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日本/東日本大震災/福島
(公開日:2015.01.13)

【コメラさんさん(20)】「ふくしまっ子の外遊びフォーラム」を開催しました(2015.01.13)

 

福島の子どもにとっての「外遊び」について考えることを目的に、2014年12月14日に、福島県文化センター(福島市)で「ふくしまっ子の外遊びフォーラム」を開催しました。当日は、雪混じりの寒空でしたが、福島市だけでなく、いわき市や郡山市、そして、神奈川県や東京都から遠路はるばるやってきてくださった方を含め、計76人のみなさんにご参加いただきました。


これまで、セーブ・ザ・チルドレン(SCJ)では、放射線の影響が残る震災後の福島で、外遊びや自然体験の機会が減ってしまった子どもたちへの支援として、野外キャンプや冒険遊び場体験ツアーといった活動を、地元NPOと協働しながら展開してきました。今回のフォーラムでは、そういった県内の遊び場運営団体や、幼稚園・保育園や放課後児童クラブ、放射線の専門家、行政、保護者など、関係するみなさんを結び、基調講演、事例報告、パネルディスカッションを通じて、今後「ふくしまっ子の外遊び」をどうしていけばよいか、多様な立場から意見交換することを企図しました。


会場には託児スペースや、子どもの遊び場を設置し、子育て中のパパママも参加できるように配慮しました。また、会場後方には、参加者同士の情報交換、ネットワーキングを促進するため、情報交流スペースを設置しました。

ベテランの保育士さんのお世話になってご機嫌なぼうや

フォーラムは3部構成で、題目と登壇者、発表概要は、以下の通りです。
※詳細な内容につきましては、後日準備が整い次第、議事録のPDFファイルをアップロードします。


【第1部】基調講演
「外遊びのチカラ〜震災後4年目の福島で」
 天野秀昭氏(大正大学人間学部人間環境学科こどもコミュニティコース特命教授。NPO法人「日本冒険遊び場づくり協会」理事)

1979年に開設された、日本初の官民協働による冒険遊び場「羽根木プレーパーク」で初の有給プレーリーダーを務めるなど、長年子どもの遊び場づくりに携わってきた天野秀昭氏が「外遊び」の持つ力について、脳科学の視点も含めて、さまざまな角度から紹介しました。

詳細な講演内容はこちら(要約版PDF)



【第2部】事例発表
?「福島市における冒険遊び場の試行錯誤」 
 佐藤耕平氏 (NPO法人いいざかサポーターズクラブ事務局長)

佐藤氏は「2013年に福島市内で始めた茂庭プレーパーク設立の経緯や、遊び場における放射線量管理の工夫や試行錯誤を紹介しました。また、より日常的に子どもが利用できる遊び場をつくるため、飯坂町の市街地に新たな常設型のプレーパークを始めたことにも触れました。
配布資料(PDFファイルはこちら)
     
?「猪苗代まで日帰り、お出かけ型“外遊び”の実践」
橋口直幸氏 (NPO法人こどもの森ネットワーク理事長)

橋口氏は、震災半年後から自身が始め、これまで3年以上の受け入れ実績がある猪苗代地区における外遊び支援の内容を説明。放射線量が比較的低いとされる同エリアでの日帰りプログラムの意義に触れ、参加した保育園の園児や保護者の声などを紹介しました。
配布資料(PDFファイルはこちら)


?「放射線教育を通して学ぶ線量測定と遊び場」 
木村真三氏 (獨協医科大 国際疫学研究室室長兼福島分室長)

木村氏は、放射線の専門家として、二本松市のアドバイザーも務める木村氏は、同市で実践している児童対象の放射線教育を紹介。また、放射線に向き合うには「測って、調べる」ことが何より大事とした上で、SCJの支援事業や??の事例において、放射線量の測定が丁寧に実施されていることを評価。そのほか、屋外でどのような場所がホットスポットになりうるのか、説明しました。
配布資料(PDFファイルはこちら)



【第3部】パネルディスカッション
「いま、福島で、外遊び 〜 安心して遊べる環境を創っていくために」
登壇者は、上記発表者に加え、
小川武氏 (福島県子育て支援課長)、 齋藤美智子氏 (わたり福祉会さくら保育園園長)
→配布資料(PDFファイルはこちら)
→パネル討論の議事録(PDFファイルはこちら)

第三部のパネル討論では、これまで登壇した4氏に加え、県庁子育て支援課の小川課長、さくら保育園の齋藤園長がパネリストに加わり、現状の福島で、外遊びを進める上で、「どのように放射線と向き合っていけばよいか」「子どもの主体性を尊重した遊び場づくりを進める上での課題は何か」という2点を中心議題として意見交換をしました。今回のパネル討論では、聴衆との双方向的なやりとりを重視するため、上記テーマを踏まえた上で、会場から出た質問・コメントに沿って話を展開しました。



話題は「福島への風評被害の払拭」から、「外遊びを子どもにさせる際の放射線量の基準」「外遊び活動が地域に与えるインパクト」など幅広く展開し、会場とパネリストの間で活発な意見交換がなされました。この日の討論を通じて、ふくしまっ子の外遊びを取り巻く状況について一定の共通認識が築かれた一方、取り組むべき課題もあらためて浮き彫りになりました。



最後に、モデレーターの天野氏は、この日の議論を振り返った上で、「待っていても状況は変わらない。声をあげて誰かに訴えることも重要ですが、まずは自分たちにできることは何かと、それぞれが考えることが重要です」と参加者に呼びかけ、フォーラムを締めくくりました。



【参加者アンケート結果より】
フォーラム終了後、参加者に対し、実施したアンケート結果(有効回答数60)では、約9割の方から「今後同様なフォーラムが開催された場合、再び参加したい」と回答をいただきました。このテーマへの関心の高さを示しています。また、自由表記欄には、「外遊びの必要性を痛感しました。福島モデルができ、多くの場所で行なわれる日が楽しみです」といった声のほか、「子ども達の外遊びについて多くの方が考えていること本当に素晴らしいと思います。子どもたちのために様々なアイデアを共有してたくさんの活動を通して貢献していけるようにしたいと思いました」と決意を新たにされる方もいらっしゃいました。県外から参加された方からは「測ることの持つインパクトについて深く考えさせられた。それを乗り越えてより良い子どもたちにとっての『遊び』を模索している福島のみなさんの活動に感銘を受けました」「またこういったフォーラムを福島で開催してほしい。そして全国に発信してほしい」という声もいただきました。


SCJでは、今後もふくしまっ子の外遊びの有り方について、さまざまな角度から考え、子どもの最善の利益となるような道筋を見出していけるよう、関係するみなさまと意見を交わしながら、努力していきたいと思います。

(報告:福島事務所 中村雄弥)

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〈コメラさんさんプロジェクト〉
 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは福島プログラムの一環として、震災後、「コメラさんさんプロジェクト」を開始しました。このプロジェクトは福島第一原発事故後、放射線被ばくへの不安や、長期化する避難生活の影響などから、福島県で野外活動や体を思い切り動かす機会が減少した地域の子どもたちが、安心できる環境で、自然体験をしたり、思い切り遊んだり、運動できる機会を提供することを目的としています。
※コメラは福島の方言で「子どもたち」の意。


 

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