シリア危機(公開日:2015.03.13)
シリア危機がはじまってから、もうすぐ5年目。
〜私たちのことを忘れないで〜 シリアの子どもたちからのメッセージ(2015.03.13)
2015年3月15日、シリア危機は5年目に突入します。この紛争により亡くなった人は19万人以上。今もシリア国内外で支援を必要とする人は1,600万人以上、その半数にあたるおよそ800万人が子どもです。
この絵を見て何を感じますか?これは、どちらもシリアの子どもたちが書いた絵です。
左の絵はシリア国内における避難生活の様子を描いた絵です。避難民キャンプの中で、食事の配給を待っているところです。右の絵は、紛争が起きる前の生活を懐かしんで描いたものです。家にあったベッド、部屋の飾り、遊んだおもちゃなど、普通に生活していた様子を恋しく思う気持ちが表れています。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが運営しているシリア国内のこどもひろばには、避難生活を送っている子どもたちと地元の子どもたち両方が通っています。こどもひろばは、学校が終わった後、子どもたちが友達と一緒に絵を書いたり、粘土で作品を作ったり、子どもらしく遊べる貴重なひと時を過ごすことで、つらい生活からつかの間解放されるスペースです。
こどもひろばでは、子どもたちは縄跳びをしたり、おにごっこをしたり、新しくできた遊具広場で遊んだりと、体を使って遊ぶことができます。避難生活の中で体を動かす機会が限られてしまった子どもたちが、ここでは安心して思う存分体を動かすことができるのです。こどもひろばをはじめて訪れた時には、戦闘の絵ばかりを描いていた子どもたちも、やがて、カラフルな絵を描いたり、遊んでいる絵を描いたりするようになります。
成長途中の子どもたちの中には、身の回りで起きている事態があまりにも重いために、悪夢を見るようになったり、ショックのあまり口をきけなくなってしまったりする子どももいます。そのような子どもたちも、こどもひろばで夢中になって遊び、友達と支えあうことで笑顔を取り戻していきます。
2011年3月、シリアで争いが始まったちょうど同じ頃、日本では大きな震災が起きました。シリアから遠い日本でも、同じくらいの時間、大変な思いを抱えながら過ごしている子どもたちがいることをシリアの子どもたちに伝えると、彼らは日本の子どもたちへ送るメッセージや絵を描いて、作品を作ってくれました。どのメッセージからも「私たちに起きたことを知って欲しい、私たちのことを忘れないで」という気持ちがあふれています。
その中のひとつを紹介します。
僕から、世界の子どもたちへのメッセージです。
皆に「何かをください」ってお願いするわけではありません。
ただ、僕の国で起きていることを、皆に知ってほしいのです。
僕の国では、中に人がいるのに、家がこわされたり、
子どもたちがざんこくに殺されたりしています。
僕のおじさんも、いとこも、死んでしまいました。
僕が大好きだった教室も、壊されました。
僕の友だちも死にました。
僕の家も燃えて、壊されてしまいました。
僕はとても悲しいです。
このようなことが、皆には起こりませんようにと、願っています。
紛争時のような緊急事態における支援活動では、水や食料などのライフラインの重要性が強調されがちですが、子どもたちにとっては勉強を続けられ、子どもらしく遊べる環境の整備も重要です。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、国際社会からの支援をもっと子どもたちの教育や保護のために使ってほしいという署名活動を行っています。皆様のご協力を、どうぞよろしくお願い致します。
【署名はこちらから】
本事業は皆さまからのご支援と、ジャパン・プラットフォームからの助成により実施しています。
報告者:海外事業部 田邑/櫻井
報告者:海外事業部 田邑/櫻井