日本/東日本大震災/福島(公開日:2014.02.14)
【福島:コメラさんさん(8)】ユニリーバこども笑顔プロジェクト(ふくしま秋冬の自然体験キャンプ)(2014.02.14)
「冬来たりなば春遠からじ」、とはいいますが、この季節の寒さは体に堪えますよね。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。東北の冬もなかなかに厳しいものです。しかし、外遊びが大好きな子どもたちにとっては、そんな寒さも、大きな問題ではありません。この冬も、各地で開催したキャンプに、風の子たちの歓声が響いていました。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社による東北被災地の子ども支援「ユニリーバこども笑顔プロジェクト」の支援を受け、外遊びの機会が限られている福島県の子どもたちに、比較的放射線量の低い地域で思いきり遊んでもらう機会を提供しています。2013年秋から冬にかけては、福島県のNPOネットワーク「子どもが自然と遊ぶ楽校ネット」と協働し、計3回の自然体験キャンプを実施しました。キャンプには、福島市や郡山市、いわき市など福島県中通り・浜通り地区に住む小学生計73人が参加しました。自然体験のスペシャリストたちの案内のもと、子どもたちはどんな場所で、どんな体験をしたのでしょうか。素敵な笑顔いっぱいの写真と共に以下のレポートでご紹介します。
? 【秋のアドベンチャーキャンプ@裏磐梯小野川湖】2013/11/2~4
紅葉美しい秋の裏磐梯にて開催した湖畔の冒険キャンプ。子どもたちは森のトレッキングや野外のパン作り、キャンプファイヤーなど野趣あふれる活動を楽しみました。
? 【冬の里山遊び体験@いわき市湯ノ岳山荘】2013/12/21~22
冬は晴天に恵まれる温暖ないわき市にて開催した里山体験。子どもたちは、ノコギリ片手に森に入り、ベテランガイドの指導のもと、伐採体験や木工クラフトを満喫しました。
? 【自遊学キャンプ〜雪の運動会〜@あいづ山村道場】2013/12/23~24
雪深い南会津の森の中、どんな遊びをするのか、決めるのは子どもたち。ソリ遊びに、かまくら作り、そして定番の雪合戦。寒さも吹き飛ばす、熱気に満ちた「運動会」になりました。
(⇒題字をクリックすると、それぞれのキャンプ報告に飛びます)
【秋のアドベンチャーキャンプ@裏磐梯小野川湖】2013/11/2~4
「晩秋の裏磐梯」。その響きだけで、素敵な予感がします。紅葉真っ盛りの裏磐梯地区小野川湖畔で、11月2日から4日までの3連休に「秋のアドベンチャーキャンプ」は実施されました。集まった子どもたちは、福島市や郡山市の小学生を中心に28人。どんな冒険が待っているのか、ドキドキしながら湖畔のキャンプ場にやってきました。
3日間の日程の大半を、美しい森と湖に囲まれた静かなキャンプ場で過ごしました。初日はキャンプ場内を探検しながら歩いたり、森の中で自由に遊んだり、思い思いに過ごしました。真っ暗な山小屋の中で、寝袋にくるまって過ごす夜は、多くの子どもたちにとって初めての経験だったようです。もちろん虫も出ますが、それもまた醍醐味です。福島市から来た男児は「普段はできないので、寝袋で寝るのは楽しい」と話していました。
2日目は、紅葉の山を散策して、巨大な滝を見に出かけました。色とりどりの葉がパッチワークのように鮮やかな秋山は、歩いているだけでウキウキします。大きな木を見つけたら、そこで記念撮影。巨大な木の幹にみんなで上がると、森に守られているような気分になるから不思議です。
ようやくたどり着いた不動滝では、みんなで滝つぼに足をつけてガマン大会。「冷たかったけど、楽しかった」。あちこちで笑顔がこぼれました。夜は、お楽しみのキャンプファイヤー。ゲームをしたり、踊ったり、楽しい時間を過ごしました。
そしてあっという間に最終日。最後は、みんなでマキマキパンを作りました。小麦粉を練って、木にまきつけて準備完了。焚火に近づけて、じっくりじっくり。キツネ色にこんがり焼けたら、自分だけのオリジナルパンの出来上がり。ちょっとした焦げはご愛嬌。外で食べるご飯は、たまらなく美味しいですね。
あっという間の3日間。みんなの心には、どんな思い出が残ったのでしょうか。「木から火をつけたのがすごかった」と福島市の4年生女子。出発の時、「まだ帰りたくないよ」と涙を見せる子もいました。ここで経験した野外活動の面白さを忘れないで、また裏磐梯にも遊びに来てね。
【冬の里山遊び体験@いわき市湯ノ岳山荘】2013/12/21~22
北海道、岩手県に次いで、全国で3番目という面積を誇る福島県は、とにかく広い。たとえば同じ冬でも、豪雪の会津とは対照的に、沿岸部のいわき市では気持ち良い青空が広がります。そんないわき市の郊外にある湯ノ岳山荘で12月21日から22日にかけて、楽校ネット主催の「冬の里山遊び体験」が実施されました。
参加した18人は、いわき市と福島市の子どもたち。荷物を山荘に置くと、早速、森に入って探検開始。地元「いわきの森に親しむ会」のベテランガイドさんの案内で、冬枯れの木立の中を進みます。あちこちで立ち止まっては、木の実を探したり、キノコを見つけたり。ガイドさんの解説に「へー」「すげー」と素直な感想が漏れます。そして、初日最大のイベントが「林業体験」。子どもたちは実際にノコギリを手にして、林に入りました。ガイドさんの指導のもと、間伐を体験。直径10?を越える木を切るのは、なかなか大変ですが、一所懸命、汗を流して取り組んでいました。
森林探検で思い切り体を動かしたあとは、お待ちかねの晩御飯。火を起こすのも自分なら、米を炊くのも子どもたち。しかも今日は、なんと、山から切り出した竹を容器にして炊きます。「こんなの初めて!」。野趣あふれる竹筒炊飯に興奮が止まりません。
さあ、お米をつめたら、水に浸して火にかけましょう。
もちろん炊飯器でも、ガスの火でもありません。かまどに起こした炭火です。
火が強くなるように、みんなで
「ふーっ」。
汗を流してつくったご飯は、腹にしみいる美味しさでした。
翌日も変わらぬ快晴!二日目は、木工クラフトを体験しました。年末らしく門松やカスタネットを作りました。
そしてお昼ご飯のピザもみんなで競作。暖かい日差しの中で食べるご飯は最高の味わい。東北の冬らしからぬ?いわきの冬。きっと心に残る2日間になったのではないでしょうか。
【自遊学キャンプ〜雪の運動会〜@あいづ山村道場】2013/12/23~24
東北福島の中でも、南会津は豪雪で知られています。文字通りの雪国に、普段、雪にあまり触れたことがない子どもたちがやってきたら、どんな化学反応が起きるのか。そんな好奇心くすぐる試みが「自遊学キャンプ」でした。12月23日から24日のクリスマスイブにかけて開催されたこのキャンプには、福島市をはじめとする中通り地区から計27人の小学生が参加しました。
このキャンプのコンセプトはズバリ、「自分たちだけのオリジナル運動会をつくる」というものです。雪深い南会津町のキャンプ場には、ご覧のとおり雪がいっぱい。掘ったり、積み上げたりすれば、雪だるまも、滑り台も、なんでもできます。
「自由に遊んでいいよ」。キャンプリーダーの声を合図に、子どもたちは雪原に飛び出していきました。身長よりも高く降り積もった雪。最初は、柔らかい新雪に足を踏み入れるのもおっかなびっくり。でも、一歩踏み出すと「気持ちいい」。パッと笑顔が広がります。
初日の午後は、雪の中で思い思いの遊びをしました。やっぱり人気は雪合戦やソリ遊び。そして雪だるまも外せません。あちこちに、立派な雪だるまができました。
その後は、部屋に戻って、翌日の運動会でどんな種目をするのか、みんなで話し合いました。男子対女子?種目は、雪合戦?徒競走?みんなで作り上げるイベントは大変だけど楽しいもの。みな、真剣な表情で議論していました。
夜はちょっとロマンチックに、雪灯籠作りを体験しました。作り方はいたって簡単。バケツに雪をつめ込んで、それをひっくり返せば、あら不思議。プリン型の灯籠の出来上がり。スコップで中を掘って形を整え、ロウソクを入れると、あっという間に、こんな素敵な空間が。雪の醸し出す幻想的な雰囲気に、子どもたちも魅了されているようでした。
そして二日目、いよいよ運動会。みんなで考えた内容は、「男女」ごとに分かれて、「陣取りゲーム」「雪合戦」をするというものでした。いろいろ候補はありましたが、やはりチーム競技が人気というところでしょうか。
陣取りゲームでは2チームに分かれて、互いの陣の奥にある宝を奪い合います。足場が悪い雪上を走りまわるのは、大人でも大変です。しかし、子どもたちはそんなことは気にも留めず、必死で駆けます。夢中になって走りまわっているうちに、熱くなって、半袖になる子どもたちも。さすが風の子。冬のキャンプということを忘れてしまいそうでした。
二日間はあっという間。まだまだ遊び足りない様子の子もいましたが、冬はこれからが本番。東北の冬の寒さに負けず、楽しく遊び続けてください。
3つのキャンプいかがでしたか?それぞれが地域の魅力を活かした素敵な野外体験になったのではないでしょうか。こうしてみると、福島県は、本当に自然の魅力にあふれた土地なのだとあらためて痛感します。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンはこれからも、福島の子どもたちが自然に触れながらのびのび元気に育っていけるように、お手伝いを続けていきたいと思います。
(福島事務所・中村雄弥)