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シリア危機
(公開日:2021.10.11)

【シリア危機】シリア北部で新型コロナウイルス感染症により生後20日の子どもと妊娠中の17歳の少女が死亡

 
シリア北部では新型コロナウイルス感染症の陽性者数が急増するなか、生後20日の子どもと妊娠中の17歳の少女がこの感染症にり患し亡くなりました。


シリア北部のアルホルキャンプの様子(2021年3月撮影)

セーブ・ザ・チルドレンは、先月初旬に、シリア北西部全域で新型コロナウイルス感染症の陽性者、特にデルタ株の陽性者が多く、集中治療室(ICU)には10数床しか空きがないと警鐘を鳴らしました。実際、今年8月から9月28日時点までのシリア北西部での新型コロナウイルス感染症陽性者数は7万1,715人にのぼり、死亡者は1,151人です[i]。

また、ロジ(Roj)・アルホル(Al Hol)・ワシュカニ(Washukani)・アリーシャ(Areesha)避難民キャンプを含むシリア北東部では、2万7,296人の陽性者がおり、908人が亡くなっています。加えて、感染者数は、8月から9月にかけて26%以上増加するなど、ここ数ヶ月で大幅に増加しています[ii]。

セーブ・ザ・チルドレンは、パートナー団体と協力しシリア北西部で移動式学習センターを運営していますが、そのセンターで活動に従事していた教員が、9月下旬に亡くなりました。同僚のアンマールさんは当時の様子について、次の通り話します。

「彼は私に非常に疲れていると言い、新型コロナウイルス感染の疑いがあるため、すぐに検査を受けました。公立病院では十分な治療が受けられなかったため、私立病院に転院することになりましたが、金銭的な余裕がなかったため、すぐに転院できませんでした。そのため病院に到着後、症状は急速に悪化し亡くなりました。」

新型コロナウイルス感染症の流行は、公衆衛生上の危機だけにとどまりません。ロックダウンにより世界で最も困難な状況に暮らす人たちへ迅速に人道支援を届けることができなくなるのです。

私たちは、シリア北東部のロジやアルホル、ワシュカニ、アリーシャの各避難民キャンプで、食料を購入するためのバウチャーの提供や、子どもたちを暴力から守るための支援(子ども保護)などを継続しています。しかし、仮設の学習支援スペースや、こどもひろば、母子のための居場所など、その他のサービスの多くが停止しているために、約8,615人の子どもたちが影響を受けています。

シリア北西部では9月25日から休校となっており、セーブ・ザ・チルドレンが運営する仮設学習センターに通っていた1万2,278人の子どもたちが、遠隔での学習を余儀なくされています[iii]。しかし、限られたインターネットアクセスや不安定な電力といった問題が、子どもたちの遠隔学習にも影響を与えています。また、この地域では、PCR検査やICU病棟、個人防護具(PPE)なども著しく不足しています。

セーブ・ザ・チルドレンは、重症患者を治療するためのICUベッドや酸素吸入器の増設など、治療センターや診療所の設置を支援するための資金拠出の増額を求めています。

遠隔授業を受けている子どもたちを支援し、必要な機器や教材を確実に提供するためにもさらなる資金拠出が必要です。

[i] Data from the World Health Organisation
[ii] Data from the Autonomous Administration of North and East Syria
[iii] Due to the coronavirus pandemic, schools were closed from March 2020 to September 2020. Students returned for another year, and the new term started on September 18 2021. Just days later schools were closed again.

 

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