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日本/東日本大震災/福島
(公開日:2015.12.09)

【コメラさんさん(28)】「みんなの冒険遊び場1日体験ツアー(秋編)」を実施しました!

 

あっという間に冬になってしまいましたが、
今年の秋、みなさんはどのように過ごしましたか?


セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)は、夏に続き、福島プログラム・コメラさんさんプロジェクトの一環として、9月から11月にかけての気持ちのよい季節に「みんなの冒険遊び場1日体験ツアー:秋編」を実施しました。(7月、8月に実施した夏の体験ツアーの様子は過去記事をご参照ください→こちらをクリック




                              思いっきり、遊ぶぞ〜


「冒険遊び場1日体験ツアー」は、福島県中通り地区在住の子どもたちが、比較的放射線量の低い環境で自然体験や外遊びを体験する機会を提供することを目的として、2014年から始まりました。昨年は福島市内の放課後児童クラブの子どもたちを主に対象としましたが、今年は、「みんなの冒険遊び場1日体験ツアー」として、このような遊びの機会がなかなかない、障がいのある児童やフリースクールの利用者、母子家庭の子どもたちを対象に外遊びの機会づくりに取り組みました。

本事業では、夏・秋を通じて、電気機器メーカー、アンリツ社(本社神奈川県厚木市)の支援を受け、秋編は、9月から11月まで計5回のツアーを実施。福島市、郡山市の5つの団体から計60人の子どもが福島市茂庭町にある茂庭プレーパークでの一日ツアーに参加しました。アンリツ社からは毎回、社員の方々がボランティアとして参加され、子どもたちの遊びを支えていただきました。

プレーリーダーとして現場に入ったアンリツ社ボランティアのみなさん


心おどる秋、運動の秋、芸術の秋、子どもたちはどんな「秋の冒険」を楽しんだのか。車いすの子どもたちが参加した10月24日の様子を中心に紹介したいと思います。



【10月24日 郡山のびのび福祉会・放課後等デイサービス「コミュニティ」
@茂庭プレーパーク】

穏やかな好天に恵まれ、最高の外遊び日和。今回参加した放課後等デイサービス「コミュニティ」は、さまざまな障がいがある子どものための放課後児童クラブのようなもので、肢体不自由の子どもや、発達障がいや知的障がいのある子たちが、通っています。

この日は、脳性マヒや四肢機能障がいなどのため車いすを利用する4人を含む14人が、NPO法人いいざかサポーターズクラブ(福島市)の運営する茂庭プレーパークを訪れました。

車いすの子どもが茂庭プレーパークにやってくるのは、実はこれが初めて。「コミュニティ」のスタッフが事前に現地を下見していたものの、車いすで整地されていない道を進むのは思った以上に大変で、途中から子どもを背負ったり、抱っこしたり、みんなで協力して子どもたちを運びました。大変だったけど、無事到着!


砂利道では、アンリツ社のボランティアさんが子どもの車いすを押してくれました


ポカポカ陽気で、日差しがとっても気持ち良い。紅葉も少しずつ始まっていて、そこにいて、風を感じているだけで幸せになれます。
これぞ秋の醍醐味(だいごみ)!


みんなでロープの綱渡りに挑戦



遊びが始まれば、子どもたちの意欲に、障がいのあるなしは関係ありません。車いすの子どもたちもノコギリやナタなど工具を握って、工作に取り組みました。

これは、お昼に使用する竹串を作っているところ。



立派な竹串を作って、
おいしいフランクフルトを作るぞ〜。


おやつも自分たちでつくるのが冒険遊び場流です。ちょっとおなかが空いたころ、みんなで野外クッキングに挑戦しました。自分たちで作った竹串に、ソーセージを刺して、小麦粉の生地をまきつけると、あら不思議、世界に一つだけのオリジナル・アメリカンドッグの出来上がり。形はいびつだけど、それがまたいい味出しています。


準備OK、さあ、焼くぞ!


炭火であぶって、ジリジリ、ジリジリ。



ゆっくり時が過ぎていきます。


そして、ようやく焼き上がったアメリカンドッグ。

お味はいかが?

言葉はいりません。


この顔が、答えです。




午後は、茂庭プレーパークから摺上川(すりがみがわ)ダムまで登るハイキングに挑戦しました。ゴール地点は、出発地点からおよそ100メートル登ったところにあります高さ。予定では、車いすの子どもたちはバスでゴールに先回りして、歩ける子だけで上まで登る予定でしたが、改めてみんなで話し合い、「せっかくなので全員で上まで登ろう!」ということになり、ダムの上までまっすぐに登れる階段を使わず、遠回りだけどゆるやかに登っていける車道を登路として使うことにしました。


長いながーい道のりを、ゆっくり登っていきます。

遠くの山が、色づいてきれいだね〜。

スタッフさんもずっと車イスを押すのは結構大変。元気いっぱいの子どもが、代わりに車いすを押す役を買って出てくれました。

さあ、みんなで上まで行こう!



そして、ようやくダムの上までたどり着きました。
目に飛び込んでくるのは、雄大なダム湖の姿。
「やったー、ついた!」。歓声を上げる子どもたち。



最後までがんばった子どもたちも、先生も、みんな嬉しそうでした。見てください、この達成感に満ちた清々しい笑顔!思わずこぶしを握ります。


この日の活動に引率者として同行した「コミュニティ」の小笠原和香さんは「みんな思い切り体を動かして、とても楽しく過ごすことができました。最後の散策では、車いすの子どもたちも一緒に、最後まで登りきることができて本当に良かったです」と話してくれました。車いすの子だけバスに乗せていたら、きっと、この充実感をみんなで味わうことはできなかったでしょう。はじけるような子どもたちの笑顔が、みんなで、一緒に、成し遂げることの意義をあらためて教えてくれたような気がします。



青空に向かって「オーッ!」 。みんなで雄たけびをあげました


後日、「コミュニティ」の子どもたちがお手紙を贈ってくれました。

「たきびのことをおしえてくれてありがとうございます」
「みんなとはなせて良かったです。あんないしてくれてありがとうございました」
「バッタのいるところをおしえてくれてありがとうございます。良い思い出になりました。また来てみたいです」

といった感想が聞かれました。子どもたちが喜んでくれたようで何よりです。

別の日の「体験ツアー」では、雨のため外遊びができないケースもありましたが、そんな時は代わりに体育館でレクレーションゲームや遊具を使った遊びをしました。遊びを準備してくれたいいざかサポーターズクラブのみなさんの努力もあり、毎回、子どもたちが楽しそうに過ごす姿を見ることができました。


こうして、7月に始まった「みんなの冒険遊び場1日体験ツアー」は無事に終了しました。子どもたちや引率のスタッフのみなさんからは「思いっきり遊べてとても楽しかった」「普段なかなか外で遊べないので、このような機会はとてもありがたかった」「また遊びに来たい」といった肯定的な感想をたくさん聞きました。


このようなご意見をうれしく感じつつも、本事業を評価してくださる職員の方々の声は、同時に、多くの肢体不自由や発達障がいの子ども、母子生活支援施設に住む子どもにとって、日常の場で思いっきり外遊びをする機会が少ないことの裏返しでもあります。

セーブ・チルドレン・ジャパンの東日本大震災復興支援事業は、2015年12月をもって終わり、それに伴い、SCJとして福島の子どもたちに外遊びの機会を提供する活動は終了します。しかし、福島県には、子どもたちが「かつての日常」を取り戻すまでに時間がかかるであろう場所が少なくありません。遊び場を運営するNPOや行政、地域社会など子どもを支える大人たちの密な連携で、子どもたちにより多くの「思いっきり外で遊べる機会」が提供されることを期待するとともに、福島の子ども支援に携わるみなさまの今後にエールを送りたいと思います。
(福島事務所・中村雄弥)

<コメラさんさんプロジェクト>
SCJは福島プログラムの一環として、震災後、「コメラさんさんプロジェクト」を開始しました。このプロジェクトは福島第一原発事故後、放射線被ばくへの不安や、長期化する避難生活の影響などから、福島県で野外活動や体を思い切り動かす機会が減少した地域の子どもたちが、安心できる環境で、自然体験をしたり、思い切り遊んだり、運動したりできる機会を提供することを目的としています。「みんなの冒険遊び場1日体験ツアー」は、コメラさんさんプロジェクトの一環として行われています。
※コメラは福島の方言で「子どもたち」の意。


 

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