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シリア危機
(公開日:2022.03.15)

【シリア危機から11年】子どもへの攻撃は止まず、飢餓や栄養不良にも直面

 
シリア危機が起こってから11年が経ちます。シリアに暮らす子どもたちは、衛生状態が悪く、安全が確保されていない避難民キャンプで暮らしたり、砲撃や空爆に遭う危険、極度の食料不足や病気にり患するリスク、栄養不良に直面しています。


シリア北西部にある学校の様子

シリア北部での戦闘では、市民が死傷し、家族は自宅からの避難を余儀なくされています。2021年にセーブ・ザ・チルドレンとパートナー団体は、北西部にある学校15校への攻撃を確認しました。そして同年10月には下校途中の子どもたち3人と教師1人が攻撃で犠牲になりました。

シリア全土で、650万人の子どもたちが人道支援を必要とし、250万人の子どもたちが学校に通えておらず、80万人の子どもたちが栄養不良に陥っています[i]

また、新型コロナウイルス感染症の流行や主要通貨の切り下げ、生活必需品の不足など、経済危機のなかにありシリア北部の家族は経済的に困難な状況に置かれています。

平均的な食料支援(フードバスケット)[ii]の価格は、2020年12月から2021年12月にかけて97%上昇し[iii]、これは、年末までに、平均的な生活をしている世帯であっても収入の41%を食料購入費にあてたことを意味します。そして、人口の55%にあたる約1,200万人が食料を購入することが難しくなっています[iv]

家族は、食べる量を大幅に減らし、ほとんどの家族が人道支援を利用しています。に頼って生活しています。また国連によると、シリア全土の22%のコミュニティで、児童労働など、本来避けるべき負の手段に頼りながら生計を維持している家族もいます[v]

シリア北西部イドリブ県に暮らすユセフさん(12歳)は、両親をそれぞれ攻撃で亡くしました。最初の攻撃で母親が犠牲になり、そのときユセフさんは足を負傷し後遺症も残りました。そして9年前にきょうだいとともに自宅から避難しました。
 「私たちは3年前から祖父の家に住んでいますが、戦闘や金銭的な問題で、建物はまだ完成していません。両親は2人とも死亡しており、母は9年前、父は3年前に亡くなりました。

自宅でくつろいでいるときに砲弾が落ちてきたので、私は足にけがをしました。以前は父が治療のために病院に連れて行ってくれましたが、今は誰も連れて行ってくれません。私はいつも遊びたいし、走りたいですが、それができません。」

アーメッドさん(13歳)は、10人きょうだいの長男で、イドリブ県内の地方にある避難民キャンプで避難生活を送っています。父親が3年前に病気で亡くなったため、放課後に店で働き、きょうだいの食費をまかなっています。

アーメッドさんは、「長男で誰も自分のことを助けてくれないため、ここで働いて、家族が生きていけるようにしています。働いてお金を払えるようになるまでは、代金を払わずに店の食料品を前借りしていく人も多くいます。神が人々を助けてくれますように。」と話します。

シリア北東部では、干ばつや主要河川の水不足、破損した給水所により、コミュニティは深刻化する水不足にも対処しています。 

 ユーフラテス川沿いの町に住むカズナさん(26歳)は1歳になる子どもがいますが、生活について次の通り説明してくれました。
「私が暮らす地域の環境はけっして衛生的とは言えません。食事には土や虫が入ってしまい、食品を保存するための冷蔵庫もありません。衣服は汚れ、子どもはアレルギーをもってしまいました。

そして、私も息子もよく下痢になったり、お腹をこわしたりします。私は日に日に体重が減りやせていき、目の下にはクマができ貧血にもなりました。」

安全な水道水がないため多くの母親が飲料水の購入を優先し、食事を食べずに過ごしています。私たちがシリア北東部の5ヶ所のコミュニティで行った調査では、母乳育児をしている女性のおよそ3人に1人(30%)が、赤ちゃんのために十分な母乳が出ず、出たとしても質が悪いことが多いと回答しています。また、この調査では、6ヶ月から59ヶ月の子どもの7%が重度の急性栄養不良、13%が中等度の急性栄養不良に陥っていることが分かっています。

セーブ・ザ・チルドレンは、2012年からシリアで活動し、全国で300万人以上の子どもを含む500万人を超える人たちを支援してきました。私たちの活動は、緊急・人道支援に加えて、コミュニティの早期復興をサポートするために、児童労働や搾取、虐待などから子どもたちを守ったり予防したりするための支援(子どもの保護)や、教育支援、食料と生計支援、水・衛生支援、保健・栄養支援も行っています。

[i] 553,000 and 245,000 children are respectively chronically and acutely malnourished respectively across the country. UNOCHA. Humanitarian Needs Overview: Syrian Arab Republic. Humanitarian Programme Cycle 2022. February 2022. Accessed: 23rd February 2022]. https://www.humanitarianresponse.info/sites/www.humanitarianresponse.info/files/documents/files/hno_2022_final_version_210222.pdf

[ii] As defined by the UNOCHA/WFP, the standard food basket ‘is a group of essential food commodities. In Syria, the food basket is set at a group of dry good providing 2,060 kcal a day for a family of five during a month. The basked includes 37kg bread, 19kg rice, 19kg lentils, 5kg sugar, and 7 litres of vegetable oil.’

[iii] UNOCHA. Humanitarian Needs Overview: Syrian Arab Republic. Humanitarian Programme Cycle 2022. February 2022. Accessed: 23rd February 2022]. https://www.humanitarianresponse.info/sites/www.humanitarianresponse.info/files/documents/files/hno_2022_final_version_210222.pdf

[iv] hno_2022_final_version_210222.pdf (humanitarianresponse.info) 

[v] UNOCHA. “Humanitarian Needs Overview.” Humanitarian Programme Cycle 2021. March 2021. 

 

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