シリア危機(公開日:2020.09.30)
シリア危機 新たに数十万人を超える子どもたちが深刻な食料不足に
セーブ・ザ・チルドレンは報告書『シリアの隠された飢餓(HIDDEN HUNGER IN SYRIA)』を発表し、シリアでは、およそ10年におよぶ紛争や故郷からの避難、さらに新型コロナウイルス感染症の影響による経済の悪化で、新たに70万人を超える子どもたちが深刻な食料不足に直面していると報告しています。
これは、過去6ヶ月間に、シリア全土で食料不足に陥った子どもの数が合計で460万人を超えたことを意味します[1]。
新型コロナウイルス感染症の感染状況については、これまでに5,480人の感染者が確認されていますが[2]、この数値は氷山の一角にすぎない可能性があります。
ロックダウン(都市封鎖)、長期にわたる暴力、大量の雇用喪失は、数百万人の生活を破壊しました。 通貨価値の下落と物流の減少は状況を悪化させ、食料価格をこれまで以上に押し上げています。
国連世界食糧計画(WFP)によると、家族に必要な栄養を提供する食料バスケットの価格は、危機前の平均価格の23倍以上、2016年のピーク時と比べても2倍以上となっています[3]。
シリア北西部の国内避難民キャンプに住むファテンさん(10歳)は、次のように話します。「パンがないため、夕食はたいてい食べません。時々お昼や午後に空腹になりますが、お腹が減っても、食べられるパンはありません。家に住んでいたときは何でも食べられましたが、ここでの食事は家とは違います。そして食べ物を買うお金もありません。」
報告書では、65%のシリアの子どもたちが少なくとも過去3ヶ月間、リンゴやオレンジ、バナナなどの果物を口にしていないことが明らかになっています。またシリア北東部では、子どもたちのほぼ4分の1が、少なくとも過去9ヶ月間これらの果物を食べていないと話しています。両親が、肉、果物、野菜などの生鮮食品を手に入れることを諦め、数週間にわたり米と豆に頼らざるをえない状況であることが分かります。
ヌーラさん(10歳)は、「最後に果物を食べたのは2ヶ月以上前です。 両親に果物が食べたいとお願いしましたが、買うお金がないと言われました。」と話します。
また、2人の子どもの父親であるラミさんは次のように述べています。
「私の2人の子どもは6歳、そして0歳2ヶ月です。 彼らの成長は止まってしまいました。私は子どもたちを医者に連れて行き薬をもらいましたが、子どもたちの状況は少しも良くなりませんでした。ときには栄養不良、ときには何か他のことを医者は言います。あらゆる種類の薬を買い、半月ごとに、約7,000シリアポンド(約14米ドル/約1,440円)を薬代として払いました。」
新型コロナウイルス感染症の感染状況については、これまでに5,480人の感染者が確認されていますが[2]、この数値は氷山の一角にすぎない可能性があります。
ロックダウン(都市封鎖)、長期にわたる暴力、大量の雇用喪失は、数百万人の生活を破壊しました。 通貨価値の下落と物流の減少は状況を悪化させ、食料価格をこれまで以上に押し上げています。
国連世界食糧計画(WFP)によると、家族に必要な栄養を提供する食料バスケットの価格は、危機前の平均価格の23倍以上、2016年のピーク時と比べても2倍以上となっています[3]。
シリア北西部の国内避難民キャンプに住むファテンさん(10歳)は、次のように話します。「パンがないため、夕食はたいてい食べません。時々お昼や午後に空腹になりますが、お腹が減っても、食べられるパンはありません。家に住んでいたときは何でも食べられましたが、ここでの食事は家とは違います。そして食べ物を買うお金もありません。」
報告書では、65%のシリアの子どもたちが少なくとも過去3ヶ月間、リンゴやオレンジ、バナナなどの果物を口にしていないことが明らかになっています。またシリア北東部では、子どもたちのほぼ4分の1が、少なくとも過去9ヶ月間これらの果物を食べていないと話しています。両親が、肉、果物、野菜などの生鮮食品を手に入れることを諦め、数週間にわたり米と豆に頼らざるをえない状況であることが分かります。
ヌーラさん(10歳)は、「最後に果物を食べたのは2ヶ月以上前です。 両親に果物が食べたいとお願いしましたが、買うお金がないと言われました。」と話します。
また、2人の子どもの父親であるラミさんは次のように述べています。
「私の2人の子どもは6歳、そして0歳2ヶ月です。 彼らの成長は止まってしまいました。私は子どもたちを医者に連れて行き薬をもらいましたが、子どもたちの状況は少しも良くなりませんでした。ときには栄養不良、ときには何か他のことを医者は言います。あらゆる種類の薬を買い、半月ごとに、約7,000シリアポンド(約14米ドル/約1,440円)を薬代として払いました。」
栄養価の高い食料の長期的な不足は、発育阻害や慢性的な栄養不良などの生涯にわたり影響を及ぼすような状況に陥る可能性があります。シリアでは、少なくとも8人に1人、つまり50万人の子どもが現在この状態に苦しんでいます[4]。
セーブ・ザ・チルドレンは、子どもや母親が直面する深刻な食料不足の状況を支援するために、シリア北部で、妊娠中の女性や産後の母親を対象に、新鮮な果物や野菜を含む食料品を配布する予定です。 また、シリア全土で、食事のアドバイスや栄養不良の検査などを実施し乳幼児を支援します。
紛争や経済悪化などを受けシリア全土で支援ニーズが高まっている一方、栄養分野における国際的な資金拠出は支援要望額に対して11%にとどまっています[5]。
セーブ・ザ・チルドレンは、報告書のなかで、安全で栄養価の高い食料を人々が手頃な価格で入手できるよう国際社会が一丸となって取り組むことが重要であると強調しています。また、長期にわたる食料不足と経済危機のさなかで苦しみ続けている家族や子どもたちのために、人道支援のアクセス制限の解除や、7月に閉鎖されたアレッポ北部のバブアルサラムを含む国境の再開を求めています。
■『HIDDEN HUNGER IN SYRIA』(全文、英語)
■『HIDDEN HUNGER IN SYRIA』(全文、英語)
[1] Based on WFP numbers showing an additional 1.4 million people have become food insecure over the past six months. General estimates suggest that around 50% of the population in Syria are children.
[2] Based on official government count of 3,833 in addition to 1,647 cases identified in opposition held areas.
[4] UNOCHA, Humanitarian Needs Overview 2020, In press.
[2] Based on official government count of 3,833 in addition to 1,647 cases identified in opposition held areas.
[4] UNOCHA, Humanitarian Needs Overview 2020, In press.