人はセーブ・ザ・チルドレンで働いている人で、僕のお母さんと話をさせてもらえないか、と僕に聞いてきました。
その人は、次の日、他のスタッフの人と一緒にまたやって来て、僕らが働かなくてもいいように食べ物をお母さんに渡してくれたんです。それから、僕と兄弟たちを学校に通わせ、教育を受けさせてくれないかとお母さんに話していました。でも、お母さんは、学校に通うためのお金がないと言って、とっても不安そうな顔をしました。そうしたら、その人が、僕らの家の近くにセーブ・ザ・チルドレンが運営している学校があって、無料で通えるし、必要なものはすべて支援すると説明してくれたんです。お母さんは、分かりましたといって、僕らを学校に通わせることを、その人に約束してくれたんです。」
このような支援によって、市場で働く子どもの数は、激減しました。今も市場で働いている子どもたちのほとんどは、近隣の別の村からやってきています。私たちのチームは、引き続き、コミュニティや、働く子どもたちの家族と一緒になって、子どもたちが学校に戻れるように活動に取り組んでいます。
「やっと僕は学校に戻れました。」とハッサンはいいます。「働かなくてもよくなって、とってもうれしい。セーブ・ザ・チルドレンは、今も食べ物を支援してくれるし、僕らがちゃんと過ごせているか、学校にも行けているか、見守ってくれています。」
本事業は皆さまからのご支援と、ジャパン・プラットフォームからの助成により実施しています。
※使用している子どもの名前・写真は、個人情報保護のため、一部編集しております。
報告者:海外事業部 田邑恵子
僕たちは、トラックから給油されたばかりの大きなドラム缶の後ろに、スポンジと入れ物を持って、ついていくんです。それで、地面にこぼれた油を、持ってきたスポンジで吸い取って、今度はそれをしぼり出して自分たちの入れ物にうつします。1日中それをくり返して、なんとか集まった油を夕方に売って、お金にするのです。」
シリア北部では、このようなディーゼル燃料の市場で100人以上の子どもたちが働いていることが確認されています。中には、まだ8歳の幼い子どももいます。私たちは、このような有害な環境に置かれた子どもたちを守り、定期的に食糧を支援し、子どもたちが学校に通えるよう、「食糧支援」「子どもの保護」「教育」というそれぞれのセクターの連携を強化した活動を始めました。
子どもたちは、長い時で日に8時間、スポンジを持って、給油トラックから地面にこぼれた油を吸い取り、それらをオイル缶の中に絞り出して売るという作業をしています。多くの子どもたちの皮膚は荒れ、やけどを負っています。このような作業で得られる収入は、1日約1ドル。しかしこのわずかな額であっても、家族のためになるからという理由で、学校に行くことをあきらめて、子どもたちは働くのです。
ハッサンは言います。
「僕は、もう何年もお父さんに会っていません。お父さんは、ほかの人と結婚しちゃって、お母さんと僕らを残して出て行きました。今は、おじいちゃんの家にみんなで住んでいます。学校は2年前にやめました。そうすれば、僕は働けるし、食べ物とか、家族に必要なものを買うお金を、お母さんにあげられるから。
この前、市場にいたら、一人の男性が僕のところにやって来て、なぜ学校に行かずにここにいるのかと聞いてきたんです。それで、僕がどうして学校に行っていないかを話したら、その人はセーブ・ザ・チルドレンで働いている人で、僕のお母さんと話をさせてもらえないか、と僕に聞いてきました。
その人は、次の日、他のスタッフの人と一緒にまたやって来て、僕らが働かなくてもいいように食べ物をお母さんに渡してくれたんです。それから、僕と兄弟たちを学校に通わせ、教育を受けさせてくれないかとお母さんに話していました。でも、お母さんは、学校に通うためのお金がないと言って、とっても不安そうな顔をしました。そうしたら、その人が、僕らの家の近くにセーブ・ザ・チルドレンが運営している学校があって、無料で通えるし、必要なものはすべて支援すると説明してくれたんです。お母さんは、分かりましたといって、僕らを学校に通わせることを、その人に約束してくれたんです。」
このような支援によって、市場で働く子どもの数は、激減しました。今も市場で働いている子どもたちのほとんどは、近隣の別の村からやってきています。私たちのチームは、引き続き、コミュニティや、働く子どもたちの家族と一緒になって、子どもたちが学校に戻れるように活動に取り組んでいます。
「やっと僕は学校に戻れました。」とハッサンはいいます。「働かなくてもよくなって、とってもうれしい。セーブ・ザ・チルドレンは、今も食べ物を支援してくれるし、僕らがちゃんと過ごせているか、学校にも行けているか、見守ってくれています。」
本事業は皆さまからのご支援と、ジャパン・プラットフォームからの助成により実施しています。
※使用している子どもの名前・写真は、個人情報保護のため、一部編集しております。
報告者:海外事業部 田邑恵子