シリア危機(公開日:2018.01.22)
シリア・イドリブー避難を強いられる11万人以上の子どもたち
セーブ・ザ・チルドレンは、シリア北西部のイドリブ南部での戦闘の激化により、シリア紛争が始まって以降、最大の規模で人々が避難していると警鐘を鳴らしています。
12月上旬以降、戦闘が激しくなり、爆撃や砲撃による学校数百校の閉校や、家や病院の崩壊により、約20万人(うち54%は子ども)が北部へ避難を余儀なくされています。多くの人々は、凍えるような気温のなか野外で避難生活を送るか、または、廃墟となったビルに避難しています。あらゆる方面から戦闘が迫ってくるため、多くの人は、逃げ場を失っています。
状況は非常に深刻で、7年間におよぶ紛争で最大規模の避難者数に達しています。毎日平均7,000人以上が避難しており、2016年12月のアレッポの陥落の最終段階よりも4倍も多くの人々が避難をしています。セーブ・ザ・チルドレンのパートナー団体は、戦闘がイドリブへ進行していくにつれ、今後数週間のうちに数万人もの人々が北部に避難を余儀なくされるだろうと考えています。
過去数週間で、学校7校と保健施設12ヶ所が爆撃や砲撃を受けたという報告があるように、市民生活に必要な施設が攻撃を受け続け、イドリブにある学校の3分の1以上にあたる500校以上が閉校になっています。閉校になった学校の中には、セーブ・ザ・チルドレンが支援する学校も含まれています。
大勢の人々の移動は、すでに対応能力を超えた状態にある基礎社会サービスに、さらに大きな負荷を与えています。イドリブにはすでに100万人以上が避難しています。その多くは、アレッポなどシリアの他の地域での戦闘から避難してきた人や、レバノンやトルコから帰還した人たちですが、彼らはいま、紛争が起こっている地域の中にいます。イドリブは、2017年5月に、シリア政府とイラン、トルコ、ロシアの間で締結された合意により緊張緩和地帯の設置が宣言されましたが、戦闘は再び急速に拡大し、そして現在さらに激しくなっています。
セーブ・ザ・チルドレン シリア事務所代表ソニア・クシュは、「今私たちが目の当たりにしていることは、恐ろしい状況であり、シリア紛争の停戦からほど遠く、数百万人もの人々が、日常的に爆撃や砲撃にさらされている紛争地帯に閉じ込められたままであることを明らかに示しています。紛争のすべての当事者は、子どもの命や健やかな成長(Well-being)を完全に侮辱し続けています。
セーブ・ザ・チルドレンのパートナー団体のスタッフは、複数の家族が日常的にひとつの家に避難しているのをしばしば目にすると話しています。他の多くの人々は、夜に0度以下に気温が下がっても、避難する場所がありません。何度も避難をしている家族もいます。最悪なことに、人々は、出口が無い、ますます狭く過密しているスペースに押し込まれています。そこには、十分な居住空間や、食料、水、医薬品がなく、インフラも日々朽ちています。
子どもたちが人道支援を受けることができ、そして学校が再開されるために、戦闘を終わらせ、制限のない人道支援のアクセスが喫緊に必要です」と訴えます。
イドリブで教師をしているナイラさんは、「人々は昼も夜も止めどなく流入しています。寒く厳しい天候にもかかわらず、避難場所もシェルターもありません。私の家には、安全な場所を求めて避難してきた5家族が暮らしています。
人々が爆撃や砲撃から逃れていること、そして彼らにシェルターや避難場所がないということを想像できますか。この地域には、大勢の人がいます。人道支援団体は、すべての人に支援を届けることができず、多くの人は苦しんでいます。寒く厳しい環境は、さらに事態を悪化させているだけです」と話します。
セーブ・ザ・チルドレンの緊急支援チームは、シリアのパートナー団体とともに、食料や防水シート、毛布、石鹸、ソーラーランプなどを含む緊急支援物資を、新たに避難してきた人たちへ届けています。しかし、支援のニーズは、増え続けており、さらに数千家族にシェルターや食料を届けるためには、追加の資金が緊急に必要です。