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〜福島県いわき市の中学校でのワークショップ〜(2014.1.15)

日本/東日本大震災/福島
(公開日:2014.01.15)

【福島:放射能リテラシー(2)】
〜福島県いわき市の中学校でのワークショップ〜(2014.1.15)

 

 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)では、「放射能リテラシー」というプロジェクトを行っています。このプロジェクトでは、震災・原発事故後“放射能”に関する情報が氾濫し、どの情報が正しいのか読み解く能力を身に付ける必要が出てきたため、子どもたちが放射能について学び、情報を読み解き、自ら判断していく力を身につけていくことを目指します。

プロジェクトの主な活動は、放射能やそれらを取り巻く問題を扱った子ども向けの教材を作り、その教材を使ってのワークショップを開催していくことです。2013年10月には、この活動の協働団体であるNPO法人市民科学研究室(市民研)とともに、教材作りが始まり、11月27日に、試作教材を使っての初めてのワークショップが、福島市の中学校で行われました(詳細はこちらのページへ)。
 そして、12月17日に、福島県いわき市の中学校で、ワークショップを行いました。今回はその模様をお届けします。

今回のワークショップに参加したのは、いわき市の中学1年生25名。前回に引き続き、進行役は市民研の上田昌文さんです。この中学校でのワークショップは、全3回の実施を予定しており、今回の第1回のワークショップは、子どもたちが放射能についての疑問や不安を共有し、知りたい情報を整理したうえで、それに関する基礎知識を学ぶことを目的として行われました。



 生徒たちは、福島市の中学校で行った時と同じように、生徒たちに、放射能に関連して実際に体験してきたこと、そして、放射能について知りたいことや疑問・不安に思っていることを、付せん紙にどんどん書き出してもらいます。
最初は、何を書こうかなかなか思い浮かばなかったり、書いていいのか迷ったりしている様子でしたが、友達が付せん紙に書きだした内容を発表するのを見て、だんだん色々なことを思い出してきたようです。最終的には黒板に貼り出した模造紙3枚がいっぱいになるほど、たくさんの意見が出てきました。



さて、どんなカードが出たでしょうか。
『体験したこと、見聞きしたこと』の項目では、外で遊べない、遊べなかった”“放射線検査をした”という自分自身の経験から“原発の近くに住む人が強制避難で家へ帰れなくなった”という周りの状況について、また“放射線にはアルファ線、ガンマ線、ベータ線、中性子線がある”“原発事故の前から放射性物質は存在していた”といったように、震災・原発事故後に得た知識も出されました。
また、『知りたいこと、疑問・不安に思っていること』の項目では、“放射性物質をどのくらい体に入れると危険か”“放射線からどんな病気になるのか”といった健康にかかわる不安や、“放射線は私たちの将来にどう関わるのか”“何年後に放射線は完全に消えるのか”といった将来への不安、“汚染物質の処理場に適している場所はないか”“避難した人はいつ帰れるのか”という課題解決への疑問などが挙げられました。

    

続いて、カードに出された内容をもとに、上田さんが、わかりやすく説明をして、みんなの疑問を解いていきます。上田さんが作ったスライドを見ながら、放射線・放射能・放射性物質の違い、放射線の種類、放射性物質がたまりやすいところ、また、元素記号のカードを使って元々自然界に存在する放射性物質などについて学びました。



今回のワークショップでは、上田さんだけでなく、学校の理科担当の先生にもご協力をいただき、「霧箱実験」も行いました。「霧箱」というのは、普段は目で見ることができない放射線を、可視化する装置です。放射線の動きを目で見ることは初めての生徒が多く、興味津々といった面持ちでした。



最後に、子どもたちが、今日のワークショップで学んでみて、さらに気になることや知りたいことを発表しました。第2回のワークショップは、子どもたちから出てきた、下記の新たな疑問や知りたいことをもとに、構成します。

放射能をあびることで体にでる具体的な病気など
自分たちが大人になった時に、体に害はできるのか
安全に暮らせるようになるのはいつか
対策(体など)
なぜ水素爆発が起こったのか
放射能はきえるのか
私たちの将来

  生徒からは、ワークショップが「とてもよかった」、「よかった」が合わせて全体の96%、ワークショップで新しく学んだこと、新しい気づきが「たくさんあった」「少しあった」が、同じく合わせて全体の96%という評価でした。また、2時間は長いと思ったけど、いろいろやっていくうちに時間がすぎていって、短く感じました。」「みんなの前で発表するがはずかしいのも、班でいってからでいいやすく、自信をもってできた。」という感想もありました。
2回目のワークショップは、2014年1月に予定しています。子どもたちが、ワークショップを通じて、放射能についての考え方をどのように発展させていくか、またブログでご報告したいと思います。

(報告:会津若松事務所 望月)


 

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