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日本/東日本大震災/福島
(公開日:2013.10.04)

福島:大熊町の子どもの笑顔に会うために! 〜学校、教育委員会、大学、NPOの協力で始まった「大熊町地域学習応援協議会」の取り組み〜 (2013.10.04)

 

福島県では、震災・原発事故から2年半経った今なお、生まれ育った土地を離れ、新しい環境で日々の生活を送っている子どもたちが大勢います。復興庁がまとめた数字によれば、平成25年4月現在、福島県内外に避難する福島県民はおよそ15万1,800人で、この内、子どもの避難者は、29,148人もいます(8月現在、子供含む県内外避難者数は14万5,749人)。

大熊町は、2012年12月現在、町民の96%が住む地域が帰還困難区域に指定されており、今なお全町避難が続いています。避難当初、町の大部分の住民が会津地方に避難し、現在も、行政機能を会津若松市に置いて、同市内に大熊町立の幼稚園、小中学校を開校しています。会津地区で避難生活を続ける大熊の子どものうち、およそ350人がこれらの幼稚園や小中学校に通う一方、いわき市など県内の別地域や県外に避難し、その地区の学校に通っている大熊の子どもが、 約1,100人います。




町の職員の皆さんや学校の先生方は、震災・原発事故後、激変した環境で日々を送る大熊町の 子どもたちを支えるため、様々な取り組みをされていますが、子どもたちのケアは、非常に難しい課題です。


このような状況の中、今年3月に会津若松市で「大熊町地域学習応援協議会」が発足しました。この協議会は、公教育と民間支援団体が連携を図りながら、長期避難が続く大熊町の子どもの健やかな成長のための支援の質の向上をさせることを目標にしています。

協議会は、大熊町教育委員会の武内敏英教育長が代表、会津若松市のNPO法人寺子屋方丈舎が事務局となり、大熊町と民間支援団体から構成されています。大熊側からは、教育委員会と町立熊町、大野両小学校、大熊中学校が参加、民間支援側からは、会津地区で大熊の子どもたちの学習支援や、放課後や休日の遊び場・居場所支援を行っている寺子屋方丈舎、会津大学短期大学部の戸田典樹教授とゼミ学生、全国寺子屋ネットワーク、あいづひまわりプロジェクト実行委員会、そして、SCJから構成されています。SCJでは、昨年夏から大熊と会津の子どもたちの交流事業や、通学バス支援、OECD東北スクールに参加する大熊中学校の支援をしており、5月から始まった協議会の月例会議に参加しています。


左から武内洋さん (大熊町教育委員会)、小野田敏之校長(大熊町立大熊中学校)、末永幸弘校長(熊町小学校)、渡邉義人校長(大野小学校)。8月の定例会は、熊町小学校で行われました。

協議会は、毎月1回若松市内で開催され、各団体の活動報告や課題、改善策などを話し合います。放課後の学習支援や学童クラブの開設、週末の遊び場支援など、学生ボランティアやNPOが果たす役割は大きく、会議では、教育委員会や学校だけではなかなか対応できない子どもたちの状況について、情報共有や問題解決のための話し合いが行われます。協議会は、教育委員会や学校の教育活動を知る大切な機会でもあり、私たちNPOがどのように関わるべきかを改めて考える場にもなっています。


全国てらこやネットワークの岩沢圭一郎さん。放課後の学習支援や週末の外遊び支援を企画・運営しています。



NPO法人寺子屋方丈舎理事長の江川和弥さん。震災前からフリースクールや若者の就労支援に取り組み、震災後は、被災児童の支援にも尽力されています。



会津大学短期大学部社会福祉学科戸田典樹教授。震災直後の炊き出し、第一次避難所、第二次避難所調査から仮設住宅での学習支援を経験してきました。そして、現在では、教育委員会、学校現場、NPO、大学の連携による子どもを対象としたケースマネージメントを取り入れた支援モデル導入を図っています。

この協議会に参加し、特に強く感じるのは、学校という一つの単位が、震災・原発事故によってバラバラになってしまった子どもをつなぐ大きな力になっていることです。ですが、困難を抱えた家庭の子どもにとって、教師と子どもという縦の関係や、子どもと子どもという横の関係だけでは十分ではありません。学校での教育活動を越えた子どもと学生やボランティアなど、先生でもなければ、友達でもない、勉強を通じてなんでも話せるお姉さんお兄さんとの関係、つまり、斜めの関係も必要なのです。大熊町地域学習支援協議会は、学校現場、教育委員会、大学、NPOが協力し、個々の子どもの課題を共有し解決するという、新たな支援モデル作りを目指しています。

この協議会の活動については、折に触れてブログで紹介していきたいと思います。


(会津若松事務所 五十嵐和代)





 

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